中国の地図から消えたイスラエルという国
興味深い話だと思いましたが、米ウォールストリートジャーナルが、
「中国のオンライン地図からイスラエルの名前が消えた」
として以下のように報じていました。
中国のオンライン地図からイスラエルの名前が消えた
中国のインターネットユーザーは、バイドゥやアリババの主要なオンラインデジタル地図にイスラエルという国名が表示されていないことに当惑を表明している。
バイドゥの中国語オンライン地図は、国際的に認められているイスラエルの国境、パレスチナ領土、主要都市の境界を示しているが、現在、国名は記されていない。
アリババの Amap が作成したオンライン地図にも同様のことが当てはまる。
これらの地図では、ルクセンブルクのような小さな国もはっきりとマークされているにも関わらず、イスラエルの国名は記されていない。
両社とも質問には回答しなかった。この状態が最近行われたものかどうかは不明だが、戦争勃発以来、このことについて、中国のネットユーザーの間で議論されている。
WSJ 2023/10/31
具体的には、以下のようになっています。日本語で注釈を入れています。
「イスラエル」の国名が消えたバイドゥ(百度)のオンライン地図
NEXTA
Googleマップでの同じエリアは以下のようになります。
Google Map
これについて伝えていた米ゼロヘッジの記事をご紹介します。
中国がオンライン地図からイスラエルを消去したとの報道
Reports Say China Scrubbed Israel From Online Maps
ZeroHedge 2023/11/01
ガザの死者数は 8500人を超え、その大半が民間人となっている。その中で、イスラエルの軍事行動に対する中国の痛烈な批判はこのところ高まっているが、今週は新たな事案にまでエスカレートした。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、いくつかのオンライン地図からイスラエルという国が消えたのではないかというネットユーザーの疑念が深まっていることを認めた。以下のように書いている。
中国のインターネットユーザーは、バイドゥやアリババの主要なオンラインデジタル地図にイスラエルという国名が表示されていないことに当惑を表明している。
バイドゥの中国語オンライン地図は、国際的に認められているイスラエルの国境、パレスチナ領土、主要都市の境界を示しているが、現在、国名は記されていない。
国際的に認められているイスラエル国家の国境も地図から欠落している。報告書は、10月7日の紛争の始まりとその後のイスラエルによるガザ爆撃作戦以来、人気のある地図上でイスラエルが「行方不明」になっている可能性があると述べている。
ウォール・ストリート・ジャーナルも指摘しているように、中国のバイドゥとアリババの大手企業はいずれもイスラエルの国名情報が欠落していることを公的には認めていない。
中国政府は長年にわたり、ホテルのウェブサイトなどオンラインで公開された地図について、南シナ海の周囲に延びる 9点線を残すなど、中国政府の領有権主張を厳格に順守していない場合は、それを非難し、罰金を課してきた。これらの中国政府の領有権主張は国際的には認められていないものだ。
今回の件は、たとえば、西側が台湾を中国本土から独立したものとして描くなど、中国政府が激しく反対する地図を西側の情報源が公表したことへの微妙な「報復」ゲームである可能性がある。
さらに、中国はここ数カ月間、外交政策をグローバル・サウス(※ アジアやアフリカ、中南米などの新興国・途上国の総称)とますます一致させており、ガザ危機はこの傾向をさらに示すものだ。
外務省の声明の中で、中国当局者は、ハマスによる 10月7日のテロ攻撃の非難に焦点を当てるのではなく、イスラエルによるガザ民間人爆撃を一貫して強調してきた。
「どの国にも自衛の権利があるが、どの国も国際人道法を遵守し、民間人の安全を守るべきだ」と王毅氏は 1週間前、イスラエルの担当者エリ・コーエン氏に語った。
そして、在フランス中国大使館からの以下の挑発的なツイートは、新疆ウイグル自治区のウイグル族に対する西側の主張を拒否し、一方でガザが廃墟にあることを強調している。
在フランス中国大使館によるツイートの写真
Ambassade de Chine en France
王毅氏は「いかなる決議も平和につながる限り、中国は断固として支持する。いかなる決議もパレスチナとイスラエルの和解につながる限り、中国は最善を尽くす」と述べた。
この現在の危機が終わるまでに、明らかに悪化しているイスラエルと中国の関係がどうなるかを見るのは興味深い。