以下のような報道を見ました。
アフリカのコロナワクチン接種がまったく進んでいないことを懸念する内容です。
ワクチン格差一層拡大 アフリカ、接種完了3% - 新型コロナ
時事 2021/09/26
日本など先進各国で新型コロナウイルスのワクチン接種完了者が増え、追加投与する「ブースター接種」の動きも進む中、アフリカをはじめ途上国では依然供給不足の状態が続いている。
世界保健機関(WHO)は接種率の高い国々に対し、ブースター接種を控えて途上国への供給を増やすよう訴えているが、ワクチン格差は拡大する一方だ。
英オックスフォード大研究者らのデータベースの23日時点の集計によると、先進7カ国はワクチン2回接種率がいずれも人口の5割を超えた。
一方、WHOによると、アフリカ諸国で9月中旬までに2回の接種を終えた人は5000万人で、全人口のわずか3.6%。
各国政府は途上国向けワクチンの国際的調達枠組み「COVAX」や2国間援助を通じてワクチン調達を急いでいるが、供給不足が続き、行政上やインフラの問題から接種の態勢が整わない国も多い。WHOは「アフリカでの年内接種完了率4割」を目標に掲げるが、達成は絶望的だ。
それでは、その、まったくワクチン接種が進んでいないアフリカと、最もワクチン接種が進んでいる国のいくつかを比較します。
人口の 80%がワクチン接種を受けたシンガポール、そして、最も早い時期に国民の半数以上がワクチン接種を受けたイスラエルです。少なくとも 1回の接種を受けた人の率です。
そして、アフリカの感染状況がどれだけ悲惨なことになっているのかをご覧下さい。
イスラエル、シンガポール、アフリカの人口100万人あたりの感染確認数の推移の比較
ourworldindata.org
人口 100万人あたりの感染数とはいえ、しかし、アフリカ全体と比べますと、イスラエル(人口900万人)、シンガポール(人口570万人)では、規模も異なりますので、ワクチン接種が進んでいて、もう少し大きな国と比較してみます。
イギリスとアメリカです。
イギリス、アメリカ、アフリカの人口100万人あたりの感染数の推移の比較
ourworldindata.org
アフリカは、ほぼ何も起きていないような状態なのに「ここに何をする必要がある?」という感じですが、先進国は、アフリカのことより「自分の国のこと」を懸念するべきだということがグラフに現れています。
なお、先ほどの時事では、国連事務総長が、総会演説で
「裕福な国では大半の人が接種を完了したが、アフリカでは90%以上の人々が1回目の接種を待っている」
と述べたことが報じられています。
その現実は、たとえば以下のニュースなどにあります。
「接種会場に誰も来ない」 国際支援のワクチン7割返還 … アフリカ
読売新聞 2021/09/25
新型コロナウイルスのワクチンを巡る先進国と途上国との供給格差が指摘される中、アフリカ中部コンゴ民主共和国は4月、国際支援で供給されたワクチンの大半を返還していた。
接種の重要性が国民に正しく伝わらず、ワクチンを打とうとする人がほとんどいないためだ。
8月後半、首都キンシャサの病院に設置されたワクチン会場で、防護服姿の看護師らはけだるそうにイスに腰掛けていた。
会場には英アストラゼネカ製のワクチンが用意されているが、会場を訪れる人はいない。
現場責任者のラッキー・ルカンバ氏(46)がため息をついた。「SNSなどでアストラゼネカ製は危険という根拠のない風評が広がり、ワクチンを希望する人がいないのです」
賢明な人たちにアフリカの大地は今のところ守られているようですが、しかし、たとえば、このコンゴ民主共和国では、「まもなく、公共サービスへのすべてのアクセスにワクチン接種証明書が義務付けられる」と報じられていましたので、先はどうなるのかはわかりません。
中国とインド以外のアジアはすっかりやられてしまいましたが、アフリカは保ち続けてほしいです。