異常な現象 疾病と感染症

中国に世界初の「AI病院」が開設される

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AIヘルスケアのコンセプト写真。globaltimes.cn




わずか数日で1万人の患者を治療できるAI医師

中国で、「初の AI 病院タウンが誕生」という報道がありました。

報じていたのが、グローバルタイムズという、これは中国共産党の直属の報道メディアのひとつであるものですので、国家的な喧伝ということでもあるかもしれません。

この AI 病院は、要するに「仮想空間」のようで、

> この仮想世界では、すべての医師、看護師、患者は、自律的な対話が可能な大規模言語モデルを搭載したインテリジェントエージェントによって駆動される。

とあります。

とりあえずは、医師も看護師も「患者」も、全部 AI から作り出されるもののようですが、将来的には、「 AI 医師が人間の患者を治療する」という方向に進むようです。

「AI医師はわずか数日で1万人の患者を治療できる」とのことです。

まあ、現実問題として、現在の医学の多くの部分が、

「医師がパソコン画面を見ながら、処方する薬をリストから決めるというのが治療」

になっていますので、AI に取って変わられても、薬の選択の速度が上がる程度で、大した差はないのかもしれません。

最近のお医者さんたちは、診察の間ずっとパソコンの画面を見ていて、患者さんの顔さえ見なかったりしますし。

そもそも、現在の医学は、多くの病気に対して「対象療法」のみであり、根本的な治療法が存在していないものばかりですので(ほんの一部にだけ根本的な治療が存在します)、人間の医師であろうと、AI 医師であろうと、あまり変わらないのかもしれません。薬を処方するだけという点においては。

中国グローバルタイムズの記事です。





中国初のAI病院タウンが誕生

China's first AI hospital town debuts
Global Times 2024/05/29

人工知能でヘルスケアに革命を起こす


清華大学AIエージェント病院の研究チーム。

人工知能(AI)はさまざまな業界で波を起こしているが、医療分野も例外ではない。最近、中国の研究者たちが AI 病院タウンを開発したというニュースが入った。

グローバルタイムズとの最近のインタビューで、中国の研究者たちは、この革新的なアプローチが医療に及ぼす実際的な影響について明らかにした。

仮想患者が AI 医師によって治療される AI 病院タウンのコンセプトは、医療専門家と一般の人々の両方にとって非常に重要な意味を持っている。

この AI 病院は、シミュレーション環境を通じて医師エージェントをトレーニングし、自律的に進化して病気の治療能力を向上させることを目的としている。

最近、清華大学の研究者が「エージェント・ホスピタル」と呼ばれる AI 病院を開発した。この仮想世界では、すべての医師、看護師、患者は、自律的な対話が可能な大規模言語モデル(LLM)を搭載したインテリジェントエージェントによって駆動される。

驚くべきことに、 AI 医師はわずか数日で 1万人の患者を治療できる。

人間の医師がこれほど多くの患者を治療するには、少なくとも 2年かかる。さらに、進化した医師エージェントは、主要な呼吸器疾患をカバーする MedQA (米国医師免許試験問題)データセットで 93.06% という驚異的な正解率を達成した。

AI 医師は、診察、検査、診断、治療、フォローアップなど、患者の診断と治療の全プロセスをシミュレートする。

 

期待される実用的なメリット

エージェント・ホスピタルでシミュレートされる環境は、患者と医療専門家の 2 の主要な立場で構成されている。それらの役割情報は GPT-3.5 (OpenAIが開発した自然言語処理のモデル)によって生成され、無限に拡張できる。

エージェント・ホスピタルにはさまざまな診察室と検査室があり、一連の医療専門家インテリジェントエージェントが機能する必要がある。そのため、研究者は 14人の医師と 4人の看護師の構成を設計した。

医師エージェントは病気を診断して詳細な治療計画を策定するように設計されており、看護エージェントは日常のサポートに重点を置く。

この AI 病院タウンは、実際のヘルスケア業界に実用的なメリットをもたらすだろうか? 答えはイエスだ。

エージェント・ホスピタルの研究チームリーダーであり、清華大学 AI 産業研究所の執行学部長とコンピュータ科学技術学部の副学部長でもある劉楊氏は、AI 病院タウンは医師が患者を診断し治療する方法を変革し、医療専門家と一般の人々の両方に多大な利益をもたらすだろうとグローバルタイムズに語った。

例えば、この革新的なコンセプトにより、仮想の患者を実際の医師が治療することができ、医学生に強化されたトレーニングの機会が提供される。さまざまな AI 患者をシミュレートすることで、医学生は意思決定の誤りによって実際の患者に危害を加えることを恐れることなく、自信を持って治療計画を提案できると劉氏は述べた。

このシミュレーショントレーニングにより、医学生はリスクのない環境で診断と治療を練習することができ、最終的には高度なスキルを持つ医師の育成につながると劉氏は述べた。

患者が本物で医師が仮想であれば、患者にオンライン遠隔医療サービスを提供できる。AI 病院タウンは権威ある医学知識の膨大なリポジトリを活用し、AI 医師が数千、数百万の症例を扱うことができる。

医師の診断能力が仮想世界から現実世界へと進化するにつれて、国民にとって高品質で手頃な価格で便利なヘルスケアサービスの可能性が近づいていると劉氏は述べた。

 

未来は課題と希望とともにやってくる

完全に自動化された何千もの病院が何百万もの命を救うことを想像してみてほしい。この未来は急速に近づいている。

劉氏は、約 6か月の研究開発を経て、AI 病院タウンは実用化の準備がほぼ整っていることを明らかにした。特定の応用方向に焦点を合わせる計画で、タウンは 2024年後半までに運用開始することを目指している。

しかし、有望な見通しにもかかわらず、AI 診断および治療のためのエージェント病院の実装と推進には大きな課題がある。

劉氏は、人工知能技術が公衆衛生にリスクをもたらさないことを保証するために、国の医療規制の厳格な遵守、技術成熟度の徹底的な検証、およびAIと人間のコラボレーションのメカニズムの探求が不可欠であると強調した。

人工知能技術の急速な進歩により、医療分野における AI の未来は明るいように見える。AI ヘルスケアが特定の側面で人間の生理的および知的限界を超え、医療サービスの精度と効率を高める可能性があることは否定できない。

しかし、1つ確かなことは、AI が人間に取って代わることはできないということだ。

医療現場では不確実性が常態化しており、健康な個人や患者はそれぞれが異なる。同じ病気であっても、病気の経過や患者の心理的および社会的特徴は大きく異なる。これらの不確実な出来事は最終的には人間が対処する必要がある。

医学は愛の科学であり、温かさの芸術であるのに対し、AI ヘルスケアは依然として「冷たい」ままであると引用されている。

AI ヘルスケアはパーソナライズされたケアや思いやりを提供することはできない。さらに、治療過程で生じる可能性のある法的責任は、実際の人間の医師が負うべきだ。







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