
宇宙時代で最大の太陽フレア
22年前の 2003年11月4日、科学的な太陽観測が始まって以来、最大となる「 X 45」太陽フレアが発生しました。
この太陽フレアは、地球に向いていない黒点から発生したので、地球にはさほど影響はありませんでしたが、仮にこの太陽フレアと CME (コロナ質量放出)が地球に向いていたとすれば、壊滅的な影響があったと考えられています。
太陽活動周期サイクル23からサイクル25までの黒点数の推移

spaceweather.com
この観測史上最大の太陽フレアは、上のグラフの位置を見てもおわかりの通り、太陽活動の「極大期に起こったものではない」ものでした。むしろ、太陽活動が弱くなっていった時に起きたものです。
今回ご紹介するスペースウェザーの記事の締めは、
> 太陽活動周期の衰退期は大規模な太陽フレアが起きやすい時期だ。そうなる理由は誰にも分からないが、それは事実だ。
とあるように、非常に大規模な太陽フレアは、むしろ太陽活動の衰退期に起こりやすいもののようです。そして現在のサイクル25も太陽活動衰退期に入っています。
そんな中で、今、太陽の裏側で活発に爆発を起こしていた黒点群が少しずつ地球に向いてきています。以下の画像の左端にある複数の黒点群ですね。
2025年11月4日の太陽黒点の状況

solarham.com
特に、4274というのは、大きさもかなりのものです。
これらは、太陽の裏側にあるときに、非常に活発に太陽フレアによる CME を噴出し続けていました。それがこのうちのどの黒点によるものかはわからないですが、以下のように何度も爆発を起こしていました。
2025年10月30日頃の太陽の裏での爆発
We've just had one of the most intense periods of Solar Activity in DECADES on the Sun's farside, with 6 BIG CMEs, and those hyper-active sunspots are turning Earth-facing in just a few days.
This November could get nuts... pic.twitter.com/SNLkTBpgoA— Stefan Burns (@StefanBurnsGeo) October 30, 2025
今後、1週間ほどは、ある程度の太陽フレアの発生はありそうですが、 X クラスの巨大なフレアが起きるかどうかはわかりません。
22年のことにふれていたスペースウェザーの記事をご紹介します。
なお、ここに出てくるキャリントン・イベントというのは、1859年に発生した、地球に向かったフレアによる CME として観測史上最大のものだった太陽嵐を指します。こちらの記事などにあります。
宇宙時代最強の太陽フレア
THE STRONGEST SOLAR FLARE OF THE SPACE AGE
spaceweather.com 2025/11/04
22年前の今日、太陽は宇宙時代最強の太陽フレアを放出した。その際にフレアを発生させた黒点は地球に向いていなかった(なので、深刻な被害はなかった)。
そうでなければ(もし地球に向いていれば)、私たちは新たなキャリントン・イベントを経験していたかもしれない。太陽・太陽圏観測衛星(SOHO)が撮影した以下の写真は、極端紫外線の閃光を捉えている。
2003年11月4日の太陽フレア

2003年11月4日のこの爆発は非常に強烈で、当初は誰もその強さを把握できなかった。GOES 太陽衛星に搭載された X 線検出器は 11分間飽和状態になった。
北米大陸では短波ラジオが途絶え、大陸全体で深刻な電波遮断が発生した。これは、フレアの真の深刻さを物語っている。
その後、ついに研究者たちはその答えを導き出した。最も信頼できる推定値は、地球の電離層が巨大な太陽フレアの検出器としてどのように利用されたかを説明した論文「電離層が太陽フレアの最大規模を明らかに」から得られた。彼らの答えである X45 は、他の研究によっても確認された。
これはキャリントン・イベントと同程度の大きさだ。19世紀には X 線検出器が存在しなかったため、研究者たちは 1859年9月1日のキャリントン・フレアの強度を推測するために間接的な方法を用いるしかなかった。オーロラ、氷床コア、磁気擾乱の研究によると、 X45 付近の値が示唆されているが、 X80 を示す推定値もある。
さて、ここからが興味深い点だ。
2003年11月4日のフレアは、太陽活動周期サイクル23の衰退期に発生した。それから 22年後、私たちは太陽活動周期25のほぼ同時期にいる。優れた宇宙天気予報士なら誰でも言うように、太陽活動周期の衰退期は大規模な爆発が起きやすい時期だ。その理由は誰にも分からないが、それは事実だ。
結論として、今後再び同じようなことが発生しても驚かないでほしい。