日本を含む先進国の3年間の努力の結果がここに
このパンデミックは、全体を通して、常に「高所得国」に分類される国々の感染数やコロナ死亡数が多いまま経過しましたが、最近の流行の拡大の中で、その差がさらに広がっています。
高所得国というのは、一般的には「先進国」という定義と似ていますが、世界銀行の定義では、国民1人あたりの国民総所得が 13,205 ドル (約 170万円)以上 (2021年)の経済国ということだそうです。つまり、高所得国とは、日本を含めた、北米、ヨーロッパのほとんど、オーストラリア等が含まれる国 (中国やインドは含まれない)で、世界銀行によると、2021年で 82カ国あるそうです。
以下の濃い青 (■)が、世界銀行による高所得国です。薄い青は、以前、高所得だった国です。
World Bank high-income economy
それに対して、一般的には「発展途上国」というように言われる、国民 1人あたりの国民総所得が 13,205 ドルに届かない国は、「低中所得国」として分類されます。上のマップで、グレーのままの国すべてがそうです。
その「高所得国」と「低中所得国」の過去 9か月間の「人口 100万人あたりのコロナ死者数」の比較が以下のグラフです。
人口100万人あたりの高所得国と低中所得国のコロナ死者数の推移の比較
ourworldindata.org
1月15日の数字は、人口100万人あたりのコロナ死亡数は、
・高所得国 1.63 人
・低中所得国 0.01人未満
となっています。
これは「 0.01%未満」とあり、倍率の計算ができないですが、実数では、1月15日の新たなコロナ死者数 (7日移動平均)は以下のようになっています。
・高所得国 2,036人
・低中所得国 1.86人
人口あたりの1日のコロナ死亡数は、実に、
「高所得国は、低中所得国より 1090倍多い」
ことがわかります。
パンデミック全期間の「累積死者総数」のグラフもすごいですよ。
低中所得国は、ほとんど上昇していないのに対して、高所得国は、一貫して上昇しています。
高所得国と低中所得国のコロナ「総」死者数の推移の比較
ourworldindata.org
なお、先ほどの「高所得国」のリストには、世界で最も人口が多い国である中国とかインドなどが入っていません。そのため、人口の実数としては、低中所得国が圧倒しています。それでこれです。
日本や韓国、アメリカ、ヨーロッパなどの「先進国」が、この3年間、パンデミック対策としてやってきた結果がこれです。
最初からこうなると考えていたのか、これが計算違いなのかは知らないですが、これが現実です。
ロックダウンにマスクにワクチン、すべてを投入した3年後に、このような結果が示されていて、そして、「これからも死者は増える」と見られます。
その理由は、これらの高所得国では、
「現在、過去最大のコロナ死が起きている」
からです。
冬期であることを含めて、これが今後さらに拡大する可能性があります。
以下の記事で、日本とヨーロッパについて記しています。
[記事] ジ・エンドに向かう欧州、そして日本
In Deep 2023年1月7日
この 1月7日の時点で、ヨーロッパでは以下のようなコロナ死の数字が示されていました。
ヨーロッパの惨状
(参考記事)フィンランドの1日の新たなコロナ死者数がパンデミック以来で最多の330人に(2023/01/07)
(参考記事)デンマークの1日の新たなコロナ死者数がパンデミック以来で最大に(2023/01/07)
(参考記事)スウェーデンの1日の新たなコロナ死者数が過去約1年9か月で最大の315人に (2023/01/07)
(参考記事)ベルギーの1日の新たなコロナ死者数が過去約2年で最大の167人に(2023/01/07)
(参考記事)イタリアの1日の新たなコロナ死者数が過去2年で最大の798人に (2023/01/07)
(参考記事)フランスの1日の新たなコロナ死者数が過去10か月で最大の423人に (2023/01/07)
(参考記事) 日本の1日の新たなコロナ死者数が過去最多を更新 (2023/01/06)
このようなことになった主要な原因は何かというような「野暮なこと」は書くつもりはありません。あまりにも明白です。
根本的に方向を転換しないと、今後手の打ちようがない事態にまで進んでいくと思います。
先進国は、そのほぼすべての国が、もうすでにその最初の段階に入り始めているのですから。