ロシアのニジニ・ノヴゴロド州にある爆発物工場で起きた爆発を映したとされる動画のスクリーンショット。
newsweek.com
10月20日、ロシア国防省が「 100機以上のウクライナのドローンを撃墜した」と発表しました。
最近のウクライナのドローンによる攻撃では最大規模のもののひとつと言えそうですが、しかし、 100機のドローンを撃墜したとはいえ、いくつかは、ロシア国内の「目標」に到達したようです。
その中でも、最大の攻撃目標とされていたと見られるのは、ロシア最大の爆発物工場だったようで、いくつかの映像などが撮影されています。冒頭の写真もそのひとつです。
ウクライナ軍は、2年半にわたり攻防が続けられていたドネツク州の激戦地をロシア軍に占領されたり、あるいは、圧倒的な兵士の数が足りない中で、新兵がまともな訓練を受けないまま戦地に駆り出されていることも報じられていまして、戦力の喪失率も著しいようです。
(記事)昨年秋に部隊に入隊したウクライナ新兵のうち残っているのは「100人のうち10人か20人」というウクライナ軍の現実
地球の記録 2024年10月2日
そんな中で、ウクライナはドローンによるロシアへの攻撃を拡大させているわけですが、仮に「アメリカなど西側諸国から供給された長距離兵器による攻撃」が起きた場合、戦争は「西側 vs ロシア」といった形にならざるを得ず、事態は深刻になります。
11月には、北朝鮮軍がロシアの軍事作戦に参戦する可能性が高くなっており、事態の拡大は避けられない感じでもあります。
以下は、ウクライナによるドローン攻撃について報じていたニューズウィークの記事です。
ロシア国内で最大の爆発物工場がウクライナのドローンによる大規模攻撃を受ける
Russia's Largest Explosives Plant Attacked in Huge Kyiv Drone Raid
newsweek.com 2024/10/20
10月20日のロシア国防省の声明によると、ウクライナは一晩中、ロシアの複数の地域に 100機以上のドローンを発射したという。その中には、ロシアの西側国境から数百マイル離れた「ロシア最大の爆発物工場」への攻撃も含まれる。
ウクライナの SBU 保安局の情報筋はニューズウィークに対し、同局のドローン、ウクライナの特殊部隊、軍事情報機関が所有するドローンが、ロシアのニジニ・ノヴゴロド州にある州都のすぐ西に位置するジェルジンスク市の「スベルドロフ工場を夜間に攻撃した」と語った。
ニジニ・ノヴゴロド州知事グレブ・ニキチン氏は 10月21日、防空システムと電子戦システムがジェルジンスクの「工業地帯」周辺でのドローン攻撃を撃退したと述べた。同氏は攻撃の標的については明らかにしなかった。
公式声明の代わりとなる情報源としてよく使われるロシアのテレグラムチャンネルのいくつかは、ウクライナがジェルジンスクにあるスベルドロフの爆発物、化学薬品、弾薬工場を標的にしたと報じた。この大規模な国営施設は、米国政府と欧州連合による制裁を受けている。
情報筋によると、スベルドロフ工場はウクライナ国境から約 900キロ離れている。ロシアは爆発物、砲弾、ミサイル弾頭、そして何カ月にもわたってウクライナを襲った破壊力の高い KAB 滑空爆弾のような航空機発射爆弾を製造していると情報筋は付け加えた。
ロシアの防空部隊が 110機のドローンを「迎撃し破壊した」とクレムリンは 10月20日早朝に発表した。ロシアの発表によると、クルスク地方上空で計 43機の無人航空機が撃墜され、さらにニジニ・ノヴゴロド地方上空で 8機、首都周辺でドローン 1機を撃墜したという。
ロシア国務省によると、ウクライナはリペツク州、オリョール州、ベルゴロド州、ブリャンスク州も攻撃した。
ロシアのテレグラムチャンネル「SHOT」は、目撃者が現地時間午前 3時30分頃に「最初の大きな爆発音」を聞いたと伝え、合計で約 10回の爆発があった。同チャンネルによると、住民は銃声を聞き、工場の周囲に白い煙が出たという。
ロシアの独立系通信社アストラは、攻撃の様子を映したとされる映像を公開した。高層住宅で撮影されたと思われる以下の映像には、爆発が映っている。
Drone attack on the Sverdlov ammo factory in Dzerzhinsk,
Nizhny Novgorod Region pic.twitter.com/HQa9mdXaqQ— C4H10FO2P ☠️ (@markito0171) October 20, 2024
ニジニ・ノヴゴロド州のニキチン知事は、「予備データによると、工業企業の敷地内にある消防署の職員4人が破片による軽傷を負った」と声明で述べた。負傷者は医療処置を受けたと知事は付け加え、救急隊が瓦礫が落ちた現場近くで活動していると述べた。
ウクライナは、ロシアによる隣国への全面侵攻開始から 2年半以上が経過した現在も、ウクライナに対しての戦争活動を支えるロシアの主要軍事基地、兵器貯蔵施設、施設を継続的に攻撃している。
ウクライナは西側諸国から供給された長距離兵器を使ってロシア国内を攻撃することはできないが、敵の拠点を狙うために長距離ドローンを使っている。