9月13日 オーストリアのバードガシュタイン。今後数日で2メートルまでの積雪になる見込み。volcaholic1
ヨーロッパの一部はたった数日間で冬に
日本は 9月の中旬とはいえ、十分に真夏もいいところですが(私の住む地域など、まだ 35℃)、やはり、ある程度の猛暑が続いた夏だったヨーロッパに、
「突然冬がやってきた」
ことが報告されています。
オーストリアのアルプスでは、9月12日頃から、時期として異常な大雪が降り続いています。
9月13日 オーストリアからのXの投稿より
Unwetter-Freaks
以下のような動画もあります。
オーストリア・アルプスの標高 1950メートルのバードガシュタインという場所で、最大 2メートルの積雪が予想されているとのこと。
Exceptional snowfalls are impacting the Austrian Alps, with 50 cm already recorded in Bad Gastein at 1950m altitude. Up to 2 meters of snow is expected by Sunday!pic.twitter.com/EuvHss5Ki4
— Volcaholic (@volcaholic1) September 13, 2024
雪は標高 700メートルなどの低い土地でも雪が降っていると報じられていまして、9月の中旬としては、やや異常な気象となっているようです。
このようなことになっている原因のひとつが、「北極から非常に冷たい大気がヨーロッパに流れ込んでいる」ことです。
スコットランドの気象学者スコット・ダンカン氏は「システムへの衝撃だ」というタイトルと共に、以下の気象図を X に投稿しています。
Shock to the system
Unusually strong cold is pouring south out of the Arctic into Europe right now. This is an ideal setup for deep fresh snow accumulations in the Alps and flooding in Central Europe.
This is about as cold as it gets this early in September. pic.twitter.com/X8G5xSRADg
— Scott Duncan (@ScottDuncanWX) September 12, 2024
スコット・ダンカン氏は、
「これはアルプス山脈に新雪が深く積もり、中央ヨーロッパで洪水が発生する状況となっている」
と述べています。
また、ヨーロッパは気温の下がり方も急激で、たとえば、オーストリアの 9月頭の平均気温は 27℃ほどだったのですが、2週間後の今は「 5℃以下」となる予測が伝えられています。
まさに、秋を吹っ飛ばして冬に向かうヨーロッパですが、先ほどの気象学者ダンカン氏が、「中央ヨーロッパで洪水が発生する」と述べていましたが、それはすでに起きています。NHK WORLD の気象アンカーである森さやかさんのページには以下のようにありました。
「ヨーロッパで、深刻な洪水のおそれ」より
イギリス気象庁は、「週末にかけて、中央ヨーロッパおよび南ヨーロッパでは極端な降雨が予測されており、200〜300mmの降水が予想されています(9月の平均の2倍)。一部の河川では100年に一度の規模の洪水が発生する可能性があります」と発表しました。
スイスの気象機関は、「現在の予報図は、2002年の壊滅的な洪水を思い起こさせます」と記しています。
すでにルーマニアなどでは死者が出るほどの洪水が発生しており、アルプス山脈では、この時期としては記録的な低温かつ、前例のない大雪が降っています。
チェコ共和国では、1997年に発生した大洪水の推移を上回ったと発表されており、地域的に非常事態が宣言されています。
チェコの報道より
irozhlas.cz
ヨーロッパには、北極から次々と非常に冷たい大気が流れているのに対して、「ヨーロッパ周辺の海水面温度が非常に高い」ことも大雨や大雪の原因となっているようです。
大気の気温が信じられないほど低く、海水温度が信じられないほど高ければ、必然的に異常な降雨などは起こり得ます。
もうひとつ、今後の秋から冬にかけての、一部の地域での気温の著しい低下と異常気象について関係するのが「ラニーニャ現象」です。
ラニーニャ現象は、太平洋の赤道沿いの海面温度が下がると発生し、いくつかの国や地域に著しい天候異常を発生させやすいものですが、すでにラニーニャは発生していると見られます。
ニュージーランド国立水・大気研究所の気象学者ベン・ノル氏は X に以下のように投稿していました。
気象学者ベン・ノル氏の投稿より
海洋はここ数週間、ラニーニャ現象の閾値に向けて大きな前進を遂げている。
貿易風が例年よりはるかに強くなり、冷たい海水が湧き上がっている。
今年は、地表下は例年よりも冷たい水が溜まっており、風圧が加わると地表に向かって移動する準備ができている。
従来の指標によれば、今年のラニーニャ現象は弱から中程度になると予想されていた。
しかし、相対海洋ニーニョ指数(RONI)などの代替アプローチは、異なる見解を示している。この指数は、中央赤道太平洋の海面水温の異常を世界の他の熱帯地域と比較するもので、特に温暖化が進む世界において、エルニーニョに関連した降雨量と雷雨のパターンの変化をよりよく示す指標だ。
RONI は、中程度から境界付近の強いラニーニャが発生する可能性があることを示唆している。実際、RONI の最近の値は -0.75˚C まで下がり、ラニーニャの領域に達した。
最近の傾向とガイダンスのバランス、そしてここ数十年におけるラニーニャの頻度の増加を考慮すると、2024~ 25年のラニーニャは恐ろしい現象に発展する余地があると私は引き続き考えている。
これだけ暑い夏を経験する中で、冬は冬で信じられないほど寒くなり雪が多くなる…という地域が、どうやら、ほぼ確実に出てくるようです。
それがどこなのかは現時点では正確にはわかりません。
日本への影響も今はまだわからないですが、この時代は、夏であろうと冬であろうと、そうそう安寧な気温や気象を見せてくれるということはないようです。