2万年に建造されたとされる遺跡で
ピラミッドというものには、どの国のものにしても不思議性が伴うもので、今年 3月には、
「エジプト三大ピラミッドのひとつの地下に巨大な構造物がある」
ことが発表されたことを以下の記事で書いたことがあります。
・エジプト三大ピラミッドのひとつの地下に、最新の撮影法により「それが何であるのか不明の巨大な構造物」が発見され、論文が発表される
地球の記録 2025年3月23日
比較的最新の技術での断層撮影法により、以下のような構造物が地下にあると考えられると論文で発表されたのでした。
カフラー王のピラミッドの下で発見された建造物の図解
そうしましたら、
「インドネシアの古代の遺跡にも、地下に巨大な構造物があることが示された」
ことを最近知りました。
グヌン・パダンという遺跡で、山の山頂にある遺跡です。
グヌン・パダン遺跡のある山
この建造時期や、そもそも、これが人により建造されたものなのかどうかには、かなり議論のあるところらしいですが、ある研究では、以下のような年代も出されています。
炭素年代測定と層序学的研究に基づいて、地震地質学と地球構造学の専門家であるインドネシアの地質学者ダニー・ヒルマン・ナタウィジャヤは、この遺跡が 9,000年から 20,000年前に巨大なピラミッドとして建設されたことを示唆し、それまで未知だった先進的な古代文明の存在を示唆している。
エジプトの最古のピラミッドでも、4500年前とか、そういう時期に建てられたとされていますので、「 2万年前」というのは、まさに古代文明としか言いようがないのですが、もちろん、この意見には懐疑的な科学者が多いです。
しかし、高度な地中レーダーやリモートセンシング技術などによる測定により「グヌン・パダンの実際の様子を再現」したイメージは、以下のようになったのです。
さらに、この調査では、地下に以下のような構造物が確認されました。
地下に何か巨大な構造物があることは明らかなようです。
それについての記事をひとつご紹介します。
グヌン・パダンは本当に世界最古のピラミッドなのだろうか?
Could Gunung Padang really be the oldest pyramid in the world?
seasia 2023/07/03
考古学は論争と無縁ではない。新たな発見は、しばしば興奮と懐疑を呼ぶものであり、既存の歴史観に疑問を投げかける。
インドネシア西ジャワ州にある巨石遺跡、グヌン・パダンは、そうした論争の中心となっている。中には、これは単なる巨石建造物ではなく、地球最古のピラミッドであると主張する人たちもいる。
現地のスンダ語で「山地」を意味するグヌン・パダンは、エジプトやメキシコの一般的なピラミッドとは似ても似つかない。
遠くから見ると、様々な巨大な石柱や段々畑で飾られた丘のように見える。表層は紀元前 2500年頃のものとされており、少なくともギザの大ピラミッドと同程度の歴史を持つ。
しかし、近年の研究では、この層が建造物の中で最も新しい部分であり、遺跡全体はそれよりもさらに古い時代であることが示唆されている。
グヌン・パダンの年代をめぐる論争は、インドネシア科学院の地質学者ダニー・ヒルマン・ナタウィジャヤ博士が遺跡で大規模な地質調査を行った際に勃発した。
ナタウィジャヤ博士と彼のチームは、高度な地中レーダー、地震トモグラフィー、その他のリモートセンシング技術を駆使し、地表下に埋もれた複数の層状の構造物を発見したのだ。
彼らは、これらの層の中で最も古いものは 2万年から 2万5000年前のものであると提唱している。もしこれが正しければ、グヌン・パダンは既知のどのピラミッドよりもかなり古いことになる。
しかし、ピラミッド説が普遍的に受け入れられているわけではないことに注意が必要だ。
主な論点は、年代測定の方法論と結果の解釈にある。批評家たちは、用いられた地質学的手法は地表下に人工構造物が存在することを確認できるものの、その年代を正確に特定することはできないと主張している。
さらに、これまでに行われた炭素年代測定は、構造物内部で発見された有機物に限られており、構造物自体の年代を決定的に確定するものではないと主張する人もいる。したがって、グヌン・パダンが建造された年代は未だに未解明のままだ。
グヌン・パダンの地下にある構造物について信頼できる結論を導き出すには、慎重な発掘調査、地層分析、そして広範囲にわたる炭素年代測定を含む、更なる科学的研究が必要だろう。
さらに、グヌン・パダンをピラミッドと認識するには、ピラミッドとは何かという概念を拡張する必要がある。
現在発掘されている建造物は、尖った頂点を持つ独立した構造物としてではなく、段々になって丘陵と一体化しているため、一般的なピラミッドの概念とは一致しない。しかし、ピラミッドの定義が進化すれば、グヌン・パダンは世界最古のピラミッドであると主張される可能性がある。
グヌン・パダン遺跡は、その潜在的な科学的重要性に加え、インドネシアの豊かな文化遺産と先史時代の人類文明を象徴している。
研究が進むにつれ、最終的に世界最古のピラミッドであるかどうかに関わらず、人類史に対する私たちの理解を再構築する可能性を秘めている。
グヌン・パダンの物語は、知識の絶え間ない進化を改めて思い起こさせるものだ。今日受け入れられている事実が、明日には反証される理論になるかもしれない。たとえその道のりがいかに複雑で困難であろうとも、科学的探究と真実の追求の重要性をグヌン・パダンの物語は強く訴えている。