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オーストラリアの蛾は、「宇宙の光」をコンパスとして1000キロもの距離を移動することが研究で判明。磁場が移動をさらにサポートする

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lonelyspeck.com




磁場と宇宙の光の両方をコンパスにしている多くの生物たち

ずいぶん以前ですが、「地球上のすべて(とは言わなくとも、多くの)生物は磁場によって移動している」という可能性について、以下の記事で書いたことがあります。

おそらく人間を含めた「全生物」は磁場により生きている:ハトや蝶が持つ光受容体がヒトにも存在していること…
In Deep 2015年11月23日

人や鳥やハエなどの昆虫を含む多くの動物の目の網膜には、「クリプトクロム」という光受容体があり、これは、光受容体ではありますけれど、光を感じると共に、

「磁場を見る」

ことと関係している器官です。

クリプトクロムと、自発的に外部磁場の方向を向くポリマー状のタンパク質(MagR)の結びつきにより、以下のように地球の磁場に対して正確に動くため、蝶も鳥も「磁場だけで」移動ができるのです。


nature

しかし、このクリプトクロムというのは、実は、

「光がないと働かない」

ということを後に知りました。

つまり、夜になると、磁場による移動は基本的にできないことになりますが、しかし、夜行性の生き物は大変に多く、夜にだけ行動、移動する生物たちは何をコンパスとして移動しているのか?

2013年のことですが、「フンコロガシが天の川銀河の光を道しるべに移動している」ことが突き止められたことがありました。以下の記事にあります。

あらゆる手段で「光」を求める生命: フンコロガシの行動、松果体の意味、そして「太陽神の目」の実体
In Deep 2013年1月29日

そして、今回ご紹介するネイチャー誌に発表された研究で、

「オーストラリアのボゴングという蛾もまた天の川銀河の光をコンパスとして利用していた」

ことが判明したのです。

もちろん、蛾も「磁場を見る」ことはできます。しかし、基本的に蛾は夜行性ですので、移動する夜間には、磁場を見る網膜の器官は機能しないのです。

その時、蛾は「天の川銀河の光を頼りに 1000キロの距離を移動する」のでした。興味深い研究でしたので、ご紹介したいと思います。





蛾は天の川を追う

MOTHS FOLLOW THE MILKY WAY
spaceweather.co 2025/07/17

ネイチャー誌に掲載された新たな研究によると、オーストラリアの蛾は夜空を視認し、その姿を読み解くことができるという。彼らは天の川に特に注目しており、カリーナ星雲を目印として移動しているようだ。

オーストラリア南東部では毎年春になると、数十億匹のボゴング蛾が闇に紛れて飛び立つ。それは、1,000キロメートルにも及ぶ壮大な渡りの始まりだ。

彼らの目的地は、オーストラリアアルプスの小さな洞窟群。蛾たちはそこを一度も訪れたことがないのに、驚くべき正確さでたどり着く。

その彼らの羅針盤は、なんと夜空そのものなのだ。

この結論に至るために、研究者たちは、蛾を小さな紐で縛り付けた。これにより蛾は飛び立って方向を決めることはできたが、逃げることはできない。

実験は、特殊な蛾のプラネタリウム(以下の写真)の中で行われた。

頭上のスクリーンに星の模様が投影され、ヘルムホルツコイルによって周囲の磁場がゼロにされたため、蛾たちは磁場による航法で「ごまかす」ことができなかった (※ 磁場をコンパスにすることはできなかった、という意味)

通常の星空を見せられたとき、蛾は正しい方向を向いた。しかし、星がランダムな模様に混ぜられたとき、蛾は方向を見失った。

さらに深く掘り下げるため、研究者たちは、投影された夜空が頭上で回転する様子を、蛾の脳内の視覚ニューロンの活動として記録した。ニューロンは、星が蛾の受け継いだ渡りの方向と一列に並んだ時に最も強く発火した。

一部のニューロンは天の川銀河で最も明るい領域(特にカリーナ星雲付近)に同調しており、この星の光の帯が視覚的なランドマークであることを示唆している。

雲によって、次の発見があった。

ボゴング蛾は星が隠れていても方向感覚を失っていなかった。その場合、彼らは地球の磁場を頼りにしており、渡り鳥に似た二重のコンパスシステムを持っていることが明らかになった。星と磁気の両方の手がかりがなくなると、蛾は再び方向感覚を失った。

近年、科学者たちは多くの生物が星に導かれていることを発見している。人間に加えて、渡り鳥、おそらくアザラシ、フンコロガシ、コオロギ、そしてボゴング蛾もそのリストに含まれる。磁気に導かれる生物のリストはさらに長く、微生物からクジラまで、その大きさは多岐にわたる。

自然は私たちに何かを伝えているのかもしれない。宇宙はすべての生物たちの地図なのだ。







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