動物の異常 自然の力

「プラスチックを食べて消化できる昆虫」が発見される

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conservationnamibia.com




地球全体がプラスチック廃棄物に覆われている状況となって久しいですが、これに対して人間の力で何かできるのかというと、現状ではほぼ何もできません。

分解されにくいものである上に、プラスチックとして「以外の」使い方は基本的にないからです。

最近の科学メディアのライブサイエンスで、

「プラスチックを食べて消化できるミールワームが発見された」

という記事を読みました。

ワームというのは、足のない細長い虫の全般のことで、ここでいうミールワームというのは、一般的に「ミムシダマシ科の甲虫の幼虫の総称」となっていますが、ただ、ライブサイエンスの記事には、

> 研究チームはまだこの種が何なのかは分かっておらず、特定が必要な新しい亜種かもしれないと考えている。

とあり、どんな種なのか、まだよくわかっていないようです。

ともかく、そのミールワームがプラスチックを食べて消化できるということが初めてわかったのだそうです。

皮肉な話としては、2022年にフランスの食用昆虫生産企業(コオロギとかの食用が一時有名でした)が、「食用としてのミールワームの生産を拡大する」と発表していたことがありました。こちらに翻訳記事があります。

いずれにしても、一部のミールワームは、確かにプラスチックを栄養素として生きられるようです。昆虫は人類よりずっと昔から地球に存続しているものですが、もともとプラスチックを消化できる能力を持っていた虫がいたともまた思えず、なかなか興味深い話です。突然出てきたのか突然変異なのですかねえ。

そのライブサイエンスの記事をご紹介します。





アフリカ原産のプラスチックを食べるミールワームが発見される

Plastic-eating mealworms native to Africa discovered
livescience.com 2024/11/13

ケニアの小型ミールワームの幼虫はポリスチレンを食べて、それを腸内で分解することがわかった。

科学者たちは、プラスチック廃棄物との戦いにおいて、意外な味方を発見したかもしれない。それは、ミールワームだ。

このミールワームはアフリカ原産だが、現在では地球全体に広がっているアルフィトビウス属の甲虫の幼虫は、プラスチックを食べて分解できることを研究者たちは発見した。

この発見は、アフリカにおけるプラスチック汚染対策に特に役立つ可能性があると研究者たちは指摘している。

世界保健機関によると、アフリカ大陸は世界のプラスチック汚染のわずか 5%しか発生していないにもかかわらず、世界で 2番目にプラスチック汚染がひどい大陸となっている。

9月12日に科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された研究で、研究者たちは、この小型ミールワームがポリスチレンを消化できることを発見した。

ポリスチレンは、食品の容器や包装材としてよく使われるプラスチックの一種で、発泡スチロールでできている。研究チームはまだこの種が何なのかは分かっておらず、特定が必要な新しい亜種かもしれないと考えている。

この発見は、世界中の他のミールワーム種でも同様の結果が出ている。

「しかし、アフリカ原産の小型ミールワームにこの能力があることが記録されたのは今回が初めてだ」と、ケニアにある国際昆虫生理生態学センター(ICIPE)の科学者で、この研究の著者であるファティヤ・カミス氏は声明で述べた

研究者たちは、幼虫は与えられたポリスチレンの約 50%を消費することができ、プラスチック飼料にふすまや穀物の殻を混ぜるとその効率が上がることを発見した。

ミールワームの腸内に生息する細菌は、プラスチックに含まれる複雑なポリマーを分解するのに役立っていた。

Kluyvera 属(腸内細菌科の細菌)、ラクトコッカス属(乳酸菌の一群)、クレブシエラ属(真正細菌の一属)などの微生物群は、ポリスチレンを消化し、ミールワームが害なく処理できる、より単純な化合物に変える上で重要な役割を果たす。

これらのバクテリアはプラスチックを消化できる酵素を生成するので、ミールワームの体内でこれらのバクテリアや酵素の数を増やすと、昆虫自体に害を与えることなくプラスチック処理の効率を高めることができる可能性がある。

将来的には、科学者たちはポリスチレンの分解に関与する特定の細菌株と酵素を特定し、それらをプラスチック廃棄物のリサイクルに利用できる可能性があると述べている。

この研究は、プラスチックを動物の飼料用の高価値昆虫タンパク質に変える将来の道筋の基礎となるかもしれない。

国際昆虫生理生態学センターの修士課程の一環としてこの研究を行った科学者で、論文共著者のエヴァリン・ンドトノ氏は声明で以下のように述べた。

「プラスチックを分解するミールワームの細菌のメカニズムも調査していきます。それらの細菌がミールワームに本来備わっているものなのか、あるいは、プラスチックを食べた後に獲得した防御戦略なのかを解明したいのです」







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