異常な現象 疾病と感染症

米国の自閉症スペクトラム障害の有病率がさらに上昇し、31人に1人に

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さらに増加

CDC が、4月15日に、米国の自閉症に関する新たなデータを発表していました。

それ以前のデータは、2020年に発表されたもので、「米国の子どもの 36人に 1人が自閉症スペクトラム障害」だとしていました。

昨日発表された新しいデータでは、さらに有病率が上昇していまして、

「子どもの 31人に 1人が自閉症スペクトラム障害と診断された」

というデータを提示しています。

1970年代からの米国の自閉症スペクトラム障害の有病率の推移

USMortality

ちょっと極端な数字にも思えますが、今回ご紹介する報道にもありますように、米国では、「自閉症スペクトラム障害と診断する基準」も変化してきているようで、以前より劇的に増えているのは、そのためということもありそうです。

たとえば知的な問題やコミュニケーションの問題を伴わない、かなり軽度な状態でも、自閉症と診断されることがあるということだと思われます。

それでも、ABC ニュースの報道には、

> 自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どものうち、知的障害と分類された子どもは 40%未満だった。

とあり、つまり、「 31人に 1人」の中の 40%程度は、ある程度深刻な場合が含まれるようです。

これまでの数の推移は、大雑把に書きますと、以下のようななものでした。

・1970年代 10000万人に 1人

・1995年  500人に 1人

・2009年  110人に 1人

そして、2025年には、31人に 1人と発表されています。確かに極端なペースとは言えるとは思います。

自閉症スペクトラム障害の原因は複雑でしょうし、要因を単一化することなどはできないはずですが、以下のような調査もあります。

2歳までに週14時間以上スマホ等のスクリーンを見ていた赤ちゃんは、その後、自閉症と診断されるリスクが80%増加
 BDW 2024年11月5日

あるいは、古典的な話ですが、以下のような論文もあります。

予防接種を受けるほど自閉症と言語障害の子供が多くなることを示した2011年の論文
 BDW 2024年5月31日

現代は、「悪い環境的要因」があまりにも拡大しており、その数々が複雑に絡んでいるのだとは思われます。

ABC ニュースの報道です。





CDCにのよると、米国では診断率が上昇し、推定31人に1人の子どもが自閉症と診断されている

Estimated 1 in 31 children have autism as diagnosis rates increase in the US: CDC
ABC NEWS 2025/04/16

アメリカ疾病対策センター (CDC)が 4月15日に発表した新しい報告書によると、米国では自閉症の診断が増え続けている。

報告書によると、2022年には 8歳児の 31人に 1人が自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されたと推定されている。

比較対象として、2020年には 36人に 1人が ASD と診断されていた。

CDCのデータによれば、2000年に自閉症と診断された子どもは 150人に 1人だった。

ある医療専門家は以前、ABCニュースに対し、この増加は主に、幅広い自閉症スペクトラム障害に対する認識の向上、検査やサービスへのアクセスの改善、診断によるものだと語っていた。

専門家によると、現在自閉症/ASDとして理解されているものに対する認識が広がり、理解も深まり、自閉症として分類されるものの定義も広がったという。

たとえば、2013年に医師たちはアスペルガー症候群やその他の類似の診断を自閉症の分類に組み込むことを決定した。

CDCの報告によると、ASD の有病率は男子が 1,000人あたり 49.2人で、3.4倍高いことが分かった。

ASDはスペクトラムであり、症状は人によって異なる。日常生活でほとんどサポートを必要としない人もいれば、日常的な活動を行うのに多大なサポートを必要とする人もいる。高度な会話能力を持つ人もいれば、会話ができない人もいる。

この報告書は、31人に 1人の子どもが最も重度の自閉症スペクトラム障害を抱えていることを意味するものではない。自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どものうち、知的障害と分類された子どもは 40%未満だった。

さらに、報告書は人種・民族間の格差が依然として存在することを示しており、白人の子どもの罹患率は他のグループに比べて低かった。

ASD の発生率は、白人の子どもの場合 1,000人あたり 27.7人であるのに対し、アジア系または太平洋諸島系の子どもでは 1,000人あたり 38.2人、アメリカインディアン/アラスカ先住民の子どもでは 1,000人あたり 37.5人、黒人またはアフリカ系アメリカ人の子どもでは 36.6人、ヒスパニック系の子どもでは 33.0人、多民族の子どもでは 31.9人であった。

この報告書には限界もある。

データは 14州とプエルトリコの 16の研究大学や研究機関から集められたもので、必ずしも米国全体を代表しているデータではない可能性がある。

「有病率は 16地点間で大きく異なり、テキサス州(ラレド)の 103地点中 1地点からカリフォルニア州の 19地点中 1地点までで、これは各コミュニティにおける早期発見、評価、診断実践のためのサービスの利用可能性の違いを反映している可能性がある」と、CDC 人間発達障害部門の責任者、カリル・ラタイ博士は声明で述べた。

支援団体「オーティズム・スピークス」は声明で以下のように述べた。

「増加率を示すこの報告書は、部分的には実際の増加を反映している。認知度の高まり、診断基準の拡大、そしてより一貫性と標準化された検査ツールのすべてが、より多くの子どもたちがより早く、より正確に特定されることに貢献しており、自閉症コミュニティへの継続的な支援と投資の必要性を強調している」

この報告書は、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官が自閉症問題に注力する中で発表された。

先週ホワイトハウスで行われた閣議で、ケネディ氏は、9月までに「自閉症の流行の原因を判明させ、その危険性を排除する」と述べた。

その後、ワシントンポスト紙は、この研究は 9月に終了するのではなく、9月に開始されると報じた。

ケネディ氏は 4月15日の声明で、報告書で増加率が示されたことは自閉症の流行が「猛威を振るっている」証拠だと述べた。

ケネディ氏は以下のように述べた。

「トランプ大統領は私に、自閉症を含む小児慢性疾患の流行の根本原因を特定するよう指示した。私たちは世界トップクラスの科学者チームを編成し、流行の起源に焦点を当てた研究を進めており、9月までに答えが得られると期待している」

何人かの精神科医や自閉症の専門家は ABC ニュースに対し、自閉症の増加率に注目することが重要であり、少なくともケネディ氏はそれにスポットライトを当てていると語った。

しかし専門家たちは、ケネディ氏らは自閉症率の上昇の理由について重要な文脈を見落としていると指摘する。

ASDの定義が拡大したことに加え、出産年齢の上昇、認知度の高まり、診断検査へのアクセスの容易化などが上昇の理由として挙げられるという。







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