洪水現場の視察に向かう金正恩委員長
VOA
中国との国境沿いの地域で壊滅的な被害
中国各地で 7月から洪水が続いていることは何度か取り上げたことがありました。
中国では今年前半、洪水を含む自然災害が相次いでおり、以下の記事にありますように、自然災害での損失額が、日本円で 2兆円を超えたと公式に報じられています。
(記事)洪水をはじめとする異常気象が続く中国で、2024年上半期だけで「自然災害による損失額が2兆円を超えた」と公式に報告される
地球の記録 2024年7月18日
中国の洪水はいまだにおさまってはいないどころか、地域的には、さらにさまざまな場所で洪水が発生しています。
そんな中、北朝鮮でも大規模な洪水が発生していることが伝えられています。
その被害はかなりのもののようで、外国の援助隊員が入国できていないため、正確な被害数はわからないですが、韓国のメディアの中には、
「犠牲者 1500人以上」
と報じていたものもありました。
その中を、金正恩氏自身が被害の視察に向かう様子を、北朝鮮国営の朝鮮中央通信が報じていますが、「本当にこんなボートで、こんな格好で行ったの?」と思わざるをえないような様子が報じられていました。
冒頭の写真もそうですが、以下もその写真の一枚です。
視察中の金正恩委員長。みんな、いわゆる普段着
VOA
乗っているのが、どうも頼りないゴムボートのように見える上に、救命胴衣のようなものも誰も着ていません。この体重で水に落ちたらどうする…とは思いますが、ともかく、北朝鮮も洪水被害がひどいものとなっているようです。
もともと食料不足が伝えられる北朝鮮で、その悪化も懸念されます。
そして、北朝鮮側は、韓国や他の海外の援助団体からの援助を拒否しているようで、それについてアメリカの VOA が報じていました。
北朝鮮は、深刻な洪水の中、国際援助活動を避けている
North Korea shuns international aid workers amid severe flooding
VOA 2024/08/01
朝鮮中央通信が7月31日に発表した中国との国境に近い平安北道の洪水被害地域。
北朝鮮は、数千軒の家屋を破壊し広大な農地を水に浸した大規模な洪水に苦しむ中、国際援助活動家に対して門戸を閉ざし続けている。
国際赤十字連盟は 8月1日、北朝鮮への再入国に希望を持ち続けているため、洪水による北朝鮮の人道状況とニーズを評価中であると VOA に語った。
「我々は北朝鮮の洪水の影響を深く懸念しており、状況を評価するために朝鮮赤十字社と緊密に協力している」と国際赤十字連盟は VOA KOREA への声明で述べた。
北朝鮮の国連常駐調整官ジョー・コロンバノ氏は 8月1日、VOA に対し、洪水被害からの復興を支援するため、また政府の要請があれば長期的な復興支援のため、同国に再び戻る用意があると語った。
コロンバノ氏はまた、ニューヨークの国連開発調整事務所からの書面による声明で、洪水被害を受けた人々に哀悼の意を表した。
北朝鮮は 2023年8月に国境を再開し、人道支援を含むすべての国境を越えた活動を阻止する 2020年以来実施されていた厳格なパンデミック対策を解除した。
7月には国連食糧農業機関(FAO)事務局長が 4日間の日程で平壌を訪問したが、国境は開放されているにもかかわらず、国際援助活動家は同国にはいない。
米国務省は 8月1日、VOA KOREA に対し、北朝鮮が国際援助活動を支援する用意があり、「国際人道支援活動従事者の入国をすぐに許可することを期待する」と語った。
2016年に北朝鮮が台風ライオンロック(台風10号)に襲われ洪水被害を受けた後、米国は、2017年に 100万ドル(約 1億5000万円)の人道支援を行った。しかし、米国は現在、北朝鮮にいかなる支援も行っていない。
北朝鮮は 7月後半から大雨に見舞われており、平安北道と慈江道の洪水被害地域にテント、毛布、衣類、医薬品などの救援物資を送るため、複数の道の当局者と住民を動員したと朝鮮中央通信が 8月1日に報じた。
北朝鮮の金正恩委員長は、平安北道の洪水被害地域を視察した後、緊急会議を開いた。
同地域では、中国と国境を接する新義州市と義州郡で、大雨により住宅 4,100棟以上と農地約 3,000ヘクタールが浸水したと、朝鮮中央通信は伝えている。
朝鮮中央通信が 7月29日に伝えたところによると、北朝鮮軍のヘリコプターによって洪水被害地域から 4,300人以上が救出された。しかし北朝鮮は壊滅的な洪水による死者や負傷者の推定数を明らかにしていない。
北朝鮮は排水を支える適切なインフラがないため、夏の豪雨による洪水が発生しやすい。
南北関係を担当する韓国統一省は 8月1日、北朝鮮は、この洪水で相当な犠牲者を出した模様だと述べた。韓国の一部メディアは、死者や避難者を含めた洪水被害者の数は 1,500人以上と報じた。
韓国赤十字社は 8月1日、韓国統一省を通じて発表した声明で、北朝鮮の洪水被災者に救援物資を提供する用意があると述べた。
しかし、両国間の緊張関係が続く中、北朝鮮が韓国からの援助を受け入れるかどうかは不透明だ。
米国と北朝鮮の交渉を仲介するワシントンの北朝鮮問題全国委員会事務局長キース・ルース氏は、「北朝鮮当局が他国からの支援を受け入れると決めた場合、中国とロシアが最初の連絡窓口になる可能性が高い」と述べた。
VOA はワシントンとソウルのロシア大使館に連絡を取り、ロシア政府が北朝鮮に災害救援物資を送る計画があるかどうかを尋ねたが、返答はなかった。