デンマーク気象研究所のグリーンランドの氷の状況のデータより
北極圏の氷の面積や質量については、世界の多くの国家機関や気象部門が記録をとっていますが、中でも、北極の天候の変化を1時間ごとに追跡記録している「デンマーク気象研究所(DMI)」のデータは、リアルタイムデータとして貴重なものといえます。
そのデンマーク気象研究所が 3月23日に発表したデータでは、グリーンランドの氷の量が観測史上「最大」を記録していることを示していました。
しかし、同じ日の 3月23日、世界中の主要メディアで同時に、北極と南極の氷の量が過去「最小」になったと報じられていました。グリーンランドは北極圏ですが、一体、北極はどうなっているのか、データからも報道からもよくわからないような状態となっていますが、とりあえず、そのどちらもご紹介しておきます。
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なお、グリーンランドは下の位置にありますが、その面積は、日本の国土面積の6倍もある非常に大きな島です。
グリーンランドの場所と大きさ
・Maps of Greenland
北極圏との位置関係は、大まかですが、以下のようになっています。
要するに、グリーンランドの大部分は北極圏に位置するということになります。
そのグリーンランドの現在の氷の状況は、デンマーク気象研究所のグラフから見てみますと、冒頭の分布図と、そして下のグラフのようになります。
2017年3月23日までのグリーンランドの氷の質量の推移
これを見ると、昨年 11月頃から、グリーンランドの氷の量は平年よりかなり高い数字のまま推移していて、2017年に入ってからは、ずっと「過去最大量」を更新し続けています。
ということは、「北極圏の氷は増えている」と考えるのが妥当だと思っていたのですが、この日に報道されたものは下のようなものでした。
北極海の海氷面積、冬の最小記録を更新
ロイター 2017/03/24
北極海の海氷面積が、冬季として最小の記録を更新したことが分かった。北極地方は、長期的な地球温暖化の影響を強く受けている。
北極点付近の海氷は、晩冬の2・3月に最大となり、晩夏の9月に最小となる。
米国立雪氷データセンター(NSIDC)によると、今年は3月7日に面積1442万平方キロとなって最大に達したとみられるが、38年間の衛星観測史上最小だった。これまで冬季として最小だった2015年2月25日を9万7000平方キロ下回った。
ということで、アメリカの記録では、北極の氷面積は過去最少となったということのようです。
北極と北極圏は同じではないとはいえ、それにしても、あるデータでは「氷が過去最大」、他のデータでは、「過去最小」というのは、極端な差にも感じます。
南極にしても北極にしても、極地の氷の量は、いわゆる地球温暖化などとの絡みなどからの思惑も関係する場所ではあり、いろいろと複雑な事情もありそうですが、実際のところを把握するのはなかなか難しいというような様相を呈してきたようです。