2017年3月10日の報道より
オーストラリア北東部の海に広がる世界最大のサンゴ礁グレート・バリア・リーフのサンゴが大規模に「白化」し続けていることは一昨年から報じられていて、記事にしたこともあります。
[参考記事] サンゴと海藻が全滅に向かい続ける「地球の海」の近い未来 (2016/06/20)
下は、昨年4月のナショナルジオグラフィック・ニュースからの抜粋です。
グレート・バリア・リーフの93%でサンゴ礁白化
ナショナルジオグラフィック 2016/04/25
グレート・バリア・リーフは、2900の小規模なサンゴ礁から構成されるが、今回調査した 911のサンゴ礁のうち実に93%に上る843のサンゴ礁が、何らかのかたちで白化していることが判明した。
さらに、主に北部にある手つかずの316のサンゴ礁において、そこに生息するサンゴの60~100%が白化していた。サンゴ白化の拡大によって、副次的な影響が大きくなることは明らかだ。
この「サンゴの白化」というのは、文字通りサンゴが白くなった状態で、それが続くと死滅してしまう可能性が高くなる状態ですが、昨年に続き、今年 2017年も、大規模な白化が進行していることが、環境調査団体の調査で明らかになりました。
白化は、その状態が続けば、サンゴはそのまま死んでしまいまのすが、それは基本的に不可逆的なものであり、簡単に元に戻るというものではないです。
短期間ならともかく、グレート・バリア・リーフで2年連続で大規模な名白化が進んでいるということは、「グレート・バリア・リーフのサンゴの完全な大量死」が近づいているというようなことになるのかもしれません。
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下が、冒頭の報道での現在のグレート・バリア・リーフの状態です。
魚はいますが、その下のサンゴ礁が「果てしなく白く連なっている」ことがわかります。
https://www.youtube.com/watch?v=Fy8SeNLbdfo&feature=youtu.be
グレート・バリア・リーフの大体の場所
・Google Map
以前のグレート・バリア・リーフと、現在を並べてみますと「色とりどり」のものから「色が失われた」様子がよくわかります。
2015年以前のグレート・バリア・リーフ
現在のグレート・バリア・リーフ
この大規模な白化の原因は、ひとつに特定できるものではないですが、最も大きな理由は、
・海水温が異常に高い状態が続いている
ことが挙げられると思われます。
しかし、その他にも、過去記事の、
・オニヒトデが、太平洋グレートバリアリーフのサンゴを絶滅に追いやろうとしている
2015/12/13
でご紹介しましたように、太平洋では「オニヒトデ」によるサンゴの被害が、専門家の言葉をお借りしますと、「壊滅的」な状態になっています。
2015年11月16日の米国ワシントンポストの記事
・Scientists say a plague of sea stars is devastating Pacific coral reefs
また、日本最大のサンゴ礁も消失の危機にあります。
・日本最大のサンゴ礁「石西礁湖」が消失の危機。9割のサンゴが白化
2016/08/29
それぞれの原因は複雑なのかもしれないですが、それが何であろうと、今「世界中のサンゴ礁が死につつある」ということは事実のようです。
環境活動家などは保護活動を求めていますが、「どうやったら保護できるのか」という根本的な問題は示されていないままです。
世界中でのサンゴの白化は海の生態系に大規模な影響を与えると考えられますが、これらのサンゴの大量死の背景にある問題はあまりにも巨大で、人間の対策でそれを取り戻すことは現時点では不可能であるように思えて仕方ありません。