関東6都県に水を供給する利根川水系のダムの貯水率
本州も多くが梅雨に入りましたが、この冬の異例ともいえる暖冬とその後の高温も含めて、実はずいぶん以前から懸念されていたあることが表面化しています。
それは関東での「水不足の恐れ」です。
雨が少ないまま冬から春と過ぎていった結果、関東の6都県に水を供給している利根川水系のダムの貯水率が、6月7日時点としては過去最低となっているのです。
特に、上の表にありますように、貯水容量が最大の矢木沢ダムでは、貯水率が 22%になっていまして、この数値が今後も下がるようですと、「取水制限が梅雨の時期に始まる」という前例のない事態となる可能性があります。
しかも、5月からの貯水率の下がり方は異常ともいえるものです。矢木沢ダムは 5月27日に貯水率が 50%を割ったのですが、それから 10日間ほどで、貯水率 22%にまで落ちてしまったのでした。
5月27日に貯水率50%を割った際の矢木沢ダム
Sponsored Link
この矢木沢ダムの貯水率の落ち方の激しさは、貯水率の推移のグラフを見るとおわかりになるかと思います。
矢木沢ダムの平年と水不足に陥った平成6年と今年との比較
5月中旬からの貯水量の落ち込みがものすごいことがわかります。
平年のグラフ(黒点線)からわかることは、この時期は関東は、通常ですと梅雨ですので、貯水量は最大あたりをキープして進行していき、夏から秋になる頃に減り始めるということになっているのですが、今年は通常とはまったく違う曲線を描いています。
今後、通常通りに梅雨らしく雨が続いてくれればいいのですが、それは何ともいえないところです。
そして、仮に、梅雨に満足な雨が降らなかった場合、夏場は水の受容が大きくなると共に、普通は貯水率が下がりますので、関東での水供給に問題が起こる可能性もあるかもしれません。
水というのは、一般の生活用だけではなく、農業、工業に非常に影響を与えるものですので、水不足というのはいろいろ困るものですが、今の天候状況だと、どんなことがあっても不思議ではないです。
共同通信の記事を載せておきたいと思います。
利根川系ダム、貯水率49% 過去最低、取水制限も視野
共同通信 2016/06/07
関東の6都県に水を供給する利根川水系のダム8カ所の平均貯水率が7日、49%となり、同日時点の貯水率として過去最低を記録した。関東地方整備局(さいたま市)などでつくる利根川水系渇水対策連絡協議会が、臨時の幹事会を開いて明らかにした。
協議会は「非常に厳しい状況」とし、雨が降らない場合は来週にも、10%の取水制限をするかどうか検討する。
協議会によると、貯水率の低下はこの冬の記録的な少雪や5月以降の少雨が原因で、規模の大きい矢木沢ダム(群馬県)では貯水率が22%に落ち込んでいる。