疾病と感染症

ダニが媒介する疾患が世界で増殖中:中国の科学者がインフルエンザ様症状を呈するダニ媒介性の新型ウイルスを特定

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マダニ。spap.jst.go.jp




新たに発見されたダニ媒介のウイルス

最近は、ダニと関係する感染症の話が多いです。日本を含めて、マダニに噛まれることでウイルス感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)というものがあり、これは、致死率 10%から 30%もあるという致死的な疾患です。

また、最近では「マダニが媒介するアルファガル症候群(肉アレルギーを引き起こす疾患)」がアメリカで、異常なほど増加していることを取り上げたこともあります。

重篤な肉アレルギーを引き起こすアルファガル症候群の異常な増加から考える、アメリカの「生物兵器的ダニ研究の長い歴史」
In Deep 2026年6月11日

そして今度は、インフルエンザ様の症状を引き起こす新しいダニ媒介ウイルスが中国で発見されたという報道がありました。

これは、「アジア長角ダニナイロウイルス」という、とても一度では覚えきれないような名称なのですが、このウイルスに対して、

「検査を受けた 3,163人の患者のうち 10.4%が陽性だった」

ということで、かなり蔓延しているようです。

発見された新型ウイルスの単独感染では、死亡する確率はほとんどないようですが、重症熱性血小板減少症候群を引き起こすマダニのウイルスとの重複感染では、20%近くが死亡したとあります。

症状がインフルエンザと似ているために、検査しない限りは、一般的な呼吸器感染症との区別は難しそうです。

次々と新しい病気が出てきますね。

この新しいダニ感染症についての報道です。いろいろなダニの名前とウイルスの名前が出てきて、わかりにくいですが、ご紹介させていただきます。

 

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中国の科学者らが、インフルエンザのような症状を引き起こす新たなダニ媒介性ウイルスを発見

Scientists in China discover new tick-borne virus that causes flu-like illness
cidrap.umn.edu 2026/09/04

中国の科学者たちが、発熱、倦怠感、胃腸症状、および検査値の異常を特徴とするインフルエンザ様疾患を引き起こす、ダニ媒介性の新型ウイルスを特定した。

北京にある病原体・生物安全国家重点実験室の研究者らが率いるチームは、この新たなオルソナイロウイルス(※ マダニを介して人に感染し、発熱や血小板減少などを引き起こすウイルスの一群)をアジア長角ダニナイロウイルス(ALTNV / ※ 以下、アジア長角ダニと表記)と命名した。

彼らの発見は、昨日(2026年9月3日)ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に掲載されたもので、ダビエバンダウイルス(DBV / ※ 以下、バンダウイルスと表記)感染の兆候や症状を示す患者の 30%が、ダニ媒介性出血熱の検査で陰性となる理由を調査した結果である。

 

高熱、血小板数減少

バンダウイルス感染症は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を引き起こし、アジア全域で発生しており、致死率は 10~ 30%。血小板減少症とは、血小板数が少ない状態を指す。世界保健機関(WHO)は、バンダウイルスを優先的に研究すべき疾患として挙げている。

研究チームは、ダニ媒介ウイルスが蔓延している中国の一部地域の監視病院で、ダニに噛まれた患者から検体を入手した。研究者らは、RNAシーケンス解析とウイルス分離によって、この新種のウイルスを特定した。

系統ゲノム解析により、アジア長角ダニウイルス(ALTNV)はナイロウイルス科に属するオルソナイロウイルスであり、同属の他の種とは 80%未満のアミノ酸配列しか共有していないことが明らかになった。

アジア長角ダニウイルスの RNA陽性ヒト血清を細胞に接種したところ、ウイルス抗原の免疫蛍光染色によりアジア長角ダニウイルスと同定されたウイルスが増殖した。電子顕微鏡観察ではオルソナイロウイルスの特徴も認められ、複数の細胞株でウイルス複製が検出された。

ダビエバンダウイルス陰性患者の 15%にアジア長角ダニウイルスが認められた。

検査を受けた 3,163人の患者のうち、RNA または免疫グロブリンM抗体の検出に基づき、10.4%がアジア長角ダニウイルス陽性であった。ダニナイロウイルス検査で陰性であった患者のうち、15.1%がアジア長角ダニウイルス陽性であった。

アジア長角ダニウイルス単独感染で最もよく見られた症状は、倦怠感(84%)、消化器系の問題(80%)、血小板減少症(38%)、アミノトランスフェラーゼ濃度の上昇(肝臓またはその他の組織の炎症や損傷を示す;36%)であった。 これらの患者は完全に回復した。

ダニナイロウイルス単独感染と比較して、アジア長角ダニウイルスとダニナイロウイルスの重複感染(38例)では、呼吸器症状(61%対 38%)および腎機能障害(84%対 66%)の発生率が高かった。重複感染患者のうち 7例(18.4%)が死亡した。

中国の 15の省で採取された 47,428匹のダニのうち、1.3%からアジア長角ダニウイルスの RNAが検出され、中でもマダニの一種であるフタトゲチマダニで最も高い検出率 (1.8%)が認められた。実験の結果、 フタトゲチマダニはマウスにウイルスを感染させる能力がある ことが示された 。

「アジア長角ダニナイロウイルスとダニナイロウイルスが同じ地域で同時に流行していること、そして両者が共通のダニ媒介生物を介して感染していることは、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が風土病となっている地域において、これらのウイルス感染症の鑑別診断を改善する必要性を強調している」と著者らは結論付けた。




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