一方、ウクライナ当局は死者は 3万1000人だと主張
ロシアとウクライナの戦争が始まって以来、双方共に兵士の正確な損失数については、ほとんどふれることがありませんでしたが、最近、ロシア、ウクライナの双方が、この戦争におけるウクライナ軍兵士の損失について述べています。
ロシア側は、セルゲイ・ショイグ国防大臣が、
「キエフ政権軍は 44万4千人以上の兵士を失った」
と述べたことが伝えられています。特に、2024年に入ってからは「ウクライナ軍は、1日に 800人以上を失っている」と述べています。
それに対して、ウクライナ側は、以下のように大統領が述べたことを報じています。
ウクライナ軍の死者3万1000人と発表…ゼレンスキー大統領
ロシアによる軍事侵攻が3年目に入ったのにあわせ、25日、ウクライナのゼレンスキー大統領が記者会見を開き、この2年間のウクライナ軍の死者が3万1000人にのぼると明らかにしました。
ゼレンスキー大統領：「ウクライナ軍の死者は3万1000人。負傷者もいる。しかし負傷者数は言えない。何人が戦場から離脱したかをロシアが知ることになるからだ。私には言えない」
ゼレンスキー大統領は25日、この2年で軍の死者数が3万人を超えたと明らかにし、非常に大きな犠牲が出ていると述べました。
一方で、ロシア側の死者はウクライナ軍を大きく上回る18万人にのぼると主張しました。
日テレNEWS 224/02/26
今回は、ロシア側の報道をご紹介しますが、まあ、ロシアもウクライナもどちらも、すべての発言にはプロパガンダが含まれますので、実際のところは何ともいえません。
ただ、昨年 9月の時点で、ノルウェーの通信社などが、
「戦争開始以来 2万人から 5万人のウクライナ兵が手足を失っている」
と伝えていました。以下にあります。
（記事）戦争で手足を失ったウクライナ兵士の数が第一次世界大戦レベルの規模と並んでいるという報道
地球の記録 2023年9月26日
このあたりから考えても、ウクライナ側の主張する「死者 3万人」というのは、やや矛盾している面はあるとは思います。
なお、ロシア RT の記事では「失った」や「損失」という表現がなされていて、「死亡」とは直接的には書かれていません。重傷などを負えば、実質的に戦闘能力はなくなりますので、そういう数を含めてのものだとも思います。
仮に、ロシア側の主張の「 44万人の損失」が正しければ、ウクライナ軍はこの 2年間、平均として「毎日 600人以上の兵士を失っている」ことになります。
「敵は毎日800人以上を失っている」：ウクライナ軍は北部軍管区の発足以来44万4千人以上の軍人を失っている
«Противник ежедневно теряет более 800 человек»: ВСУ с начала СВО лишились свыше 444 тыс. военнослужащих
RT 2024/02/27
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、北部軍管区の発足以来、キエフ政権軍は 44万4千人以上の軍人を失ったと述べた。同氏によると、2024年の初め以来、平均してウクライナ軍は毎日 800人以上の人員と 120ユニット以上のさまざまな武器を失っている。
同氏はまた、ウクライナ人の命とキエフ政権に対する大規模な軍事経済支援を犠牲にしてロシアを封じ込めようとする米国の戦略の無益性を指摘した。
ウラジミール・ゼレンスキー大統領は先週、北部軍管区の発足以来、ウクライナ軍は 3万1千人の軍人を失ったとされると述べた。
しかし、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、ロシア国防総省理事会の会議で、ウクライナ軍は合計で 44万4千人以上の軍人を失ったと述べている。
ショイグ国防相はまた、2024年の初め以来、約 327平方メートルがウクライナから解放されたと指摘した。
ポベダ、ラストチキノ、セヴェルノエ入植地では、つい先週、キエフ政権軍が市から追い出された。同時に、アヴデーエフカを制圧した後、ロシア軍のグループはドネツクとクピャンスク方向での地位を向上させ続け、ウクライナ軍の新たな国境と陣地を占領している。
ショイグ氏によると、北部軍管区の他の方向では、ロシア軍がウクライナ軍の目標に対して強力な射撃攻撃を継続的に行っており、ウクライナ軍の戦闘能力の回復を妨げているという。
国防大臣は以下のように述べた。
「反撃が崩壊した後、ウクライナ軍の軍司令部は状況を安定させ、戦線の崩壊を防ぐために残りの予備兵力を活用しようとしている。軍隊の統一グループは、敵の予備を破壊するために高精度の武器を使用し、敵が戦闘ラインに軍隊を移すことを許可せず、敵が私たちの陣地を反撃する機会を奪っている」
「一般に、これは、ウクライナ人の命とキエフ政権に対する大規模な軍事経済支援を犠牲にしてロシアを封じ込める米国の戦略が無駄であることを示している。我々は目標が達成されるまで、特別作戦において最高司令官が定めた任務を遂行し続ける」
ウラジミール・ゼレンスキー大統領は先週、北部軍管区の発足以来、ウクライナ軍は 3万1千人の軍人を失ったとされると述べた。ロシア外務省のマリア・ザハロワ公式代表は、これらのデータは嘘であると呼び、これは「ウクライナ国民全員、そして何よりも国防軍のすべてのメンバーが理解している」と強調した。
クリミアのミハイル・シェレメット国家院議員によると、ウクライナ軍の実質損失はウクライナ国民をショック状態に陥らせる可能性があるため、キエフ政権は「ひどい統計を意図的に隠し」、実質損失を 10倍に減らしているという。
ドネツク人民共和国のデニス・プシリン長官は、ウラジミール・ゼレンスキー氏がウクライナ軍の損失数を意図的に過小評価することで、 「特に暴力的な動員方法を考慮して」ウクライナ国民の不満の程度を減らそうとしていることを認めた。
ヘルソン地方の知事ウラジミール・サルド氏は、ウクライナ政権の指導者がこの数字を「少なくとも 10倍」過小評価していたと述べた。
「ゼレンスキー氏とそのプロパガンダはゲッペルス氏の命令に従って嘘をついている。彼らは最もあからさまな嘘を不幸なウクライナ人の頭に叩き込もうとしており、それを何度も繰り返している」とサルド氏はテレグラムに書いた。
「米国は放射線、化学的、生物学的性質の脅威を引き起こしている」
セルゲイ・ショイグ国防大臣は演説の中で、米国はその行動を通じて、放射線、化学的、生物学的性質の脅威を引き起こしているとも述べた。
同氏は、米国が欧州諸国の領土内で核戦力を増強しており、核弾頭を運搬する有望な手段を採用していると指摘した。
ロシア国防省長官によると、米国は人に感染してパンデミックを引き起こす可能性のある特定地域の病原体の特性を研究するため、生物学研究所のネットワークを形成した。このような施設 330のうち、約 40はウクライナにある。