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日本の主要な輸入元であるブラジルのオレンジ生産が過去最悪の水準に低下。何年かは日本に入ってこないかも…

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過去36年で最悪の収穫

世界最大のオレンジの生産国であるブラジルとアメリカで、共に、オレンジの収穫量が壊滅的に減少していると報じられています。

「オレンジなどなくても、問題ない」と言われれば、それまでなのかもしれないですが、しかしオレンジは、世界の食糧取引の中でかなり重要な位置にあるものでもあります。

日本でも昨年から今年にかけて、大手飲料メーカーが相次いでオレンジジュースの販売を休止していますが、最近の状況からですと「日本でのオレンジジュースの販売再開は、今後しばらくはないかも」という感じも漂います。日本の大手メーカーのオレンジジュースの輸入元については、日本農業新聞によりますと、以下のようにブラジルとなっています。

> 主要な輸入先であるブラジル産の不作で21年の輸入量は減少。その後も、同国での23年の大雨被害や、それに伴うカンキツグリーニング病のまん延などの影響で、オレンジ果汁の不足感が続いている。

そのブラジルのオレンジの収穫量が、過去最悪レベルになっているようなんですね。

以下は、米ゼロヘッジの報道からの抜粋です。

「ブラジルが数十年で最悪の収穫になると警告する中、オレンジジュース価格高騰への準備を」より

オレンジジュースの価格が記録的な水準に近い水準まで高騰し、朝食愛好家たちはさらなる衝撃に見舞われている。

10日に発表された新しい報告書は、世界の主要な輸出国であるブラジルが、過去 30年以上で最悪の収穫に直面していることを示している。この憂慮すべき状況は、病気に悩まされ、 生産レベルがここ数十年で最低にまで落ち込んでいるフロリダ州の柑橘類果樹園における既存の問題をさらに悪化させている。

報告書の中で、ブラジルは今年の生育期に 2億3,240万箱を生産する予定だと書いている。これは前年比 24%の下落で、生産水準は過去 36年間で最低となった。

「昨年 9月から 11月にかけて、開花と結実初期の重要な時期に過度の暑さがオレンジの木にストレスを与えた。さらに生産量に悪影響を及ぼしているのは、果実が早期に木から落ちる原因となる柑橘類の緑化病の増加である」とブルームバーグは報告書についてコメントしている。

zerohedge.com

ここまでです。

この記事に、ブラジルのオレンジが不作だった原因として、

> 開花と結実初期の重要な時期に過度の暑さがオレンジの木にストレスを与えた。

とありますが、皮肉な話として、現在ブラジルの一部は、壊滅的な大洪水に見舞われています

ブラジルの大洪水の死者が126人に達する。大雨は継続中
 BDW 2024年5月11日

ブラジルは広いですので、この洪水がオレンジ生産に影響を与えているかどうかは不明ですが、ただ、「非常に天候や気温が不安定な状況」が、ブラジルで続いているとはいえます。ブラジルは、オレンジだけではなく、大豆やトウモロコシなど、多くの農作物の一大輸出国でもあります。

そして、一方のオレンジ大生産地域のフロリダ州を持つアメリカですが、アメリカでも、フロリダでのオレンジの病気の蔓延で、長くオレンジの生産が影響を受けています。

以下は、2022年の記事ですが、この頃の問題が今も続いているということなります。

米国の柑橘類の収穫量が感染症の蔓延で戦後最低に。オレンジジュースの先物価格は史上最高値に近づく
 地球の記録 2022年12月8日

もともとオレンジの大生産国であったアメリカは、今では、報道によれば

> フロリダの供給が不足しており、ブラジルからのアメリカへの輸出が新たな高水準に急増している。

とのことで、今のアメリカでは、原材料を見ると「米国とブラジル産のオレンジが含まれる」と書かれていることが多いのだそう。

アメリカで販売されているオレンジジュースのひとつ

zerohedge.com

そして、オレンジジュースの国際価格は、過去最高の水準で高止まりしたままです。

過去25年間のオレンジジュースの国際価格の推移

tradingeconomics.com

このような状況の上に、円安など、さまざまな条件から見れば、日本での(海外のオレンジを原料とした)オレンジジュースの販売については、しばらく再開はないと見られます。

日本でも柑橘類は生産されていますが、以下のような状況もあります。

国産かんきつ果汁の需要増の好機だが、国内のかんきつ産地は高齢化などを背景に生産基盤の弱体化が進んでおり、供給力の確保が課題となる。 日本農業新聞

今回の話は、単なるオレンジジュースの話ですが、このような問題が、「さまざまな作物に及んでいく」という状況に、世界は少しずつ近づいている気がします。

そして、上の日本農業新聞にある、

> 高齢化などを背景に生産基盤の弱体化が進んでおり…

というのは、日本の農業全体がそうです。

今後、戦争などの展開によっては、さらに食糧の日本への流入が制限されてくる可能性があり、自国で食糧を生産できていない日本の食糧安全保障の問題が、日を追う毎に明確になってきている感じです。

  • B!