戦争の時代

イスラエル軍が過去24時間でレバノンの約300カ所を空爆。対するヒズボラもイスラエル軍諜報基地をロケット攻撃し、混沌さは増す

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イスラエルの空爆を受けたレバノンの首都ベイルート南部のダヒエ。 Press TV




すでにレバノン人2483人が死亡

イスラエルとヒズボラを巡る状況が混沌としてきていまして、1年前にガザでのハマスとの戦争で始まったこの対立は、今はイスラエルの隣国レバノンへの攻撃が中心となってきています。

イスラエル軍は、レバノンの首都ベイルートなどへの空爆を執拗に繰り返していて、これまでのレバノン側の死者は 2483人となっています。

この死者の「兵士と民間人の内訳」はわかっていませんが、イスラエルは、住宅地や病院周辺などのあからさまな民間施設へも空爆を続けていますので、民間人の死者数もかなりのものだと思われます。

22日までの 24時間で、イスラエルはレバノンへの空爆を 300回以上おこなったと発表しています。

そんな中で、イスラエル軍が、「レバノン最大の病院を空爆した」ことも伝えられています。

イスラエル側は、理由付けをしていまして「ヒズボラがこの病院の地下倉庫に 5億ドル(約 750億円)の軍事資金を保管しているため」としていますが、ガザへの攻撃の際にも、「民間施設にハマスの幹部が隠れているから」として、民間地への容赦ない攻撃を繰り返していたのと同じ光景にも思えます。

これについて、まず、イスラエル側の報道をご紹介します。





民間人に避難命令を出した後、イスラエル空軍がヒズボラのベイルート拠点を攻撃

Air Force pounds Hezbollah’s Beirut stronghold after civilians told to evacuate area
Time of Israel 2024/10/22

レバノンのアル・サヘル病院は、ヒズボラが地下に 5億ドルを保管しているというイスラエル国防軍の非難を否定するが、イスラエルの 10回以上の空爆の中で患者を避難させた。

イスラエル国防軍は、ヒズボラがレバノン最大の病院の地下にあるバンカーに数百万ドルを隠しているとしたことを受けて、10月21日の夜と 22日の早朝に、ベイルートの南郊外でイスラエル軍による十数回の空爆を行った。

この攻撃は、イスラエル国防軍のアラビア語報道官アビチャイ・アドラエ中佐がベイルートの南郊外にある複数の建物の住民に対し、その地域が「ヒズボラの施設や利害関係者の近くにある」と警告し、その地域から避難するよう指示したことを受けて開始された。

イスラエル軍は 21日、イスラエル国防軍のダニエル・ハガリ報道官が、ヒズボラが主に拠点を置くベイルート南部郊外ダヒエにあるアル・サヘル病院の地下にあるバンカーに「およそ 5億ドル相当のドル紙幣と金」があるとイスラエルが推定していると述べたことを受けて、金融インフラに重点を置き、ヒズボラの標的への攻撃を続けると発表した。

同氏は、イスラエル空軍が病院施設を監視していると警告したが、イスラエルはレバノン国民ではなくヒズボラと戦争しているため、病院自体への攻撃は行わないと強調した。

それでも病院側は患者をより安全な場所に避難させていると述べた。

ファディ・アラメ病院長はイスラエル国防軍の主張を否定し、レバノン軍に現場視察を要請した。

アラメ氏は地元のアル・ジャディードテレビに対し、この地域で 42年間営業しているこの病院には手術用の地下室があり、ヒズボラやいかなる政治団体とも一切関係がないと語った。

避難の呼びかけに続いて、ベイルートの住民はダヒエ地区で数回の大きな爆発があったと報告し、レバノンのメディアはヒズボラ拠点に対して少なくとも 13回のイスラエル空爆が行われたと報じた。

レバノン保健省は、暫定的な死者数によれば、この公立病院付近での空爆で子供 1人を含む 4人が死亡し、24人が負傷したと発表した。

保健省が発表した数字は戦闘員と民間人を区別していない。

保健省は、この攻撃により「病院に重大な損害」が生じたとしたが、「病院は現在も営業しており、多数の患者を受け入れている」と述べた。病院の入口も被害を受けたという。

レバノン保健省はまた、ヒズボラが病院の地下に 5億ドルを保管しているというイスラエル国防軍の主張を否定した。

レバノン国営通信社は、イスラエル軍がベイルート南部のウザイ地区に対して少なくとも 3回の攻撃を行ったと報じた。

イスラエルとイランが支援するヒズボラとの緊張が高まったため、ベイルートの南郊のほとんどの地区は 1か月近くも人がいなくなっていたが、ウザイの密集した住宅街はこれまで攻撃対象になったことがなかったため、依然として人であふれていた。

この攻撃は、イスラエル国防軍がレバノン全土のヒズボラ拠点への攻撃を続けている中で行われたもので、過去 24時間で約 300カ所を攻撃した。

特に、イスラエル国防軍のヘルジ・ハレヴィ参謀総長は 20日、ヒズボラと関係のある金融会社アル・カード・アル・ハッサンの 20以上の標的が攻撃されたと述べた。


 

ここまでです。

対するヒズボラも、その後、「イスラエルの首都テルアビブにある諜報基地を攻撃した」と発表しています。

イラン国営プレスTVの報道です。


ヒズボラがテルアビブのイスラエル軍諜報基地を攻撃

Hezbollah strikes Israeli military intelligence base in Tel Aviv
presstv.ir 2024/10/21

レバノンのヒズボラは、パレスチナ占領地テルアビブ市郊外にあるイスラエル軍諜報基地に対してロケット弾攻撃を実施した。

ヒズボラは 21日、政権の軍事情報部隊 8200に属するグリロット基地に対する報復攻撃を実施すると発表した。

同グループは「ガザ地区の不屈のパレスチナ人を支援し、彼らの勇敢で名誉ある抵抗を支持し、レバノンとその国民を守るために」作戦を実施したと述べた。

この攻撃は「ハイバル作戦の一環として、そしてシオニストの敵による侵略と虐殺への報復として行われた」と同グループは述べた。

ヒズボラは、この作戦のコードネームを「ナスララ様、私たちはあなたのお役に立つ(we are at your service O Nasrallah)」と名付けた。これは、9月下旬にレバノンの首都ベイルートに対するイスラエルの攻撃で殉教した同グループのサイード・ハッサン・ナスララ事務総長を指している。

イスラエル政権は昨年 10月、レバノンに対する致命的な攻撃を激化させた。これを受けてヒズボラは、占領地全域にある重要な標的や、レバノン南部への進撃を試みるイスラエル軍を標的とした数百回の報復攻撃を開始した。

また 21日、ヒズボラの戦闘員らは、カルミエルとマアロット・タルシハの違法入植地、およびアイェレット・ハシャハル地域の北に位置するイスラエル軍の第 100キャンプをロケット弾一斉射撃で爆撃した。

レバノン南部では、抵抗勢力がクファル・キラ検問所で進軍するイスラエル軍に砲弾を発射し、アイタ・アル・シャアブ町付近の軍の集合体にロケット弾の集中砲火を浴びせ、マルカバ町東郊の軍の一団に報復攻撃を 3回行った。

この運動はまた、シリアのテルアビブ占領下のゴラン高原にある政権のヨアブ兵舎とケイラ兵舎に対してロケット弾攻撃を実施した。


 

ここまでです。

戦況がエスカレーションしているのですけれど、ヒズボラが攻撃すればするほど、イスラエル側がさらに民間地なども含めて激しい空爆で対応するという図式となっていて、そして、死傷者は圧倒的にレバノン人が多い状況です。

このようなことの繰り返しで疲弊していくのはどちらかということでもあります。







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