異常気象 自然災害

自然災害による死亡率は、過去100年で95%も「減少」していることを知る。しかし、経済的被害はその逆で指数関数的に増大し続ける

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2013年6月のインドの洪水で濁流に飲まれる聖地リシケシのシヴァ神の像

oka-jp.seesaa.net




コロナの時にずいぶんとお世話になりました統計サイト「アウア・ワールド・イン・データ」に、意外なデータがあることを知りました。

それは、1900年からの「災害による年間死亡率」のグラフです。

以下のようになっています。災害には、地震、火山の噴火、洪水、地滑り、干ばつ、山火事、嵐、洪水などが含まれます。


ourworldindata.org

1920年代を頂点として、1970年代あたりまで急速な勢いで自然災害による死亡率が低下していることがわかります。

これは、世界全体として、人間の住環境が良くなってきたということだとは思うのですけれど、しかし、一方で、

「自然災害による経済的被害」

は、過去 100年でものすごい勢いで増加しています。

以下は、2015年までのもので、自然災害による経済的被害の推移を示したものです。2016年の In Deep の記事に載せたものです。

1900年から 2015年までの自然災害での経済的損失の推移(米ドル)

indeep.jp

2015年以降のデータは明らかではないですが、今年 2024年だけでも、たとえば、中国では洪水をはじめとする自然災害で、日本円で「 2兆円規模」の被害が出たと中国政府から公式に発表されています。

最近、アメリカのノースカロライナ州などに壊滅的な被害を与え、いまだに人的被害の実態が明らかになっていないハリケーン・ヘレンによる被害も、これは分析した組織により推定額が今でもバラバラですが、ブルームバーグは、9400億円以上の被害としていて、AP通信は 3兆7000億円以上、ロイター通信は、13兆円以上などとしていて、いずれにしても大変な経済的被害となっています。

 

先ほどの自然災害による経済的被害のグラフの 2015年以降も、このような洪水、ハリケーン、そして地震などの被害は毎年起きていますので、やはり経済的被害は毎年、非常に大きなものとなっていると思われます。

しかし、それでも「人的被害は 100年前により大幅に減少している」という事実があるということに、違和感…というのか、「へえ」と思った次第でした。

これはある意味、皮肉な話でもあり、住環境やインフラ設備などが良くなってきたために、人的な被害が昔より減少したといえるのだと思いますが、逆に、住環境やインフラの近代化のために、破壊された場合の経済的被害がとても大きくなっているということだとも思われます。

現在の私たちの近代的な生活は、確かに私たちの命を守ってくれているのだとは思いますが(雨や寒さもしのげない住環境では、死亡しやすい)、しかし、この近代的な環境は「自然と順応したものでもないのかな」とかも感じないではないです。

自然災害自体については、それが増えているか減っているかといえば、国にもよりますし、いろいろでしょうけれど、これも少し古いデータで恐縮ですが、2015年までのアメリカの大規模自然災害の推移は、以下のようになっています。


earthreview.net

地震にしても、21世紀に入って、特に「大きな地震」が増えたということはあります。これはさらに古いデータですが、2010年までのマグニチュード6以上の地震の発生数の推移です。


indeep.jp

マグニチュード6規模の地震というのは、今では珍しくもなんでもない地震ですが、20世紀は非常に少なかったことがわかります。

今後も、「人的被害は増加していない」けれど「経済的被害はどんどん拡大していく」ということが続くのかどうかはわからないですが、自然災害そのものが減るということは現状ではあまり考えられないです。

そんなわけで、何となく違和感のあるグラフに関しての記事でした。







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