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イスラエル政府、レバノンとの全面戦争に先立ち、イスラエル北部で「大量埋葬」を準備

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イスラエルの攻撃で死亡した上級指揮官の葬儀に出席したヒズボラの兵士たち

aljazeera.com




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昨年 10月にイスラエルのガザ侵攻が始まり、ずいぶんと時間が経過しています。何かの問題が解決するような展開が見えない中、先日、

「イスラエル軍が、レバノンとの全面戦争計画を承認した」

と報じられていました。

イスラエル、レバノンで「全面戦争」に備える

aljazeera.com 2024/06/19

イスラエルはレバノンで「全面戦争」に備える準備ができており、ヒズボラを標的とした攻撃計画を承認したと当局者が明らかにした。

イスラエル外相と軍が 6月18日にこの主張を発表したのは、レバノンのヒズボラがドローンによる脅迫映像を公開した後のことだった。

高まる緊張は、イスラエルとレバノンの国境を越えた数ヶ月に及ぶ低レベルの敵対行為の激化を回避しようとする米国の取り組みと衝突している。

イスラエル軍は戦争開始以来、レバノンに対して定期的に空爆を行っている。

6月17日、ドローン攻撃でヒズボラのロケット部隊の「中心的工作員」を殺害したと発表された。その 1週間前には、イスラエルとの国境とリタニ川の間の前線の西部地域を担当するヒズボラの部隊の指揮官とされるタレブ・アブドラ氏を暗殺した。

ヒズボラは最近、パレスチナ人を支援するためとして、10月8日以降イスラエルに対して 2,100回以上の軍事作戦を実施したと述べた。

過去8か月間で、レバノンではジャーナリストや救急隊員を含む 400人以上が殺害され、イスラエルでは 25人が死亡した。レバノンでは少なくとも 9万人が避難を余儀なくされ、イスラエル北部では 6万人以上が家を追われた。

レバノンとイスラエルの位置

時事

これが実際に進んだ場合、完全な「地域戦争」ということになるわけですが、ガザ紛争が起きたばかりの頃、フィンランド・ヘルシンキ大学の経済学准教授のトゥオマス・マリネンさんという方の論文をご紹介したことがありました。

(記事)イスラエル・パレスチナ戦争による全世界への「経済と市場のカタストロフ」がもたらす劇的な「終末の時代」に突入した可能性
In Deep 2023年10月15日

トゥオマス・マリネン准教授は、イスラエル・パレスチナ戦争の経済的な最悪のシナリオとして次の 10段階を示されていました。

マリネン准教授による最悪のシナリオの10段階

1. 紛争は地域戦争にまでエスカレートし、米国も直接関与することになる。

2. OPECは石油禁輸で対抗。

3. イランがホルムズ海峡を封鎖。

4. 原油価格は 1バレルあたり 300ドルに達する。

5. ヨーロッパは LNG 不足により本格的なエネルギー危機に陥る。

6. エネルギー価格の大幅な高騰はインフレを再活性化し、中央銀行もそれに応じて対応する。

7. 金融市場と世界の銀行セクターは崩壊する。

8. 米国は債務危機に見舞われ、連邦準備制度はさらなる金融市場救済策の制定を余儀なくされる。

9. オイルダラー貿易は崩壊する。

10. ハイパーインフレが発生する。

indeep.jp

ガザ紛争開始から、8ヵ月近く経って、このうちの「」の、

「紛争は地域戦争にまでエスカレートし…」

という部分に達する可能性が出てきたわけで、ここに「米国も直接関与することになる」が加わると、シナリオの「1」が始まることになります(実際には、すでに大きく関与しているわけですが)。

そんな中、中東メディアのミドル・イースト・アイにより、「イスラエルが『大量埋葬』を準備している」という物騒な報道がなされていました。

自国のイスラエルにおいて、です。

これは、レバノンとの全面戦争となった場合、「大量のイスラエル人が死亡する」ことを想定しているものだと見られます。

ミドル・イースト・アイの報道です。




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イスラエル、レバノン作戦に先立ち北部で「大量埋葬」を準備

Israel prepares for ‘mass burials’ in the north ahead of Lebanon operation
Middle East Eye 2024/06/20

レバノンとの緊張が高まる中、イスラエルの大臣は紛争に向かう中で大量の死傷者が出ることが予想されると認めた。

イスラエルの大臣は、レバノン攻撃の可能性に備えて、イスラエル北部で「集団埋葬」計画の準備を進めていると発表した。

マイケル・マルチエリ宗教相はチャンネル14に対し、埋葬の準備などガザ紛争に関連した多くの問題で同省は「多忙」だと語った。

「我々は戦争に関連した多くのことで忙しい。(イスラエル)北部で何か起きても困るが、残念ながら、それに備えるためでもある」と彼は語った。

司会者から「大量埋葬」のシナリオを予想しているのかと問われると、彼はレバノンとの紛争でさらなる死者が出ることを予想していることを認めた。

「確かに、我々の省は北部でより大きなことをするための会議や準備を進めている」と彼は説明した。

イスラエル軍は 6月18日の夜、レバノン攻撃計画を承認したと発表した。イスラエル軍によると、同日、イスラエルはヒズボラのドローン発射部隊への攻撃を開始した。

この声明は、ヒズボラがイスラエル北部の港湾都市ハイファ上空で監視ドローンからの映像を放送し、イスラエルに対し戦争開始に対する警告を表明したことを受けて出された。

この 9分間のビデオでは、軍事施設や民間インフラを含むいくつかの場所が正確に示されていた。

アラブ諸国の高官は、米国のアモス・ホッホシュタイン特使がレバノン当局に対し、イスラエルがヒズボラに対して限定的な攻撃を開始する準備をしていると警告したと報じられた。

ホッホシュタイン外相は 18日、レバノンのナジブ・ミカティ首相とナビ・ベリ国会議長と会談した。両氏は米国がテロ組織に指定しているヒズボラとの仲介役として米国に利用されてきた。

ホッホシュタイン氏は、ガザでの戦闘が一時停止すれば、イスラエル当局は北部国境に全面的に焦点を絞り、ヒズボラをこの地域から追い出し、避難民となっている約 6万人 から 9万6000人のイスラエル人が秋の新学期が始まる前に自宅に戻れるようにする計画だと警告した。

イスラエルとヒズボラは 10月8日以来、ほぼ毎日銃撃戦を繰り広げてきたが、先週イスラエルがヒズボラの最上級メンバーの一人であるタレブ・サミ・アブドラ氏を殺害したことで、紛争は激化した。

これに対し、ヒズボラはイスラエルに向けて数百発のドローンとロケット弾を発射した。

戦闘により国境地域に住む何万人ものレバノン人とイスラエル人が避難を余儀なくされている。

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