ノルウェー・トロンハイム市の地方紙より
trondheim.dagbladet.no
超過死亡率の上昇に歯止めがかからない欧州で
主要国で、超過死亡率が過去にないほど上昇していることは、今年の夏から公式データで明確でした。以下の記事など何度か取りあげています。
[記事] 超過死亡率データを見て思う緩慢に進む子どもたちのジェノサイド
In Deep 2022年8月25日
上のタイトルに「子どもたちのジェノサイド」とありますが、EU における超過死亡の公式データを発表している EuroMOMO のデータでは、特に、
「 0 - 14歳の超過死亡数が異様な上昇を示している」
ことが示されていることからのものです。
その傾向は現在も同じです。
以下は、 EuroMOMO の最新のデータ (2022年 第50週まで)で、0歳 - 14歳までの死亡数の比較として、
・2020年のデータ
・2022年のデータ
となります。
2022年第50週までの欧州の超過死亡数の推移を2020年と比較
EuroMOMO
他の年齢層では、それほど大きな差はなく、この最も若い年齢層での超過死亡率の増加が著しくなっています。もはや「〇〇パーセントの増加」という表現にはならないものであり、数千あるいは数万パーセントなどとなっています。
このことを最初に取りあげましたのは、今回の本題「ノルウェーでの死亡数が急増ということに関して、ご紹介するノルウェーの報道では、「年齢層が示されていない」ということがあり、現在のヨーロッパではこういう年齢層に過剰死が広がっているということから、若い年齢層の死亡がノルウェーでも増えているのだろうかと思った次第でした。
先日、以下の In Deep 記事で、日本のコロナ死亡数について書きました。
[記事] 日本の1日のコロナ死者数がパンデミック以来最多を記録。ここまでの歴史をデータで見ると共に、これが抗体依存性感染増強だと確信できる中、つまり次は「数千万人」の段階へと
In Deep 2022年12月24日
その後、厚生労働省のデータの数値が改訂されていまして、「過去最多ではない」数値(当初の 371人から 339人になっていました)になっていますが、毎日 300人以上が亡くなっているということについては、特に最多であるとかそうではないとかは関係ないことです。
要するに、「日本の葬儀数もかなり増加している」と考えられます。
同様のことが主要国全体で起きていると見られますが、全体の葬儀数のデータというものは、ほとんど存在しないもののようで、よくわからないです。
今回ご紹介する報道は、ノルウェーのトロンハイム市という、ノルウェー第3の都市の最大の葬儀会社についての報道です。
死者が急増していることが書かれてありますが、死因の詳細のデータにはふれられてはいませんので、死者の急増の原因は不明です。
葬儀場の危機
Begravelsesbyråene: Det er krise
trondheim.dagbladet.no 2022/11/29
トロンハイム市で死者数が極端に増加している。葬儀会社スバンホルムは、スペースを空けるために死者をガレージに保管しなければならなくなっている。
ラース・スバンホルム氏は、以下のように述べた。
「それは著しい増加であり、私たちは 4世代この仕事を続けていますが、このようなことを経験したことはありません」
スバンホルム氏は、トロンハイム最大の葬儀会社であるスバンホルム社のゼネラルマネージャーであり、この会社で働く 4代目だ。
トロンハイムでは、過去 1年間で、死亡者数が 28%増加し、葬儀の運営上の大きな問題が生じている。
今、スバンホルム氏らは、すべての死者を管理し、対処するために、ガレージに緊急冷蔵室を開くことを余儀なくされているという。
恐ろしいインフルエンザの季節
ここ数か月で、状況が急上昇したと スバンホルム氏は言う。
大幅な死者の増加の結果の 1つとして、より多くの冷蔵室を準備することで、危機への備えに対応することだった。通常、このような対処は大規模な災害や事故のために行われる。
キャパシティの問題の結果として、葬儀を行うのに最大 2週間待たなければならない状況だという。
スバンホルム氏はこう述べる。
「インフルエンザやコロナでこれからの時期をどう乗り切ればいいのか、とても心配です」
「私は、死亡者数が大幅に増加しないことを願っていますが、今後 6か月は非常に困難な時期になりそうです。現状でのグラフは非常に良くない先行きを示しています」
「すでに、私たちが良い形で葬儀を提供できる限界に達しています」
これまでに見たことのない増加
ノルウェー統計局の統計によると、今年は昨年よりも 16パーセント多くの人が亡くなっているとノルウェーTV2が報じた。
トロンハイムだけではなく、ノルウェー全土で一様に死者が増加している。今年の死亡者数は、昨年よりも大幅に多くなると予想されている。今年の 1月から 10月までの死亡者数は、前年同期よりも 10%増加している。
これは、ノルウェー統計局の上級顧問であるアンダース・ソンステボ氏によると、これまで見たことのない増加だという。
ソンステボ氏は以下のように述べた。
「高齢化の波が広がっているために、多くの人が亡くなること自体は理解できないことではないですが、ただ、私たちが予測していたよりも多くの人たちが亡くなっています」
クリスマスから新年は難しい時期となる
スバンホルム氏は、死亡者数の大幅な増加を経験しているのはおそらくトロンハイムだけではなく、大都市で特に顕著になるだろうと述べている。
「もちろん、地方自治体によって地域差はありますが、すでに、死亡数が 10 ~ 30%の増加を経験した自治体もあります」
スバンホルム氏は、自身の葬儀場は、危機への対応が整っていると強調しているが、今後さらに状況が悪化した場合、より大きな問題を経験する可能性があると考えている。
クリスマスと新年などの休日は、通常でも葬儀上での大きな問題となっており、今後厳しい統計が出てきた場合、このクリスマスから新年の期間は今年の葬儀担当者たちにさらに大きな課題となる可能性がある。