戦争の時代 最期の食糧危機

世界の三大コメ輸出国であるインド、ベトナム、タイの米農家がホルムズ海峡閉鎖による肥料高騰のダメージを受けており、大幅に生産量が下がる見込み

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これらの国のコメの生産量減少は世界的な食糧危機につながる

コメというのは、世界の約半数の人々(約35億〜40億人以上)が主食にしているもので、小麦と並んで地球の食の基本です。

ですので、コメの輸出というのは、地球の食料状況の安定のために非常に重要なものですが、しかし、コメを輸出している国というのは決して多くはなく、世界のコメの輸出ランキングは、インドが約 4割のシェアを占めて首位に立っており、続いてベトナム、タイが上位を占めています。


読売新聞

ですので、この 3カ国のコメの生産量が減少したり輸出量が減少した場合、世界の食糧安全保証に与える影響は非常に大きなものとなり得るのですが、それが起こりつつあります。

原因は、やはりホルムズ海峡の閉鎖で、これにより世界中で肥料価格が高騰し、そして、さまざまな農業用の資材や燃料の価格も上昇しています。

以下は、2020年からの尿素肥料の価格推移です。すでに、2022年(ロシア・ウクライナ戦争が始まった年)の高値に近づいているのですが、世界銀行は「今後まだ上昇する」と述べています。


NIKKEI Asia

アジアの国々では、農業経費が上昇したからといって、それをコメの価格に転嫁することは難しく、農家の人々が費用を抑えるためには、肥料の使用量を減らすことで対応するしかありません。

コメは大量の肥料を使用する作物です。すなわち、肥料の使用量を減らすと、コメの収穫量が減るという図式となっていきます。

必然的に、輸出量も減るわけで、コメを輸入に頼っている国々で深刻な主食不足が発生する可能性があります。

日本は、自国でコメをまかなっていますが、しかし、1993年に、極度の天候不順(冷夏)による不作により日本で起きた圧倒的な国内のコメ不足である「平成の米騒動」と呼ばれた出来事があったように、日本も稲作は常に万全ではありません。

まして、今年はスーパーエルニーニョがほぼ確実に発生する年です。これから、どんな気温や気候になるかは正確には予測できないですが、荒れる可能性はかなりあります。

さらには、肥料の高騰や農業資材の不足のダメージを受けているのは日本のコメ農家も同じです。何より日本では農家の数自体が減り続けています (2024年には、コメ農家の倒産・廃業が過去最多を記録しています)。

世界的な食糧危機が近づいているようです。

インド、ベトナム、タイのコメ農家の状況についての報道です。





インド、ベトナム、タイの米農家は肥料不足によるショックに備えている

Rice farmers in India, Vietnam and Thailand brace for fertilizer shock
NIKKEI Asia 2026/05/06

生育期が始まる中、ホルムズ海峡危機により物資価格が高騰


水田に稲の苗を移植するインドの農家。

南アジアと東南アジアの米農家は、作付けシーズンを前に肥料価格の高騰に直面しており、食糧供給へのリスクが高まっている。

尿素肥料の価格は、イラン戦争が中東の生産と輸送を混乱させたため、3月に 54%急騰した後、4月には前月比 18%上昇した。

世界銀行が月曜日 (5月4日)に発表したデータによると、尿素肥料の国際価格指標は 4月に 1トン当たり 857ドル (約 13万5000円)に達した。これは 3月に記録した 4年ぶりの高値 726ドル (約 11万4000円)を上回り、前年同月の 2倍以上となる

カタールやサウジアラビアといったペルシャ湾岸諸国は、天然ガスから作られる窒素系肥料である尿素の世界輸出量の 30~ 35%を占めている。イランの攻撃により生産施設が被害を受け、ホルムズ海峡の事実上の閉鎖により輸送が停止している。

アジア諸国は、米の主要生産国であると同時に主要消費国でもあるため、この価格の急騰に真正面から立ち向かっている。米作りは肥料を多用する作物であり、特に葉や茎の成長を促進する窒素系肥料に依存している

「アジアは、エネルギーと肥料の両方において、中東からの供給に最も依存している地域だ」と、世界銀行の上級エコノミスト、ダウィット・メコネン氏は述べた。「ホルムズ海峡が 6月以降も閉鎖されたままであれば、多くの国が資材不足に直面する可能性が高い

リン酸肥料の原料である硫黄の生産も、湾岸諸国に依存している。

世界銀行は、2026年の肥料価格が前年比 31%上昇し、尿素肥料は約 60%上昇すると予測している。

肥料価格の上昇は農業コストの上昇を意味する。特に新興国市場では、コストを食料価格に転嫁することが難しいため、農家は肥料の使用量を減らす傾向がある。これは作物の収穫量減少につながる可能性がある

世界銀行は、2026年の食料価格の上昇率をわずか 2%と予測している。しかし、この「控えめな」上昇は、「ショック発生当初における世界的な穀物供給量の豊富さ」によるものだと述べている。

南アジアと東南アジアでは、雨季の始まりが稲作サイクルの中で最も集中的な時期となる。高温多湿を好むインディカ米やジャスミン米などの長粒種は、世界中で取引される米の約 90%を占めている。

インド、ベトナム、タイの多くの農家は、5月から 8月の間に稲の種まきや苗の田植えを始める。

しかし、農家への影響は肥料だけにとどまらず、他の農業資材や輸送費の高騰により、生産コストが 50%から 80%上昇すると予想されている。

「パンジャブ州からメコン川流域に至るまで、計画決定のあらゆる面で調整がすでに始まっている」と、国連食糧農業機関(FAO)のチーフエコノミスト、マキシモ・トレロ氏は述べた。「世界第 2位の米輸出国であるベトナムは、エネルギーコストの上昇による利益率の低下を受けて生産量を削減している。タイとバングラデシュも同様の圧力に直面している」

アメリカ農務省によると、インドは世界最大の米生産国であり輸出国でもあり、年間約 1億5000万トンを生産しているが、輸入肥料への依存度が高いという弱点を抱えている。政府は農家向けに肥料補助金を出しているが、輸入肥料の約 40%は湾岸諸国からの輸入に依存している。

インドは 2024~ 2025年度に約 2300万トンの米を輸出し、これは同国の生産量の 15%に相当する。前年は、不作への懸念から米の輸出を制限していた。

インドが世界に米を供給する能力に匹敵する国は他にない。世界第2位、第3位の生産国である中国とインドネシアでさえ、米を輸入している。小麦やトウモロコシなど、世界市場で広く取引されている他の穀物とは対照的に、米の輸出量は限られている。ベトナム、タイ、パキスタンはそれぞれ500万トンから800万トンしか輸出できない。

フィリピンやサハラ以南のアフリカ諸国は米の消費量が多いものの、輸入に大きく依存している。ホルムズ海峡の封鎖が長引けば長引くほど、食糧危機のリスクは高まる




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