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ニジェールのクーデター政権が「フランスへのウランとゴールドの輸出を停止」。ニジェールはEUにとって最大の発電用ウラン供給国

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クーデターによりニジェールの指導者となったアブドゥラハマネ・チアニ将軍

CNN




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西側を排除し始めるアフリカの各国

数日前、西アフリカにあるニジェール(人口約 2400万人)で、クーデターが発生し、軍事政権が誕生しました。

ニジェール クーデター起こした警護隊 軍事政権の発足を発表

NHK 2023/07/30

西アフリカのニジェールでクーデターを起こした大統領の警護隊が、この部隊のトップを指導者とする軍事政権を発足させたと発表し、欧米を中心に非難が強まっています。

ニジェールでは26日、大統領を警護する軍の部隊がバズム大統領を監禁し、現政権の統治を終了させたと宣言しました。

警護隊は28日、国営テレビを通じて、部隊のトップを務めるチアニ将軍を指導者とする新たな政権を発足させたと発表しました。

ニジェールの場所

Google

このニジェールのクーデター政権の新しい指導者が、最初に打ち出した国際政策のひとつが、

「フランスへのウランと金(ゴールド)の輸出を停止する」

というものでした。

ニジェールは、EU に対しての最大のウランの供給国でもあり、大きなニュースとも言えます。

まずは、そのことを報じていたアル・マヤディーン紙の報道をご紹介させていただきます。





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ニジェール、フランスへのウランと金の輸出を停止

Niger puts an end to uranium and gold export to France
almayadeen.net 2023/07/31

ニジェールのクーデター指導者であるアブドゥラハマネ・チアニ将軍は、EU最大のウラン供給国であるにもかかわらず、フランスへのウランと金の輸出を停止した。

ニジェール共和国は、アブドゥラハマネ・チアニ将軍の指導の下、共和国国民の支持を受け、7月30日、フランスへのウランと金の輸出停止を即時に発表した。

この決定と並行して、デモ参加者たちは在ニジェールのフランス大使館を取り囲み、「フランスを打ち負かせ!」というスローガンを繰り返しながらフランス植民地慣行の廃止を求めた。そしてクーデター指導者チアニ氏への支持を再確認した。

ナイジェリアのニュースウェブサイト、ワゾビア・レポーターズは、「私たち(ニジェール)はウラン、ダイヤモンド、金(ゴールド)、石油を持っているのに、なぜ奴隷のように暮らしているのか?」と宣言したデモ参加者について報じた。

「私たちにフランス人は必要ない!」

しかし、ナイジェリアのクーデター指導者は、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)や EU 、アフリカ連合などの欧州関連機関との関係を維持するアフリカ政府からの非難と脅迫に直面している。

この点に関してチアニ将軍は、「我々は ECOWAS や他の冒険家に対し、祖国を守るという固い決意をもう一度思い出させたい」と語った。

ニジェールは世界で 7番目のウラン生産国であることも注目に値する。世界原子力協会(WNA)は、ニジェールが 2022年に世界のウラン生産量の 4%強に相当すると考えられる 2020トンUを生産したことを確認した。

現在、ニジェールにおけるウラン生産は、主にフランス鉱山会社 SOMAÏR の 63.4%を所有するフランスの過半数出資会社であるオラノ社を通じて行われている。

この残りの 36.66% は、ニジェールのソパミン社が所有している。

2021年、欧州連合の電力会社はニジェール産のウラン 2905トンを購入し、ニジェールは EU に対する主要なウラン供給国となった。

これに先立ち、7月28日、フランスのオラノ社は、フランスの同盟国でニジェールのムハメド・バズーム大統領が打倒されたことを受けて、ニジェールの「状況は依然不安定」であると主張する声明を発表した。

同社は「従業員の安全を優先するため危機管理部門を設置した」と付け加え、「今回の出来事はニジェールでの活動や資産価値に即時影響を与える」と強調した。


 

ここまでです。

ウランは、核兵器など以外の通常の用途ですと「発電」に使われます。

> 原子力発電の燃料であるウランの原子核に中性子が当たると、原子核が分裂します。この現象を『核分裂』といいます。このとき核分裂と一緒に熱が発生します。原子力発電所では、この熱を利用して大量の電気をつくっています。 関西電力

フランスは、発電全体の 7割が原子力で (2021年で 69%、その割合が非常に高い国です。天然ガスや石炭、石油などの化石エネルギーによる発電は、全体の 7%に過ぎません。

こういうフランスへの「ウラン供給停止」というのは、実効的なダメージを与えられる政策のようにも思えます。

記事の中に、「フランスを打ち負かせ!」という表現が出てきますが、クーデター後のニジェールの写真を見ますと、「ロシア国旗を掲げている人々がずいぶんと多い」ことに気づきます。

7月30日のニジェールの様子

Garland Nixon

 ニジェールの国旗

 ロシアの国旗

 

ニジェールの国旗よりも、ロシアの国旗の方が多く見えます。

上の写真には、「プーチン万歳」と書かれたカードを持つ人もいます。

 

ただ、この「 POUTINE 」というフランス語は、綴りが間違っているようで、フランス語の辞書で見ましたら「チーズフライドポテト」という意味となってしまうようです(苦笑)。

綴りの間違いはともかくとして、「西との対立」という図式が、アフリカにも顕著に出ているのだなあと思います。

最近、やはり西アフリカのマリ政府が「公用語としてのフランス語を放棄する」と宣言しています。

(報道翻訳)マリ、公用語としてのフランス語を放棄 (2023/07/27)

西アフリカは、フランスの植民地だった国が多く、今となって、フランスへの憎悪が爆発しているようです。

先日、ロシアのサンクトペテルブルクで行われたロシア・アフリカ首脳会談において、プーチン大統領は、「アフリカの食糧の乏しい 6カ国に穀物無償提供を約束」したと報じられていた他、プーチン大統領は、「ロシアはアフリカの 40か国以上と軍事技術協力に関する協定を結んでいる」と述べていたことが報じられていました。

アフリカもまた非常に大きな新たな動きの場となっているようです。

  • B!