指数関数的な流行拡大へと
つい最近、ブラジルなどを中心として、ラテンアメリカで、蚊が媒介するデング熱の大流行が拡大していることを以下の記事で書きました。
・「デング熱撲滅」のために遺伝子編集した蚊を大量に放出したブラジルを中心に、南米でのデング熱感染の拡大が過去最悪の状況に
地球の記録 2024年5月2日
これは、ほんの 1週間ほど前の記事なのですが、そこでご紹介した 5月2日の報道では、ラテンアメリカ全体で、
> 今年報告された症例数はすでに 520万人を超えた。
とありました。
今日、世界保健機構のアメリカ地域事務局である「汎米保健機構 (PAHO)」のデータを見ましたら、症例数が、
「 664万件」
とあり、あっという間に 100万などの単位で増えていました。
汎米保健機構のデータより
paho.org
ものすごいペースで南米全体に感染が広がっているようで、この 660万という症例数は過去最大なのですが、これはまだ「 4月までのデータ」なのです。
過去44年間のラテンアメリカのデング熱の症例数の推移
paho.org
汎米保健機構のデータを見ますと、今年がいかに異様な流行状況となっているかがわかります。赤いラインが今年で、青いラインが 2023年、黄色いラインが過去 5年間の平均です。
デング熱の症例数の比較
paho.org
以下のように記されています。
2024年の疫学週 1週目から 15週目までの間に、デング熱の疑いのある症例が合計 6,186,805件報告され、累積発生率は人口 10万人当たり 656人となった。 この数字は、2023 年の同時期と比較して 254%、過去 5年間の平均と比較して 458%の増加に相当する。
先ほどのグラフを見ますと、感染拡大のピークは打ったようには見えますが、しかしたとえば、北米だとか、そういう地域では、これから気温が上がり、本格的な「蚊」のシーズンとなります。
報道でも以下のように書かれています。
状況は改善するとは予想されておらず、むしろ指数関数的に増加すると予想されており、北米でも同様の感染が予想されている。暖かくなるにつれ、デング熱感染の増加が見られ始める。
南米で最も深刻な流行が起きているのはブラジルですが、ブラジルでは昨年、「デング熱を媒介する蚊を撲滅するために、遺伝子編集蚊を大量に放出した」という出来事がありました。
それで今の過去最悪の状況です。
その「発信源」であるブラジルを起点として、流行は周辺各国に拡大しているようで、報道では、ペルー、コロンビア、チリ、ベネズエラ、アルゼンチン、コスタリカなどでも流行が拡大し、医療が逼迫していると報じられています。
ここまで壊滅的な流行となりますと、やはり「遺伝子編集した蚊の放出」が、何らかの悪い作用に傾いてしまった可能性を感じます。
意図的ではなくとも、「何らかの失敗」でこうなってしまったと(意図的である可能性も排除はしませんが)。
遺伝子を編集した蚊の放出は、以前、マラリア撲滅の名目でも行われましたが、以下の記事にありますように「失敗」しています。
・「蚊の撲滅」を目的としたブラジルでの「成虫になる前に死ぬ遺伝子操作」を施された蚊の放出実験が大失敗していたことがネイチャーの論文で発覚。遺伝子を操作された蚊たちは数世代で元通りに
In Deep 2019年9月17日
遺伝子編集蚊以外の、もうひとつの要因としては、社会全体の免役の低下ということもあるかとは思いますが(ブラジルでは、子どものコロナワクチンが義務化されています)。
なお、以前、
「イベルメクチンは、デング熱の治療薬として有効である」
ということが示されていまして、それだけではなく、
「イベルメクチンは、蚊そのものを殺す」
という作用を持つものだそうです。
以下の記事の後半でご紹介したことがあります。
補助的であっても何にしても、これが有効に使われればとは思いますけれど、どうなんでしょうね。
・免疫低下が世界中で拡大する中、イベルメクチンは、デング熱の治療薬として有効な可能性があるだけではなく、「蚊への殺虫作用」さえあることを論文で知る
In Deep 2023年6月22日
これからは、北半球も気温が上昇してきますが、果たして、現在のラテンアメリカのようなデング熱の流行のようなものが見られてしまうのかどうかが気になります。