最期の食糧危機 異常気象

オランダのほとんどの地域が「過去100年で最大の月間雨量」に見舞われ、主食のジャガイモを含む農作物の収穫が絶望的な状況に

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世界各地で乱れ始めている気象

エルニーニョのせいなのか他にも原因はあるのかどうかはよくわからないですが、世界的にどうも気象条件が荒れています。

今年の日本は(今のところ)比較的穏やかですので、あまり実感がわかないのですが、世界のさまざまな場所が通常とはやや異なる気候や気温に見舞われています。

今回は、4月から 5月にかけて異例の雨に見舞われ続けているオランダについてご紹介しますが、最近のブルームバーグによれば、世界の主要な農産地が以下のような天候に見舞われているようです。

4月から5月の世界の主要な農作地の状況の一部

ロシア黒海地域の干ばつ:ロシア最大の小麦輸出地帯は、数週間にわたる暑さとロシア南部の雨不足により、重要な水分を逃す恐れがあり、アナリストたちは収穫予測を下方修正した。気象予報士たちは、ロシアの冬小麦産地の半分は今後 2週間、さらに乾燥しすぎる状態が続くだろうと述べた。

ウクライナ戦争:ここ数週間、ウクライナの小麦畑は乾燥により不作となっているが、戦争は他の問題も引き起こしている。農業インフラへの攻撃は輸出を脅かし、多くのウクライナ男性が軍隊に入隊しているため労働力が減少している。

西ヨーロッパの雨天:北西ヨーロッパ全域では、非常に雨の多い春で、これが作物の生育に悪影響を及ぼした。冬作物の品質も、供給が食用になるか家畜の飼料になるかを決定するが、これも悪影響を被る可能性がある。英国、ドイツ、フランスでは春の小麦の作付けが遅れている。

干上がったオーストラリア:オーストラリア各地で乾燥した暑い夏が続いている。最近の雨で、小麦の主要州である西オーストラリア州の一部地域は多少の緩和がみられたが、農家は依然として慎重だ。発芽後に雨が止むと、同州の作物が「枯れる」恐れがあるとアナリストは述べている。

乾燥した米国: 4月初旬から干ばつが米国の冬小麦畑の広い範囲を襲っており、最近の予報では雨が降るとされているものの、春の植え付けに対する懸念は続いている。それでも、米国の冬小麦は例年よりも良い状態にあり、春の植え付けは 5年間の平均ペースを上回っている。

このようなこともあり、国際小麦価格は、9ヵ月ぶりの高値に達しています。

他の地域でも、農作に影響が出ているかどうかはわからないにしても、農業大国のインド北部では「観測史上最高気温(49.9℃)」が記録されていたり、やはり、コメの主要な産地であるタイでも、4月から猛暑と干ばつが続いていて、「各地で雨乞いが行われた」という報道もご紹介したことがあります。

中国では、重要な漢方薬原料の特産地が壊滅的な雹(ひょう)嵐で一部の農作地が全滅したりしていまして、世界的に見れば、天候は穏やかではないです。

とにかく「極端」なんですよね。

農業大国が多いヨーロッパに関しては、多くの場所や地域でとにかく雨が多いようで、作物の成長に影響が出ているようです。

今回ご紹介するのは、オランダの状況についての同国の報道です。

ちなみに、報道の文章の最初が「フライドポテトの価格も上昇するでしょう」で始まっているのですが、オランダ人は、やたらとフライドポテトを食べるんですよ。冗談ではなく、フライドポテトが主食なんです。

主食であり、オカズでもあるということで、それだけにジャガイモ価格の高騰は、オランダ人にとっては大きなことらしいです。





極端な降雨で野菜が地中で腐ってしまう:「それは必然的に野菜の流通不足につながる」

Groenten verrotten onder de grond door extreme regenval: 'Dat gaat onherroepelijk tot tekorten leiden’
ad.nl 2025/05/27


農家サンダー・タッケンさんの浸水した畑で収穫された2023年収穫年(つまり本来なら昨年収穫されていたはずの)のテンサイ。商品にはならない。

オランダの農地の畑は、大雨のために泥の水たまりと化している。収穫は失敗し、作物の種まきはずっと後になるまでできないため、今年の収量は期待外れになるだろう。これは消費者に影響を与えるはずだ。専門家たちは、この秋にはタマネギ、ニンジン、ジャガイモ、そしてさらに多くの作物が高価になると予測している。

ワーゲニンゲン大学の研究者バート・スミット氏は以下のように言う

「フライドポテトの価格も上昇するでしょう」。

しかし、フライドポテト価格がどの程度上昇するかを予測することは不可能だという。来年の夏がどうなるか次第だ。しかし、スミット氏は多くの農民にとって暗い絵を描いている。

「確かなことは、今年農家が土地から得られる収量は大幅に減少するだろうということです。このまま土地が湿ったままでは作物は不作になり続けるしかありません」

これは、現在地中にある野菜は、湿気が多すぎるために地下で腐ってしまうという意味だ。ここ数カ月のオランダでの雨は極端で、一度に 50ミリを超えることも多い。

5月には平年の 3倍以上の雨が降った地域もあった。 4月は過去 100年で最も雨が多かった月だった。その前の数か月も非常に雨が多かった。

このことは、「多くの作物の種まきや植え付けが遅すぎた」という痕跡を残したとスミット氏は言う。

多くの場所では、すでに植えられた作物を土地から取り除くのは困難または不可能だ。機械は湿った耕作可能な畑に入ることはできない。

非常に懸念している耕作農家の一人が、北リンブルグ州の 800ヘクタールでジャガイモ、ニンジン、ホウレン草、ネギなどを栽培している野菜栽培会社タコのサンダー・タッケン氏だ。 彼は耕作可能な畑がいかに劣悪であるかを示した。

 

2023年産のテンサイ

例えば、同社から車で 10分ほどの場所には、湿地となり全く収穫できなかった 2023年産のテンサイがまだ残っている。本来なら昨年の 11月に収穫するはずのテンサイだが、この泥だらけの水たまりではそれは不可能だった。

それらのテンサイにはもはや何の価値もない。おそらくさらに悪いことに、そこで新たな作物を栽培することは不可能なのだ。 「今頃ここにはエンドウ豆が生えているはずでした」と彼は言う。

車で 5分ほど離れたところに別のホウレン草畑があるが、そのほとんどがずぶ濡れになっている。 「多くの場所で黄色いホウレン草しか育ちません。黄色いホウレン草は商品になりません」

タッケン氏は、今後の夏の残りの気候がどうなるかにもよるが、雨天による会社への被害は「数十万ユーロ(数千万円)」になると見積もっている。見通しは芳しくなく、指定された畑の 25%にしかジャガイモを植えることができていない。

オランダ農業園芸機構の耕作グループ会長のティネケ・デ・フリース氏は、南オランダと北オランダ、フリースラント州、フローニンゲン、ゼーウス・フラーンデレンの一部でも状況は非常に悪いという。 「それほどひどい状況ではないのは、オランダ北東部の一部だけです」

 

予測不可能

デ・フリース氏はまた、収穫がどれほどひどいものになるかを予測する勇気もないと述べる。

「良い夏になるなら、まだ挽回することはできます。その場合は土地からそれを収穫することができなければなりません。それは今はうまくいきません。にわか雨には慣れていますが、今の天気は異常です。一度に 50ミリ以上降ることもしばしばなのです。私たちはそれに対応することはできません」

 

フライドポテトの価格が高騰している

いずれにせよ、消費者は不作の影響を自分の財布に感じることになるだろう。研究者のバート・スミット氏はジャガイモを例に挙げている。

「オランダだけでなく、ベルギー、フランス、ドイツでも農作の状況は良くありません。ベルギーでは、ジャガイモのわずか 50%しか収穫されていません。そうなると必然的に欠品が生じてしまいます。まず第一に不足するのは食事用のジャガイモですが、最終的には、ポテトチップスも不足します。それらは今のところ冷蔵倉庫にありますが、倉庫の在庫も空になりつつあるのです」

スミット氏によると、これはジャガイモだけではなく、同じことが他の作物にも当てはまるという。







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