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デンマークの研究で、2019年から2022年にかけて「若い男性の有効な精子数が22%減少」したことが判明

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2020年7月に導入されたデンマークのワクチンパスポート

デンマークは主要国で最初にワクチンパスポートを導入した国ですindependent.co.uk




デンマークの研究により、2019年から 2022年にかけて、

「男性の精子の品質が大幅に低下した」

ことが大規模な調査によって判明しました。

論文は、こちらにあります。

正確にいえば、精子数そのものには変化はなかったのですが、妊娠に対して重要である、

・運動精子濃度

・総運動精子数

が 22%と大幅な低下を示していました。

これは非常に簡単にいえば、

「精子の数は変わらないながらも、有効な精子の数が大幅に減った」

といっていいのかと思います。

調査期間は 2019年から 2022年ですが、「この間に何か起こった」ことを研究は示唆しています。

というのも、論文には、

> 2017年から 2019年にかけて、ドナー候補者の射精液中の精液量、精子濃度、総精子数は 2~ 12%増加した。

とあり、2019年までは、精子の品質には問題がないか、あるいは上昇していました。

ところが、

> 運動精子濃度と総運動精子数は 2019年から 2022年の間にそれぞれ 16%と 22%大幅に減少した。

ということで、この 2019年から 2022年の間に何か精子に影響を与える事象が起きたようです。

この「 22%の変化が、たった 3年ほどの間に起きた」ということが、どれだけの急変かといいますと、たとえば、もともと、この数十年、主要国の男性の精子の量と質は悪化していたのですが、それと比較してみるとわかります。

以下は、イスラエルの研究で、1973年から 2011年までの男性の精子数の変化です。

イスラエルの研究での1973年から2011年までの精子数の推移

academic.oup.com

59%の減少というのは大変なものですが、それでも、これは「 40年近くかけての減少」です

それが、今回のデンマークの調査では(これは精子量だけの調査ではないですが)「 3年で 22%」という急落を見せた。

2019年から 2021年に何があったのでしょうか。

論文の著者たちは、原因について以下のように書いています。

 

> この期間は新型コロナウイルス感染症のパンデミックによるロックダウンや仕事のパターンの変化と一致するため、運動精子濃度と総運動精子数の変化は、精液を分析した男性たちのライフスタイルの変化の結果である可能性がある。

 

「ライフスタイルの変化」だけで、有効な精子数が 22%も減少するかどうかは何とも微妙な話ではあります。

なお、有効な精子数の減少と関係あるかどうかはともかく、実はデンマークの「 2回目までのワクチン接種率」は、日本と同様なほど高いです。デンマークの接種キャンペーンは、2021年の春に始まりました。

以下はデンマークの最初の 2回のコロナワクチンの接種率です。参考のため、日本と並べています。


ourworldindata.org

ちなみに、デンマークは 2020年に「ヨーロッパで初めてワクチンパスポートを導入した国」です(冒頭の写真)。

ワクチン接種率の高さも、これと関係あるのかもしれません。

しかし問題は、「仮に」ワクチンが劇的な有効精子数の減少と関係しているのなら、今でも長く劇的な出生数の減少が続いているデンマークでは、この先も出生数の回復は見込めないことになります。

それよりもひどい出生数の減少に見舞われている日本も同様です。出生に関しての黙示録が近づいています。

論文の概要をすべて翻訳して掲載します。


デンマークの精子バンクにおけるドナー候補者の精子運動率が最近低下

Recent decline in sperm motility among donor candidates at a sperm bank in Denmark
PubMed 2024/06/04

概要

研究の動機: 近年 (2017-2022年) デンマークで精子提供に応募した男性(提供候補者)の間で精液の質にばらつきがあったのかを調査した。

 

要約: 精子の質を測る指標である、射精時の運動精子濃度と総運動精子数 (TMSC) は、2019年から 2022年にかけて最大 22%減少した。

 

すでにわかっていること: 近年、人間の精液の質が低下しているかどうかについては疑問が残っている。いくつかの研究は人間の精液の質が低下している証拠を示しているが、これらの結果は、研究対象集団または精液の質を測定するために使用された方法における潜在的な偏りのために異論​​を唱えられている。この問題の解決は、人間の生殖能力だけでなく、医療補助による生殖に使用するための精子提供者の募集に携わる人々にとって重要な意味を持つ。

 

研究デザイン、規模、期間: デンマークの 4都市(オーフス、オールボー、コペンハーゲン、オーデンセ)の精子バンクで 2017年から 2022年までに収集された射精精液の品質に関するデータを入手した。私たちの研究は、18歳から 45歳までの提供候補者 6758人から提供された単一の精液サンプルに焦点を当て、彼らの精子の品質が精子提供者として受け入れられるための最低基準を満たしているかどうかを判断することだ。

 

参加者/材料、設定、方法: すべての射精液は、生成後 1時間以内に分析された。精液量 (ml) は重量で推定され、精子濃度 (106/ml) と運動精子濃度 (世界保健機関のグレード a および b) の両方が、すべての年にわたって各サイトで同じプロトコルとコンピューター支援精液分析システムを使用して測定された。精液変数の統計分析は、年齢と提供場所、および射精液が生成されたときの平均月間最高気温を考慮して管理された。

 

主な結果と偶然の役割: 2017年から 2019年にかけて、ドナー候補者の射精液中の精液量、精子濃度、総精子数は 2~ 12%増加した。その後、2019年から 2022年にかけて、精子濃度と総精子数は年ごとに 0.1~ 5%変化したが、これらの変化はいずれも統計的に有意ではなかった。

対照的に、運動精子濃度と総運動精子数は 2019年から 2022年の間にそれぞれ 16%と 22%大幅に減少した

したがって、ドナー候補者の運動精子濃度は 2019年の 1840万mlから 2022年には 1550万mlに低下し、総運動精子数は 2019年の射精液 1個あたり 6140万から 2022年には 4810万に低下した。

 

制限事項、注意すべき理由: 入手可能なデータからは、2019年から 2022年にかけてドナー候補者の精液の質が低下した原因を特定することはできない。ただし、この期間は新型コロナウイルス感染症のパンデミックによるロックダウンや仕事のパターンの変化と一致するため、運動精子濃度と総運動精子数の変化は、精液を分析した男性のライフスタイルの変化の結果である可能性がある。







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