寒さで亡くなる率は、暑さによる死亡率の20倍以上
アメリカの研究が、
「暑さによる死亡より寒さで亡くなる確率が圧倒的だった」
ことを突き止めたことが報告されています。
これは、米国人口の 80%を 20年間追跡調査したという大規模な研究でした。以下に論文があります。
米国では寒さが年間4万人の心臓病による死亡増加と関連している
Cold weather linked to 40,000 extra heart deaths each year in the U.S.
その結果、
> 低温が 80万人もの死亡に寄与した一方、高温は年間わずか 2,000人の死亡にしか関連していなかったことを発見した。
のでした。
これについては、同様の調査が過去にも何度か行われていて、2021年のカナダの研究では、
「暑さによる死亡者 1人に対して寒さによる死者は 40人以上」
であることが、報じられていました。
また、2023年に医学誌ランセットに掲載された論文でも、数字上では、同じような結果となったのですが、このランセットの論文は、「グラフでミスリードしていた」というものでもありました。
以下の記事にあります。
・ランセットに掲載された「暑さで死亡する率」と「寒さで死亡する率」を比較したグラフから見る統計のイリュージョンが普遍化したこの社会
In Deep 2023年7月29日
以下が正しい状態に修正したグラフです。
青(左)が寒さでの超過死亡率。赤(右)は暑さでの超過死亡率

indeep.jp
ともかく、人は、「寒いほうが死亡しやすい」ということが繰り返して調査で判明しています。
日本はこれから夏に向かうのですけれど、心配なのは「次の冬」です。
現在、かつてないようなエネルギー危機の渦中にありますが、これがいつまで続くのかわからない状態となっていて、仮に本当に影響が長く続いてしまった場合、「冬の暖房に影響する」可能性があります。
その場合、必然的に死亡率が上昇してしまいかねないのですよね。
まあ、さすがに、現在のイラン危機が秋冬にまで続いていくとは思いませんが、今後何らの形でエネルギー危機が来る度に、この「寒さと死亡率の問題」を思い出すのかも知れません。
今後数年の冬の気温がどうなるかは今はわかりようもないですが、今年はかなり強いエルニーニョ、場合によってはスーパーエルニーニョが発生する可能性も指摘されていて、日本はともかく、地域的には厳しい気候となる可能性もあります。
今回の論文を取りあげていた記事をご紹介します。
寒さが命を奪う ― 米国の新たな大規模研究によると、寒い月は暖かい月に比べて死亡者数が20倍にもなることが判明
Cold Kills - New huge US study links colder months to 20 times as many deaths as warmer ones
joannenova.com.au 2026/04/11
エネルギー価格を高くすることで、私たちは人々を死に追いやっている
研究者たちは米国人口の 80%を 20年間追跡調査し、低温が 80万人もの死亡に寄与した一方、高温は年間わずか 2,000人の死亡にしか関連していなかったことを発見した。
彼らは全米 819か所の月間気温データを調べ、心血管疾患による死亡率を検証したところ、超過死亡の負担は「かなり大きい」ことが判明した。
寒い時期には、体温の低下を抑えるために血管が収縮する。そのため、寒い時期には肌がやや青みがかったり白っぽくなったりする。しかし、わずかな血管の収縮でも血圧は上昇する。
したがって、寒い時期には、温暖な時期に比べて心臓発作、脳卒中、冠動脈疾患による死亡率が著しく高くなるのは当然のことと言えるだろう。人口の高齢化が進み、腎臓病や糖尿病が悪化するにつれて、これらの死亡者数は増加していくと考えられる。
地球温暖化対策に関するあらゆる政策について、より正確な費用計算を行うべき時が来ている。私たちは具体的な数字を求めている。そして寒い時期には、人々は暖を取るために安価な石油やガスを必要としているのだ。
曲線の形状を見てほしい。

寒さによる死亡者数は、温暖な気候による死亡者数をはるかに上回る。
最近の論文によれば、少なくとも心血管疾患による死亡を避けるためには、人間にとって理想的な温度は 23℃であるようだ。
米国では寒さが年間4万人の心臓病による死亡増加と関連している
sciencedirect.com 2026/03/25
気温が急激に下がると、心臓へのリスクは劇的に高まる。米国の大規模な研究によると、寒さは暑さよりもはるかに多くの心血管疾患による死亡と関連しており、毎年数万人の死亡者数増加につながっていることが示されている。
科学者たちは、最も安全な気温は約 23℃であり、気温が下がるにつれて、あるいは上がるにつれて、危険性が高まることを発見した。慢性疾患を抱える人が増えるにつれ、極度の寒さによる脅威はますます深刻化するだろう。
…両者の関係は、いびつな U 字型の曲線を描いていた。極端な暑さと極端な寒さの両方が死亡リスクを高めるが、その影響は寒さの方がはるかに大きかった。
研究者たちは、研究期間中、寒さによって毎年約 4万人の心血管疾患による死亡が増加したと推定している(心血管疾患による死亡全体の約 6.3%)。これは 20年間で合計約 80万人の死亡に相当する。
これに対し、暑さによって死亡が増加した人数は、毎年約 2,000人(心血管疾患による死亡全体の約 0.33%)で、同じ期間で約 4万人にとどまった。
この研究は屋外の気温を測定しており、屋内の気温は測定しておらず、極端な気温も考慮していないが、屋内の気温に関する他の研究でも死亡率の曲線が大きく偏っていることが示されている。
この研究における大きな交絡因子の一つは、冬期にはビタミンD3レベルと太陽からの有益な赤外線への曝露が制限されることだ。
ある意味では、月平均気温は日光曝露とビタミンD3レベルの指標となる。したがって、ビタミンD3レベルを上げることで、寒さに関連する死亡の一部は容易に予防できる可能性があるが、人々が冬の正午に屋外で過ごす時間を増やさない限り、赤外線の代替手段はそう簡単には見つからない。

