
2015年に2700万羽の鶏が殺処分された米アイオワ州の養鶏家。
意味のない大量殺戮
米 NBCニュースなどによると、夏の間に停止されていた米国の鶏の大量殺処分が再開されたようです。
名目は「鳥インフルエンザの発生」で、アイオワ州の養鶏場で鳥インフルエンザ H5N1 が検出されたことにより殺処分が始まりました。
10月9日までの 1カ月で、すでに 400万羽以上が殺処分されたとのことです。
アメリカでの殺処分数は、今年 1月にピークとなり、
「 2025年1月だけで 2300万羽が殺処分された」
ことが記録されています。
2022年からの米国での鶏の殺処分数の推移

NBC NEWS
その後、今年 6月からは殺処分は完全に止まりましたが、また再開されたようです。
ずいぶん以前にも書いたことがありますが、鳥インフルエンザは(発生が人為的でないのなら)基本的に世界中を周遊している渡り鳥などから感染が拡大するもので、たとえば、世界の渡り鳥の経路マップは以下のようになっています。
渡り鳥の経路

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鳥たちはこれだけ世界中で交錯しながら周遊しているのですから、どこかひとつの地域で大量殺処分をしても意味がないのです。
これについては、2020年の以下の記事で書きました。
・世界的単位で見れば「意味がない鳥インフルエンザでの殺処分」。しかし、世界の鳥インフルエンザでの殺処分数はすでに数百万羽規模に
地球の記録 2020年12月9日
むしろ自然感染での集団免疫の機会を逃すために、実際には状況は悪化していく可能性も高いですし、そこから、人への感染が起きるということもあり得ないことではありません。
鶏の大量殺処分は米国では毎年のように行われますが、9月、10月でこの状況では、今シーズンも記録的な大量殺処分に結びつく可能性もあります。
またしても、タマゴ価格などが上昇するというほうの懸念もあります。
この無意味性に誰かが気づかないと、合理的ではない殺戮が今後も続くだけとなってしまいます。
大量殺処分の批判的な医学者の投稿をご紹介しておきます。
夏の休止後、鳥インフルエンザの大量駆除が再開 - 過去1ヶ月で400万羽の鳥が駆除された
Bird Flu Mass Culling Resumes After Summer Pause - 4 Million Birds Exterminated in Past Month
thefocalpoints.com 2025/10/10
アメリカは再び恐怖、失敗、殺戮、そしてサプライチェーンの混乱のサイクルに突入
夏の間、H5N1 鳥インフルエンザのための家禽の大規模殺処分は、 2025年1月から5月までに 4400万羽以上が無謀に殺処分された後、完全に停止していた。
これらすべてが「壊滅的な大規模殺処分サイクル」に貢献している。
H5N1 が渡り鳥に広く蔓延しているため、農場は繰り返し殺処分を行っても再感染に直面し続けている。そのため、鶏は集団免疫を獲得できず、食料サプライチェーンの混乱と鶏から人への感染が終わらないサイクルにつながっている。
今、鳥インフルエンザを理由とした大規模殺処分が再び始まった。
9月以降、農場での単一のプール PCR による H5N1「検出」を理由に、400万羽以上の鳥が殺処分されている。
鳥たちは、換気停止や泡による窒息といった野蛮な方法で殺処分されている。
現在の軌跡では、冬の月に向かうにつれて大規模殺処分がさらに加速すると予想されている。これにより、食料サプライチェーンの不安定化、卵価格の急騰、鶏から人への感染、そして危機の長期化が引き起こされる。
これにより、ワクチンカルテルが長らく待ち望んでいた鳥インフルエンザワクチンを展開する機会の窓が開かれる。
昨年 3月、RFKジュニアは「我々の科学者のほとんどは殺処分作業に反対している」と述べていた。
それが本当なら、大規模殺処分作業が再開し、恐怖を煽るキャンペーンが始まる今、保健福祉省が介入する時だ。