異常な現象 自然の力

南極最大の棚氷が分離寸前の状態に。もうじき「面積5000平方キロメートルの世界最大の氷山」が誕生する

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2017年6月5日のチリの報道

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南極の最も北部にある南極最大の棚氷が、「分離間近」となっています。棚氷とは、陸上の氷床が海に押し出されて、陸と連結して海洋上にある大規模な氷で、つまり「氷の山」のような状態のものです。陸地とつながっている場合は安定していますが、分離した場合、「海に解き放たれて氷山となる」ものです。

この棚氷は「ラーセンC棚氷」と名づけられている棚氷で、下の位置にあります。

・NASA

その亀裂は、今年初めに確認されていましたが、いよいよ「分離が近い」というところにまで進んでことが発表されています。

広大に伸びるラーセンC棚氷の亀裂

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なお、冒頭の報道はチリの報道で、タイトルが「チリ領南極」という馴染みのない表現となっていますが、これは、Wikipedia によれば、

チリ領南極とは1940年以来チリが自国の領土と主張している南極大陸の一部領域である。

というもののようです。

いずれにしても、この南極北部のエリアにある巨大な棚氷の崩壊までカウントダウンとなっているようです。

崩壊中のラーセンC棚氷の亀裂

 

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このラーセンC棚氷の割れ目は今年1月に確認されていて、その際の「南極の棚氷に亀裂 巨大な氷山が海に? (BBC 2017/01/06)」という報道には、

> 分離すれば5000平方キロメートルの氷が漂流し始めることになる。

という、この崩壊の大きさが示されていました。

いかに巨大な氷が分離しようとしているかがわかります。

なお、南極の棚氷の崩壊は過去にも起きていますが、その原因については実はわかっていません。気候変動とは関係ないことであるという論文(Larsen C Ice Shelf Crack Not Related To Climate Change)も最近、示されています。

今回の棚氷の崩壊について AFP の報道から抜粋します。


南極で巨大棚氷が崩壊間近、世界最大の氷山誕生へ

AFP 2017/06/02

南極のラーセンC棚氷から、米デラウエア州の面積に匹敵する約5000平方キロメートルもの巨大な氷塊が分離する目前だと、科学者らが発表した。世界最大の氷山になるという。

ラーセンCにできた亀裂を観測している研究者らが所属する英ウェールズのスウォンジー大学は、衛星データをもとに「ラーセンCの亀裂から、過去最大級の氷山ができそうだ」との声明を発表した。

厚さ約350メートルの棚氷に走った亀裂は6日間で17キロ広がり、南極大陸を覆う氷床につながる部分はわずか13キロまで減少した。「分離のときは恐らく非常に近い」とスウォンジー大の声明は述べている。

ラーセンCは南極最北かつ最大の棚氷だが、亀裂ができた部分の氷塊が分離すると全体の10%が失われ、面積は記録上で最小となる。

既に大陸から海にせり出した部分なため、分離しても海面上昇にはつながらないが、残った棚氷が不安定化し崩壊しやすくなる恐れがある。

その結果、内陸部の氷河が海へ流出すれば、地球全体の海面が約10センチ上昇すると予測されている。







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