オーストラリアでは、再び当局によるマスク着用が推奨されています。Guardian
オーストラリアは現在、真冬に向かっている時期ですが、その中で季節性インフルエンザと新型コロナの両方の症例が急激に増加していることを英ガーディアンが報じていました。
ある程度予測されていたことではありますが、オーストラリアの特徴として、「最初の 2回の新型コロナワクチンの接種率が極めて高い」ということがあります。
日本とオーストラリアの最初の2回のワクチン接種率の推移です。
兄弟のように同じ数字で並んでいますが、ただ、オーストラリアは、最初の頃の接種はなかば義務的に実施されたこともあり、このような数字となっているようです。
日本の場合は、義務でも何でもないの、同じような高い率まで接種率が伸びたという違いはあります。
このオーストラリアでは、2021年から、ガンや心停止、肺炎などが著しく増加していました。
オーストラリアのガンによる超過死亡の推移(2015年1月-2022年7月)
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ビクトリア州の心停止率の推移(2021年から急激に増加)
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シドニーの34歳以下の肺炎患者の推移(2019年〜2024年)
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その中で冬となり、今度はインフルエンザや新型コロナの大流行が起きているということのようです。
日本なども、冬になる頃には同じような状況に見舞われる可能性が高そうですが、そのオーストラリアについての報道です。
ちなみに、今回の感染拡大を受けて、専門家たちは、さらなるブースター接種とマスクの着用を推奨しています。
オーストラリアが、インフルエンザ増加と同時に新型コロナの「大波」に見舞われている
Australia hit by ‘big wave’ of Covid at same time as increase in flu
Guardian 2024/06/06
専門家は、どちらも感染拡大の「危機的状況」にあり、人々はワクチン接種を最新のものにしておくべきだと述べている。
オーストラリアでは、インフルエンザやその他の冬季感染症の増加と同時に、新型コロナウイルス感染症の「大きな波」が起きていると、保健当局や専門家たちが警告している。
ディーキン大学の疫学部門長キャサリン・ベネット教授は、新型コロナウイルスとインフルエンザの全国的な増加には直接的な一致があり、「どちらも急速な拡大が見られる重要な段階にある」と述べた。
ニューサウスウェールズ州保健省が 6月6日に発表した最新の数字は、新型コロナウイルス感染症の活動が「先週急速に増加」しており、同時にインフルエンザの活動も増加しており、救急外来の入院患者数が増加していると警告した。
ニューサウスウェールズ州が記録した新型コロナウイルスとインフルエンザの症例数は 25%増加し、前週の 4,000件強から最新の報告では 5,000件を大きく上回った。
報告書はまた、州内の若年層では RSウイルスやインフルエンザの発生率が高く、学齢期の児童の間では百日咳や肺炎も「季節外れに高い」と指摘した。
オーストラリア首都特別地域(ACT)政府は 6月4日、新型コロナウイルス、インフルエンザ、RSウイルス感染症の症例報告が着実に増加していることから、キャンベラ保健サービスがマスク着用義務付けや入院患者に対する新型コロナウイルス検査の強化など、追加の安全対策を実施すると発表した。
ACT保健省の最新の報告によると、新型コロナウイルス感染者通知数は前週の 159人、その前の週の 146人から 242人に増加した。入院者数も 28人から 67人に増加したが、集中治療室や人工呼吸器をつけている人はいなかった。
ACT政府報道官は「現在、新型コロナウイルス、インフルエンザ、RSウイルス感染症の症例増加に関連して、より重篤な病気の兆候はない」と述べた。
高齢者住宅における新型コロナウイルス感染に関する最新の全国データによると、現在 469件の感染が発生しており、5月23日以降 76件増加している。入居者と職員の感染者は 3,788人となっている。
ビクトリア州保健省の最新の報告書によると、排水監視により、地域社会における新型コロナウイルス感染症の蔓延が拡大していることが示唆されたという。
南オーストラリア大学の生物統計学および疫学学科長エイドリアン・エスターマン教授は、オーストラリアは新型コロナウイルスの「新たな大きな波の真っただ中にある」と語った。
エスターマン氏は、現在の感染拡大は「昨年末と同じくらいひどい」と述べた。「そして感染者数は依然として増加傾向にあり、多くの病院が職員のマスク着用義務を中止していることを考えると、大きな懸念事項だ」
南オーストラリア州の病院では、新型コロナウイルス感染によりスタッフ 237人が休職しており、インフルエンザまたは新型コロナウイルス感染患者は 193人いると南オーストラリア州保健省は発表した。
エスターマン氏は、75歳以上の人のうち追加接種を済ませているのはわずか 40%に過ぎないと指摘し、各国政府に対し、最も脆弱な人々に対するマスクやワクチン接種に関するメッセージを強化するよう求めた。
エスターマン氏は、インフルエンザと RSウイルス感染症の発生率も昨年の 2倍になったと述べた。
エスターマン氏とベネット氏は、過去数年間に広範囲に検査が行われていたときのように、当局はもはや報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数に頼ることはできないと述べた。
「実際の感染者数は、感染者数が示す数の 6~ 10倍とみられます」とエスターマン氏は述べた。
ベネット氏は、オーストラリアの新型コロナ症例は依然としてオミクロン亜種で、最新のものは FLiRT として知られており、症状の重症度は低く、入院する人も少ないと述べた。
しかし、人々が油断しすぎたり、ワクチン接種が遅れたり、感染リスクが管理されなかったりすれば、入院や死亡者数は再び増加する可能性があると警告した。
ベネット氏は、今後 6週間が重要となる急性期にあると考えていると述べた。同氏は、この期間中、国民に対し、ワクチン接種を最新の状態に維持し、自身の症状を認識し、マスクを着け直し、換気と衛生管理について考えるよう呼びかけた。