・ABC
人間社会でも感染症がいろいろと拡大していますが、アメリカで「ウサギの致命的な感染症」が拡大していることが報じられています。そのウイルスは、ウサギ出血性ウイルスというもので、感染症の日本語での正しい表記は、「兎ウイルス性出血病」というものです。
この病気は、農林水産省などによれば、ウイルスに感染したウサギは、「全身臓器の出血により数日のうちに死亡する」とあり、致死率は最大で 90%だそうです。
対策や治療法はなく、農業・食品産業技術総合研究機構のページには以下のように書かれてあります。「摘発淘汰」というのは「殺処分」のことです。
現在のところ有効な治療法はなく、摘発淘汰が基本の対策となる。
発生があった場合は、感染個体および同居うさぎを全頭淘汰することで蔓延防止を図る。
このようにありまして、
> 感染個体および同居うさぎを全頭淘汰する
というのは、つまり発症した個体とその周辺のウサギをすべて殺処分するという対処法しかないということになりそうです。
このような感染症がアメリカで流行しているということになります。
このウイルスは基本的には、ウサギ以外には感染したないとされていますが、しかし、アメリカのカリフォルニア州魚類野生生物局の担当獣医は、英国ガーディアンに以下のように述べていました。
「残念なことに、ウサギは多くの捕食者にとって一般的な獲物であるため、ウサギを食物としている動物種に影響を与える可能性があります」
ウサギ以外の動物にもこの致命的な病気が広がる可能性を指摘しているようです。
何だか、いろいろな病気が爆発し放題ですが、このウサギの感染症について、CNN の報道をご紹介します。
ウサギを襲うウイルス、米西部で相次ぐ感染 生態系脅かす恐れも
アメリカ西部の複数の州で、ウサギに感染するウイルス性の疾患が散発的に発生している。
もしも感染が拡大し続ければ、米国に生息する数十種類のウサギ全てが壊滅的な打撃を受け、生態系が脅かされる恐れがある。
見つかっているのは「ウサギ出血病」を引き起こす致死性のウイルスで、このウイルスは感染力が強く、ウサギやナキウサギなど、ウサギの仲間にのみ感染する。新型コロナウイルスとは無関係で、人間に感染することはない。
ウサギ出血病は10年ほど前に欧州のウサギで発生したと思われる。今年3月に入って、ニューメキシコ州南部の野ウサギからこのウイルスの別の株が発見され、数日後にはテキサス州エルパソで死んだウサギが見つかった。続いてアリゾナ州とコロラド州でも発見が相次ぎ、5月にはカリフォルニア州で見つかった。
このウイルスがどのようにしてアメリカに到達したのかは不明だが、ウサギの肉や、ペット用のウサギの取引を通じて入ってきた可能性があると専門家は推測する。また、アメリカと国境を接するメキシコ北部で発生している可能性もある。
このウイルスについてはまだほとんど情報がなく、今後一部地域のみで集中的な流行を引き起こすのか、全米に広がるのかは専門家にも予想できないという。
だが、もしもウサギの間で感染が拡大すれば、カリフォルニア州に生息するブラシウサギのような絶滅危惧種の個体数回復が妨げられる恐れもある。ウサギを捕食する動物や、ウサギが食べる植物などの生態系にも多大な影響が及びかねないと専門家たちは危惧している。