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コンゴ民主共和国でペストが拡大。数百の症例と31人の死亡事例。患者の平均年齢は「13歳」と若年層に集中

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マスクをつけてパトロールをするコンゴ民主共和国の警官隊 hram.org




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いろいろと病気の時代ではありますが、アフリカのコンゴ民主共和国の保健当局が、同国での「ペストの蔓延」を報告しています。

昨年 12月からの 3ヶ月間で、数百例の感染と、31人の死亡事例が出たと報告されています。

アフリカでペストが発生すること事態は、21世紀において珍しいということも言えないとはいえるようで、たとえば、2014年の WHO の資料には、

> 1990年代以降、ほとんどの人の症例はアフリカで発生している。WHO

とあります。

しかし、今回の報道を見て気になったのが、

「患者の平均年齢が 13歳で、多くが 17歳以下」

ということでした。

どの資料を見ましても、ペストに「好発年齢」つまり感染・発症しやすい年齢というものは歴史的に存在せず、今回のアウトブレイクのように、特に若い世代に極端に患者が偏っているというのは気になります。

報道では、以下のように伝えられています。英インディペンデントの記事です。


コンゴ民主共和国でのペストの発生により31人が死亡したと保健当局は述べている

31 people dead from plague outbreak in DRC, say health officials
INDEPENDENT 2021/02/21

保健当局によると、3か月前にコンゴ民主共和国(DRC)で発生したペストの発生により、31人が死亡した。同国北東部にあるイトゥリ州では、数百の症例が確認されている。

イトゥリ州の保健相は AFP に次のように語った。

「イトゥリ州は 520件以上の症例を抱えており、そのうち31人が死亡した」

症例は、肺ペストの 5症例と敗血症ペストの2症例を除いて、腺ペストの形態だと保健相は述べた。

患者の平均年齢は 13歳だという。ニューヨークに本拠を置く NGO エコヘルスアライアンスは、17歳未満の青年たちが最もリスクの高いグループで、すべての患者の 78.9パーセントを占めるようだと警告した。

ペストは、ペスト菌 エルシニア・ペスティスによって引き起こされる感染症で、ラット、ジリス、プレーリードッグなど、世界中の動物に見られる。通常は、ノミがペストの媒介動物として機能する。感染した動物との直接の接触、そして肺ペストの場合は人から人へと感染する可能性がある。

ペストは、抗生物質治療が早く開始されれば、多くが治療できる。しかし、適切な治療がなければ、ペスト感染者の 30〜 90パーセントで死に至る可能性がある。

なお、コンゴ民主共和国では、エボラ出血熱の流行も復活しており、懸念が拡大している。

コンゴ民主共和国の医療制度は資金不足に悩まされており、さまざまな過激派グループの活動によって妨げられているため、同国では適切な医療を受けることはしばしば困難となっている。


 

ここまでです。

若い人に患者が集中している理由は定かではないですが、ただ、新型コロナの対策による昨年以来の流通の停滞などで多くの国で食糧事情が悪くなっています。

以下の記事で取りあげたことがあります。

世界食糧計画が「2億7000万人が飢餓に向かっている」と声明。同時に、2021年は国連発足以来最悪の人道的危機の年となると警告
In Deep 2020年12月7日

栄養状態の広範な悪化が、国や地域全体の感染症の悪化に直接的に影響することは歴史的に示されていますが、国連世界食糧計画は、昨年 12月の段階で、

「約 2億 7000万人の人たちが飢餓に向かって進んでいる」

と警告していました。

その多くにはアフリカなどの国が含まれており、また、コンゴ民主共和国もそうですが、アフリカでは内戦あるいは、反体制派の活動が続いている地域も多く、食糧流通も治療体制もスムーズには進まない場所が多いようです。

ユニセフは、昨年5月の時点で、「 5歳未満の 120万人の子供が次の 6か月で死亡する可能性がある」と述べていまして、新型コロナウイルスによるロックダウンや国境閉鎖などの若い人たちへの影響は大きいようです。特に、若い人たちの栄養不良は、地域の健康衛生に壊滅的なダメージを与えるはずです。

世界的に流通や食糧生産の状況が改善する兆しは、あまり見られてはおらず、主要国以外での予期せぬ感染症の爆発的な拡大がこれからも続く可能性があります。

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