2016年3月22日のロシアの報道より。次々と牧畜が死んでいく中で生活を続けるモンゴルの遊牧民たち
・NTD
この冬、モンゴルで「ゾド」と呼ばれる厳しい気候での自然被害状態による被害が拡大し続けていて、多くの家畜が死亡しています。
その数は 35万頭に達すると言われています。
ゾドとは、日本学術振興会のページによりますと、下のような状態をあらわす現地の言葉のようです。
Dzud ゾド(寒雪害)
ゾドとは、モンゴル語で寒候季の厳しい状態である。すなわち、ゾドとは、放牧されている家畜が大量に餓死する直接的な原因となる、冬・春の草地の地表面状態あるいは天候である。
主な原因は三つに分けられ、草地を覆う雪氷、牧草の欠乏、草地での草や水の摂取を阻むような数日続く悪天である。
現在のモンゴルの牧草地の様子
3月の初めには、人道支援団体の赤十字も、モンゴルへの国際的な支援の要請にの関しての声明を発表していましたが、ここに来て、さらに厳しさを増しているようです。
2016年3月2日の赤十字のプレスリリースより
ロシアのメディアの報道をご紹介しておこうと思います。
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モンゴルで動物たちが餓死し続けている
モンゴルで、牛たちが飢餓により死んでいる。モンゴルの冬の砂漠の雪の状態、それは「ゾド」と呼ばれるものもので、現在のゾドは特にひどいものとなっており、この冬、モンゴルでは数十万の放牧家畜が死亡した。
牧婦のバヤンカンド・キャグマールさんは、400頭以上の動物を失った。多くが飢えと寒さによるものだった。
バヤンカンド・キャグマールさん
彼女は、家畜たちを少しでも残そうと努力しているが、希望は薄いと言わざるを得ない。乾燥した夏になれば、食料の保存も尽きる。
以下は、彼女の言葉だ。
【バヤンカンド・キャグマールさんの話】
「私はこんな厳しい冬を今まで経験したことがありません。今までのゾドの中で最も深刻なものです。以前も、ゾドで動物を失うことはありましたが、こんなにたくさんの動物を失った経験はありません」
モンゴルの数多くの遊牧民たちの持つ動物は、今年3月上旬までに 35万頭が死亡した。草原に広がる雪は5月のはじめまで残ると見られている。
国連の推計によると、モンゴルの家畜の大量死により、牧畜民の 40%が影響を受ける可能性がある。赤十字はモンゴルの畜産関係への緊急金融支援の提供を呼びかけている。
赤十字によれば、現在、何千人もの牧畜民たちが生活を失っており、しかし、彼らのほとんどはウランバートル、あるいは都市部への移動をするとは思えず、ひどい貧困に直面する可能性がある。