戦争として成立していない数値が示される
前回の記事で、ウクライナのバフムトでの凄惨な戦闘の様子を取りあげさせていただきました。
[記事] バフムトで、ウクライナ軍が全滅間近の模様
地球の記録 2023年2月8日
その後、トルコの報道メディアが、イスラエルの諜報機関モサドの情報データを公開していました。
その数値を表にしたものが以下となります。
イスラエル諜報特務庁 (モサド)によるとされるデータ
greatpowerrelations.com
モサドというのは、正式名称は「イスラエル諜報特務庁」というもので、世界の諜報機関の中でも並外れて優秀だと言われている組織ですが、仮にこれが実際にモサドの集計であれば、もはや「戦争として成立していない状態」が示されていると思われます。
このモサドのものとされる数値は、退役軍人であるアメリカ軍の大佐であるダグ・マクレガー氏が独自に集計した数値と同程度であり、専門家たちは、おおむねこのような集計に至る場合が多いようです。
アメリカ軍元大佐ダグ・マクレガー氏の推定数値
・ロシア側の兵士の死者数 1万6000人 〜 2万5000人
・ウクライナの兵士死者数 最大で 12万2000人 行方不明 3万5000人
この行方不明というのは、戦場では「推定死亡数」として扱われます。
モサドによれば、ウクライナの正規兵は 73万4000人 (予備兵 10万人)であり、この死傷者数はウクライナ軍としては甚大な被害であり、また喪失した兵器の状況を考えますと、戦闘の継続の可能性は先が見えてきたようです。
なお、ロシア軍は、正規兵 41万8000人 (予備兵 350万人)です。
何か奇跡的なことが起こり、今後、ウクライナが大規模な反攻をおこなったとしても、予備兵の数を含めて、もはや対抗する術は残っていないように思われます。
そんな中で、ウクライナの大統領はのんびりとイギリスへ出かけています。
今度は、欧米に「戦闘機をウクライナに送れ」と述べたようですが、この人は(正気だと仮定して)最先端の戦闘機を使いこなすのに、どれだけ長い時間がかかるかわかっているのかなあと。
欧米からウクライナに送られることになった戦車にしても、アメリカのメディアは、以下のように書いています。
> 基本的なアメリカの M1 エイブラムス戦車の乗組員を訓練するには半年かかる。しかも、その期間の訓練で習得するのは、機能するための非常に基本的なスキルセットだけだ。実際のこの戦車の運用に関する専門知識は、数年とまではいかなくても、数か月にわたる追加のトレーニングによってのみ達成される。 (greatpowerrelations.com)
このゼレンスキー大統領という方は、改めて思ったのですが、悪人でないのなら単なる狂人かもしれません。
自分がどれだけ自国民を苦しめているのか理解していないか無視している。
まあ、今のウクライナの方々は、太平洋戦争時の日本の大本営発表と同じタイプの情報の中で暮らしているわけで、何となく同情はします(大本営発表状態なのは、ロシアもある程度同じですが)。
今回は、アメリカの地政学サイトの記事から「戦車」について書かれてある部分を抜粋します。
以下のページです。
ウクライナ危機でエンドゲームが起きている
Endgame is going in Ukraine crisis
大変に長い記事で、そこからの部分的な抜粋です。
ウクライナ危機でエンドゲームが起きている
Endgame is going in Ukraine crisis
greatpowerrelations.com 2023/02/07
ウクライナの最近の大統領令を考慮すると、ウクライナの全体的な軍事状況は壊滅的なようだ。
現状は 西側が宣伝している「ウクライナが勝っている」というイメージとはまったく反対だ。間違いなく、ウクライナはすでに戦争に負けており、同じように NATO も負けている。
現代の戦車戦
ウクライナに送られることになった戦車の内訳は、レオパルド2 戦車が合計約 50 (ドイツ、ポーランド、その他)、M1エイブラムス戦車は最大 31 (米国)、チャレンジー2 戦車は最大 14 (英国)。 合計約100台だ。 これらのモデルはどれも、過去 15~ 20年の間に生産されたものだ。
ドイツは 2月3日に、レオパルト1 主力戦車をウクライナに輸出する許可を発行した。ドイツ政府は、ドイツの武器メーカーであるラインメタルが、修理後に 88両の古いレオパルトを 1億ユーロ (約 140億円)でウクライナに売却する計画を承認した。
1960 年代に初めて就役した レオパルト1は、より高度な レオパルト2 の先駆けとなったものだ。この戦車は、L7 51口径 105mmライフル砲を搭載している。大きな問題は、レオパルト1戦車に必要なこの 105 mm 弾薬をどのように入手するかだ。
この戦車は中程度の装甲を備えており、小口径の機関砲と重機関銃に対してのみ有効だ。 これにより、すべてではないにしても、ほとんどの第 2世代および第 3世代の対戦車兵器に対して脆弱だ。
ウクライナへの西側戦車の配達に関するこれらの決定は、考えられるすべての古い解体設備が現在掘り起こされていることを明らかにしている。
技術革新により、主力戦車 (MBT) はより破壊されにくくなったが、対戦車兵器は、 MBT の防御能力を凌駕するさらに効果的なものに進化している。
現代の軍隊が、現代の対戦車ミサイルで武装した装備の整った同レベルの敵に対して大規模な戦車主導の攻撃を開始しようとした場合、その結果は攻撃側にとって決定的な敗北となる。
しかし、現代の戦車は、対戦車歩兵、砲兵、近接航空支援に支えられた諸兵科連合チームの一員として最高のパフォーマンスを発揮するため、特に接近戦の技術を十分に訓練されたチームの一員として、戦車は戦争の不可欠な武器であり続けていまる。
ただし、戦車が単独で運用された場合、それは単なる高価な移動式の棺桶となる。
戦車戦に関しては、訓練、兵站の持続可能性、運用上の雇用という 3つの基本的な問題を検討する必要がある。
例としては、基本的なアメリカの M1エイブラムス戦車の乗組員を訓練するには半年かかる。
しかも、その期間の訓練では、機能するための第一段階の非常に基本的なスキルセットを兵士に与えるだけだ。実際の運用に関する専門知識は、数年とまではいかなくても、数か月にわたる追加のトレーニングによってのみ達成される。
ロシアの戦車の乗員数は 3人で、ロシアの戦車は自動装填機構を使用しているという現実があるが、西側の戦車は主力戦車砲の装填を手動で行うため、乗員は 4人となる。
これらのダイナミクスに適応するには時間がかかり、費用のかかる大規模なトレーニングが必要だ。
NATO は現在、イギリスのチャレンジャー2、ドイツのレオパルト2、アメリカの M1A2 の 3種類の西側主力戦車をウクライナに提供している。
しかし、統一された訓練コースはないのだ。
各戦車には、別のシステムに直接転送できない独自のトレーニング目論見書が必要だ。現実には、どのような訓練プログラムが開発されたとしても、任務には不十分であり、その結果、訓練が不十分な乗組員たちが非常に複雑な兵器システムを世界で最も危険な環境に持ち込むことになる。
戦車は、現代の戦場で最も技術的にメンテナンスが困難な武器システムの 1つであり、適切なメンテナンスが常に必要だ。
アメリカのM1 エイブラムス戦車の場合、戦車が 1時間出動するたびに、3時間のメンテナンス時間が必要だ。この問題は戦場では拡大する。
通常、装甲ユニットには高度に専門化された保守要員が装備されており、戦車を脇に追いやる可能性のある小さな問題のほとんどを彼らは修理できる。
このレベルの高品質のメカニックを生産するためのトレーニング要件を考えると、ウクライナ軍に対して、この種のメンテナンスサポートが提供される可能性は低い。
これは、ウクライナに提供されている戦車は、単純な使用または実際の戦闘によって損傷した装備の重大な修理のために、NATO 諸国に返却する必要があることを意味する。
要するに、ウクライナの手にある西側の主力戦車は、ウクライナ軍による運用中のある時点で故障する可能性が非常に高く、つまり、ウクライナが利用できる戦車の総数は、提供された戦車の数よりもはるかに少なくなることを意味する。
ウクライナ軍の最高司令官、ヴァレリー・ザルジニ将軍は先月エコノミスト誌に、彼がロシアを倒すには、戦車 300台、歩兵戦闘車 500台、大砲 500台が必要だと語った。
1月20日の会議とその後の戦車の提供に関するその後の議論の後、 NATO とその同盟国は、要求された数の 50%以下の戦車を提供することに合意した。
これらの機器の納入スケジュールは、何ヶ月にもわたるものになると予定されており、場合によって翌年まで延長される。
ウクライナに西側の主力戦車を提供するという決定は、文字通り、自殺協定であり、ウクライナの最善の利益を探していると主張する人々は、手遅れになる前に検討する必要がある。
西側のメディアは、ウクライナへの戦車の配達について「熱狂的な」気分で議論した。突然、数十人の「戦車の専門家」たちが公開され、声高に「レオパルトの早期の配達」を要求した。
上記の分析的背景に照らして問題を考えると、「集団ヒステリー」または「集団の愚かさ」が急速に伝染する病気であることが再び明らかになる。