世界の肥料価格が40%上昇している中で
ホルムズ海峡の閉鎖による影響により、世界の肥料価格が上昇しています。
海峡の閉鎖で肥料価格が上昇する大きな理由としては、
・世界の「肥料の3分の1」がホルムズ海峡を通過している (記事)
ことと、
・肥料の生産に不可欠な天然ガスの輸送が止まっている
ことなどがありますが、他にもいろいろな要素がありそうです。
この状態が続くと、世界のほとんどの国の農業が影響を受けることになると思われますが、そんな中、
「中国が肥料の輸出を停止した」
ことが伝えられています。
日本の肥料は、ほぼ 100%が輸入に依存していますが、中国への依存度がかなり高いのですね(リンに関しては約 7割が中国からの輸入)。
世界の肥料価格は、2022年にロシアのウクライナ侵攻があった際に異様な高騰を見せましたが、これは、肥料の原料である「硝酸アンモニウム」の世界最大の輸出国であるロシアが、当時、輸出を停止したことなども理由でした。
・肥料の原料「硝酸アンモニウム」の世界最大の輸出国であるロシアが、輸出を停止
地球の記録 2022年2月28日
2025年までの肥料価格の推移は、以下のようになっています。
肥料価格の推移(DAPはリン酸二アンモニウム)

日本経済新聞
報道にあるように、現在 2025年の数値から 40%上昇しているとすれば、2022年の高値を上回っている可能性もあります。
今回ご紹介する農業関係メディアの記事では、米国肥料協会の上級エコノミストが、
「状況が変わらなければ、2022年よりもずっと悪化するだろう」
と述べていますが、ホルムズ海峡の封鎖が続いた場合、世界的な肥料危機に発展する可能性がかなりあり、それが大きな食糧危機につながる可能性もあります。
そのような中で、肥料の輸出を禁止した中国の判断は国家としては妥当な政策でしょうが、日本を含めた周辺国への影響がどうなるのかはわかりません。
中国の肥料輸出停止についての報道です。
中国は深刻化する危機を受けて肥料の輸出を制限した
China has restricted fertilizer exports amid the growing crisis
Ukr Agro Consult 2026/03/17

ブルームバーグの報道によると、中国政府は国内輸出業者に対し、窒素・カリウム混合肥料の輸出停止を命じた。
中国当局は尿素の輸出制限については割当制という形で、すでに実施されていることを確認した。この種の肥料の価格は世界市場で 1.4倍に高騰している。
中国は依然として世界有数の肥料生産国だ。報道機関への発言を許可されていないため匿名を希望した情報筋によると、中国は複合肥料を含むほとんどの種類の肥料の出荷を事実上停止しているという。
中東紛争により肥料の供給が減少し、世界中で価格が急騰している。最も広く使用されている窒素肥料である尿素のスポット価格は、米国とイスラエルによるイラン攻撃開始以来、40%近く上昇し、1トン当たり 700ドルに達している。
米国とイスラエルによるイラン攻撃およびホルムズ海峡封鎖以降、肥料原料の価格は急激に上昇している。
肥料生産に不可欠な尿素の世界生産量の 3分の1、アンモニアの世界貿易量の約 4分の1がペルシャ湾地域から供給されているためだ。肥料は農業生産コストの最大 25%を占める。
フィナンシャル・タイムズによると、ペルシャ湾岸諸国では、生産中または積み込み中の肥料が 110万トン以上(うち尿素57万トン)滞留しているという。
世界の食料生産の約半分を担う窒素肥料は、天然ガスを用いてアンモニアから製造されるが、世界有数の生産地である中東地域では、天然ガスの生産と供給が途絶えている。同時に、ガス価格は数十パーセント上昇している。
この危機は北半球の作付けシーズンの始まりと重なり、企業関係者は米などの主要作物の収穫量減少を警告している。
「状況が変わらなければ、2022年よりもずっと悪化するだろう」と、米国肥料協会の上級エコノミストであるベロニカ・ナイ氏は述べた。ナイ氏によると、紛争が続くにつれて状況は急速に悪化しているという。

