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パンデミック 大量死 疾病と感染症

抗生物質が効かない薬剤耐性菌が原因で 2019年に「 500万人以上が死亡」していたことが医学誌ランセットに掲載された研究で判明

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数年前から「抗生物質への耐性を持つ菌」の拡大の懸念は語られていました。

それまで抗生物質だけで簡単に治ったような疾患が「治らなくなる」事態が世界中で起きていまして、しかも、それまで、まったく致死などのなかったような病気で亡くなる人たちも増加しています。

その大きな理由は「世界的な抗生物質の濫用」であり、これは人に対してだけではなく、飼育動物などへも徹底的に使われています。

2015年には「最強の抗生物質耐性菌」が登場しまています。これは、コリスチンという現在唯一の耐性菌への対処薬とされている抗生物質も「回避」するものです。

以下の記事でご紹介しています。

バクテリアが人類に勝利した日:「最終救済薬コリスチン」を含めた「すべての抗生物質が無効」のウルトラ耐性菌が猛スピードで全世界に拡大している
In Deep 2015年12月7日

また、耐性菌が次々と出てくる理由のひとつに、

「世界の水循環が抗生物質でまみれている」

ということもあるかもしれません。

自然の環境も多くが抗生物質に汚染されているため、耐性菌が出現しやすい環境になっています。

以下の記事にあります。

英国の大学が「抗生物質による河川の汚染状況」に関して史上最大の調査を敢行。その深刻さは、耐性菌と環境破壊のダブルの黙示録が進行している現実を示す
In Deep 2019年6月3日

 

現在は、このコロナの社会下で、人々の免疫能力が極端に下がっている可能性があり、この状況で、「さらに最強の耐性菌」などが出てきた場合、わりと悲劇的な状況も出てくるのではないかとも思われます。

最近、英BBCが、「 2019年に、耐性菌の感染症で亡くなった人の数は、関連する死亡を含めて 500万人以上」とする医学誌ランセットに掲載された研究を紹介していました。

論文は以下にあります。

2019年の細菌の抗菌薬耐性の世界的負担:体系的な分析
Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis

今後、この問題もコロナと共に大きくなりそうです。

英国 BBC の記事をご紹介します。


何百万人もの人々が薬剤耐性感染症で亡くなっていることを世界的な報告書は述べている

Millions are dying from drug-resistant infections, global report says
BBC 2022/01/21

抗生物質への耐性を持つ細菌「薬剤耐性菌」による感染症に関するこれまでで最大の研究によると、抗生物質に耐性のある細菌によって引き起こされた感染症の直接的な影響で、2019年に世界で 120万人以上が死亡していたことが明らかとなった。

これは、マラリアやエイズによる同年の死者より多い。

医学誌ランセットに研究結果が掲載された。

報告書は、影響を最も受けているのは貧困国だとしているが、同時に、薬剤耐性菌はあらゆる人たちの健康を脅かしていると指摘する。

この問題への対処としては、新薬開発への早急な投資と、既存薬のより賢明な使用が推奨される。

現在の、些細な感染症に対する近年の抗生物質の乱用は、深刻な感染症に対する抗生物質の効果が低下していることを意味する。

多くの人々が、それらを引き起こす細菌が治療に耐性を持つようになったため、以前は治療可能だった一般的な感染症で亡くなっている。

英保健当局は最近、薬剤耐性(AMR)について、抗生物質が責任をもって処方されなければ、新型コロナウイルス感染症に続いて出現する可能性のある「隠れたパンデミックになる」と警告した。

米ワシントン大学を中心とする国際研究チームは 204の国と地域を対象に分析を行い、薬剤耐性菌感染症による世界の死者数を推計した。

2019年に細菌の薬剤耐性菌感染症に関連する病気で死亡した数は最大 500万人と推定した。これには、細菌の薬剤耐性菌が直接的原因となって死亡した120万人が含まれる。

一方で、同年にエイズで死亡した人は約 86万人、マラリアで死亡した人は約 64万人だったとされる。

薬剤耐性菌による死因の多くは、肺炎などの下気道感染や敗血症を引き起こす血流感染だった。

特に致命的なのはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)だったが、大腸菌やほかの一部の細菌でも高レベルの薬剤耐性との関連性がみられた。

病院や研究機関などの患者記録を調べたところ、幼い子どもたちが最も危険にさらされており、薬剤耐性菌関連死の約 5分の1は 5歳未満だったという。

研究では、薬剤耐性菌による死者はアフリカのサハラ砂漠以南と南アジアで最も多く、10万人あたり 24人が亡くなったと推計した。一方で、高所得国では10万人あたり 13人と最も少ないとした。

米ワシントン大学の保健指標評価研究所のクリス・マレー教授は、この最新データは世界における薬剤耐性菌の実際の規模を明らかにし、「我々が薬剤耐性菌との闘いで優位に立ちたいのであれば、早急に行動を起こす必要がある」という明確なシグナルを発していると述べた。







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