ニュートリノの観測中に得られた結果は「ニュートリノではない何か別のもの」だった
アメリカの科学者たちが、
「南極で正体のわからない電波を発見した」
ことが報じられていました。
電波というか、実際には「何らかの高エネルギー粒子」のようなのですが、何かわからないと科学者たちが述べているので、何かはわかりません。
これは科学者たちが、ニュートリノを検出しているときに(偶然)見出されたもののようです。
検出に使われた機材は、宇宙からの高エネルギー粒子を捕捉するために設計された NASA の資金提供プロジェクトである南極インパルストランジェントアンテナ(ANITA)というものだそう。
ニュートリノが何かというのは、難しいところですが、最もやさしく答えてくれているのが、東京理科大学・スペースシステム創造研究センターのウェブサイトで、以下のように述べられていました。
> ニュートリノとは、物質を構成する最も小さい単位である「素粒子」の一つです。
それにしても、「南極」という場所は不思議な場所で、2018年には、以下のふたつの発見が報じられていました。
・南極の氷床から謎の音が流れている
・南極の上空を、物理学では理解できない未知の粒子が飛び回っている
以下の記事にあります。
・南極の氷床に流れる謎の音、南極で検知された物理学では理解できない未知の粒子…。最近次々と多彩なことが起き続ける南極で次は何が?
In Deep 2018年10月19日
2018年9月のサイエンティフィック・アメリカンの記事
Scientific American
他にも、南極にはいろいろなことがあります。
今回発見された「エネルギー波のようなもの」が、宇宙から来たものか、南極由来なのかどうかはわからないですが、南極はいつも謎と刺激に満ちています。
米ニューヨークポストの記事です。
科学者たちは南極の氷の下から謎の電波を検出した
Scientists detect mysterious radio waves coming from beneath Antarctica’s ice
NY Post 2025/06/15
南極インパルストランジェントアンテナが謎の電波を発見した。
南極の研究者グループが、氷の下から奇妙な電波が発せられていることを発見した。
フィジカル・レビュー・レターズ誌に掲載された結果によると、この謎の電波は「南極インパルストランジェントアンテナ (ANITA) 」によって発見されたという。
この実験中、研究者たちはさまざまな機器を使って地球に伝わる信号を分析していた。
気球を使って観測機器を大気圏上空高く打ち上げ、宇宙全体の宇宙現象に関する新たな理解を得ることが目的だった。
研究者たちの発表によれば、南極がこれらの実験の場所となった理由は、他の電波からの干渉がほとんどなかったためだという。
しかし、研究者たちは氷の下から電波が発信されていることを発見した。
ペンシルベニア州立大学の物理学、天文学、天体物理学の准教授で、同大学の発表で取り上げられた研究者の一人であるステファニー・ウィッセル氏は、ニュートリノと呼ばれる粒子を探しているときにこの電波を発見したことを明らかにした。
「我々が検知した電波は、氷の表面下 30度のような非常に急な角度で放射されていた」とウィッセル氏は声明で述べた。
ウィッセル氏はさらに、その電波は(本来なら)検知できないはずだったと説明した。
その波は何千キロメートルもの岩を通過し、岩に吸収されたはずだ。
彼女はまた、発表の中で、研究チームはこれらのニュートリノがどのように検出されたのかについては答えを持っていないとも述べた。
ウィッセル氏によると、ニュートリノは高エネルギー源から放出されるため宇宙を理解する上で重要であり、通常は検出が難しい。
ウィッセル氏は、10億個のニュートリノがいつでも私たちの体を通過している可能性があるが、それらはあなたと相互作用しない、と述べた。
「つまり、これは諸刃の剣のような問題です。もし検出できれば、それらは他のものと相互作用することなくここまでずっと旅してきたということになります。観測可能な宇宙の端からやってくるニュートリノを検出している可能性もあります」とウィッセル氏は述べた。
これらの粒子が発見されれば、最も強力な望遠鏡でも得られない宇宙の出来事に関するデータや情報が明らかになる可能性がある。
ウィッセル氏によれば、気球は放出信号をキャッチするために氷上 40キロメートルまで打ち上げられるという。
しかし、研究者たちは自分たちの研究結果を他の 2つの実験と照合したところ、結果が一致しないことがわかった。
つまり、彼らが発見したのはニュートリノではなく、まったく別のものだったということになる。
ヴウィッセル氏は、これは暗黒物質かもしれないという説もあるが、確認できず謎のままだと述べた。
「私の推測では、氷の近くや地平線の近くで、私が完全に理解していない興味深い電波伝播効果が発生していると思いますが、私たちは確かにそれらのいくつかを調査しましたが、まだそれらも見つけることができていません」とヴィッセル氏は語った。