ポーランドの報道より
dorzeczy.pl
ポーランドのメディアが、英フィナンシャル・タイムズの報道を引用して、徴兵されたウクライナ兵士の悲惨といっていい現状を伝えています。
記事の冒頭は以下のようなものでした。
> ウクライナ軍は前線部隊の能力が着実に低下しており、新兵の 50~ 70% が前線で数日しか生き残ることができていないというファイナンシャル・タイムズの報道を引用している。
深刻なこととして、この報告が、ウクライナに敵対するような側が流したものではなく、
「ウクライナ軍の司令官の声明により判明した」
ことだということです。
そこには、たとえば、以下のように書かれています。
・訓練水準が低かったため、全員が武器の持ち方を知らなかった
・新兵の平均年齢は現在 45歳
・過去 1年間の徴兵部隊の人員喪失率が 80~ 90%
などで、ウクライナで徴兵された兵士たちの悲痛な状況が伝わる数字だと思います。
なお、この「人員喪失率」というのは、死亡したということではなく、負傷などを含めて、戦闘要員としての働きが不可能になったということです。
新兵の年齢が 45歳というとろまで追い詰められているウクライナ政府は、昨年 12月に、「重大な障害を持つ人たちを徴兵する」という法案も通しています(翻訳記事)。
また、ウクライナの若者たちが、徴兵回避に必死になっている状況を以下の記事で取り上げています。
(記事)泥沼のウクライナ:徴兵回避のために「障害を持つ女性と金銭を介して偽装結婚する」ことが国内で蔓延。一方、行方不明のウクライナ人は1000万人という説も
地球の記録 2024年4月7日
大きな戦争は、いつでもこういう男性たちの犠牲の上に成り立ちますが、「これが自ら進んで犠牲を払うような戦争なのかどうか」ということを考えれば、ウクライナの男性たちには同情を禁じ得ません。
いずれにしても、このような状況では、ウクライナはじきに自国の軍隊だけでは戦争の続行が不可能になる可能性が高く、米国や NATO などが絡んだ「ややこしい状態」に突入するのかもしれません。
報道をご紹介します。
ウクライナ軍は劣悪な状況にあり、新兵の半数以上がわずか数日しか生き残れない
Ukraine’s army is in bad shape, over half of recruits survive just for a few days
REMIX 2024/09/30
ウクライナのリヴィウで行われたウクライナ陸軍軍曹2人の葬儀で、棺を運ぶ兵士
ポーランドの報道機関 Do Rzeczy によると、ウクライナ軍は前線部隊の能力が着実に低下しており、新兵の 50~ 70% が前線で数日しか生き残ることができていないというロンドン・ファイナンシャル・タイムズの報道を引用している。
兵士たちのモチベーションは低く、パニックに陥りやすい一方、訓練され経験豊富な部隊の損失により、作戦能力が非常に限られている徴兵部隊への依存が高まっている。
訓練水準が低いため、全員が武器の持ち方を知らなかったと報じられている。さらに、戦闘に適していると判断される兵士の数が減少したため、新兵の平均年齢は現在 45歳となっている。
この報告は、2月初旬に任命されたウクライナ軍司令官オレクサンドル・シルスキー氏の声明を受けてのもの。シルスキー氏は、新兵は前線での作戦に必要な訓練を常に受けていないと述べた。
ロシア軍の圧倒的な技術的優位性を嘆き、ウクライナの隊員はわずか 2か月の訓練しか受けていないと述べたが、他の情報源によると訓練期間はもっと短かったという。
一方、ミリタリー・ウォッチ・マガジンは、過去 2年間に最前線部隊の訓練水準の低さが繰り返し明らかになったと述べており、2023年半ばにはウォール・ストリート・ジャーナルが、ウクライナ軍が地方から貧しい男性を募集し、彼らにソ連時代のライフルと制服を装備させ、基地でわずか 2晩過ごした後に前線に送り込んでいると報じたほどだ。
2023年6月初旬以来、複数の攻勢により多数の死傷者が出ており、ウクライナの徴兵への依存度がさらに高まっている。その間、ウクライナは囚人の徴兵にまで頼っていると報じられている。
ウクライナは数十万人の死傷者を出し、刑務所からの徴兵を急いでいる
ウクライナ法務省はウェルト紙に対し、5月以降 2,800人の囚人が釈放され、現在は兵士として勤務していると語った。
ウクライナのデニス・マリュスカ法務大臣は、徴兵プログラムの一環として、刑務所にいる男女合わせて 1万人から 2万人が軍に入隊する可能性があると推定している。
これには、有罪判決を受けた麻薬密売人、暴力犯罪の加害者、および特定の殺人犯が含まれ、彼らには今後月額約 2,500ユーロ 〜 2,750ユーロ(約 40万円〜 43万円)が支払われることになる。
最新鋭の戦闘機や弾薬の不足に加え、兵士の不足もウクライナの戦争遂行にとって大きな問題となっている。
ウクライナのポルタヴァ地方の上級徴兵将校、ヴィタリー・ベレジニョン中佐は 2023年9月15日、部隊が大きな損失を被ったことを明らかにした。「昨年秋に部隊に入隊した 100人のうち、10~20人が残ったが、残りは死亡、負傷、または障害を負っている」と彼は語った。
これは、過去 1年間の徴兵部隊の人員喪失率が 80~ 90%であったことを示している。元駐英ウクライナ大使で元外務大臣のヴァディム・プリスタイコ氏は 4月に、壊滅的な人員喪失を指摘した。
「当初から、損失については議論しない方針だった。戦争が終われば、損失を認めることになる。恐ろしい数字になると思う」と彼は指摘した。