
2025年4月13日、ガザ市のアル・アハリ・アラブ病院へのイスラエル軍の攻撃後の破壊現場を視察する人々。MIDDLE EAST EYE
病院と子どもへの攻撃を続けるイスラエル軍
イスラエル軍のガザへの攻撃というより民族浄化は次第に人道的な意味で非道さが増しています。
3月18日から 4月9日の間の 224回の爆撃のうち 36回の攻撃では、「女性と子どものみが殺害された」ことが国連から報告されています。
以下にその報道を翻訳した記事があります。
・直近の約2週間でイスラエルのガザへの空爆は224回に達し「そのうち36回の攻撃は子どもと女性だけが殺害された」
BDW 2025年4月14日
また、ガザでは、「手足を失った子どもの数が 4000人を超えた」ことも報じられていました。
そして、4月13日、イスラエルは、
「ガザで唯一、完全に機能していた病院を爆撃した」
のでした。
4月13日に爆撃されたアル・アハリ・アラブ病院
BBC
病院への攻撃といえば、3月21日には、ガザ唯一の「がん専門病院」を大規模攻撃で破壊したことも伝えられていました。
なお、今回爆撃されたアル・アハリ・アラブ病院は、こちらの記事によると、運営元は、「エルサレム聖公会教区」だそうで、そして、この病院は、
「ガザ地区で唯一のキリスト教病院」
であるそうです。
さらに、この攻撃があった 4月13日というのは、キリスト教の重要な日である聖枝祭 (エルサレム入城の日)でした。
この日は以下のようなものです。
イエス・キリストが十字架にかかり亡くなって三日後に復活したとキリスト教徒が信じる出来事の一週間前に、エルサレムへ入城した記念日を指す。 Wikipedia
このキリスト教の重要な記念日に、キリスト教系の病院に対しての最大の人道違反的攻撃を行ったというあたりに、イスラエルの思想がよく現れていると思われます。
民族浄化を徹底するために、イスラエルは今後も、病院や病人、そして民間人、特に子どもや女性への攻撃を続けるものと見られます。
今回ご紹介する記事に出てくる女性の言葉に、
「あなたたちはこの血の噴水、毎日殺されている子どもたちをただ見ているだけなのですか?」
とありますように、「どこからも」助けは来ません。
中東のミドル・イースト・アイ紙の報道です。
イスラエル、ガザ市最後の完全に機能していた病院を爆撃
Israel bombs Gaza City's last fully-functioning hospital
middleeasteye.net 2025/04/13
イスラエル軍がアル・アハリ病院を攻撃し、手術棟と酸素製造ステーションが破壊され、少なくとも3人のパレスチナ人が死亡した。
イスラエル軍の攻撃後のアル・アハリ病院。
イスラエルはガザ地区で唯一機能している病院を攻撃し、同地区のすでに深刻な医療施設不足をさらに悪化させた。
ガザの民間防衛救助機関は、アル・アハリ・アル・アラビ・バプテスト病院への攻撃により「手術棟と集中治療室用の酸素発生装置が破壊された」と述べた。
当局者たちは AFP 通信に対し、攻撃は「イスラエル軍が患者、負傷者、およびその付き添い者をこの建物から避難させるよう警告してから数分後に起きた」と語った。
ワファ通信は、ミサイルが病院のメイン受付棟を襲い、救急病棟、検査室、薬局などの重要な部門が損傷または破壊されたと報じた。
目撃者によると、イスラエル軍は攻撃のわずか数分前に病院を爆撃すると脅し、病院敷地内の人々に避難時間はわずか 18分しか与えなかったという。
急いで退去させたため、重症患者は適切なケアも受けられないまま、寒い中を避難させられた。
その結果、頭部の負傷で治療を受けていた子どもを含む少なくとも 3人の患者が死亡した。
攻撃が起こる前から、病院はイスラエルによる 1年以上にわたるガザ攻撃で負傷した患者でいっぱいだった。
ある女性は、夫が治療を受けるのを待つ間、一晩中病院で寝ていた。
「ただ休みたかったのです、ただ眠りたかったのです。一日中、腕や足など体の一部が切断された子どもたちの叫び声で満たされていまして…こういう光景は人を狂わせることがあります」と彼女はミドル・イースト・アイに語った。
「私たちは座って眠ることができません。これ以上は耐えられません」
混乱の中で少し休もうとしていたところ、突然イスラエル軍から病院内にいる人々に退去を求める呼び出し音が鳴り始めたと彼女は語った。
どこに逃げればいいのかすら指定されなかったと彼女は語った。
「これは深い眠りに陥っている世界へのメッセージです。あなたたちはどこで神を見つけるのでしょうか? カタール、UAE、サウジアラビア、クウェート、トルコはどこにいるのですか? あなたたちはどこにいるのですか?」と彼女は語った。
「あなたたちはこの血の噴水、毎日殺されている子どもたちをただ見ているだけなのですか?...神を畏れなさい、あなたたちは神に何と言うのですか?」
標的となった病院
イスラエル軍と内部情報機関シンベトはその後、証拠を示すことなく、アル・アハリ病院内のハマスの「指揮統制施設」を標的にしたと主張した。
イスラエルは 2023年10月にガザ地区への攻撃を開始して以来、ガザ地区全域の病院を繰り返し攻撃している。
パレスチナ保健省は今週初め、イスラエルの封鎖の結果、ガザ地区の病院や医療センターが「危険かつ前例のない」必須医薬品の不足に直面していると警告した。
同省は、必須医薬品の 37%、医療用品の 59%が完全に在庫切れで、がんや血液疾患の治療に使われる医薬品の 54%も在庫切れになっていると述べた。
救急、外科、集中治療室は、救命治療が著しく不足した状態で稼働していたが、糖尿病患者約 8万人と高血圧患者約 11万人はもはや治療を受けられなかった。
同省は、イスラエルによるガザ封鎖により食糧、燃料、医薬品など重要な物資の供給が遮断され、危機が悪化し、患者や負傷者の治療に「壊滅的な」課題が生じていると述べた。
2023年10月にもアル・アハリ病院が襲撃され、数百人が死亡し、国際的な非難を招いた。
イスラエルは当初、この攻撃への関与を否定した。しかし、オープンソースのアナリストたちはイスラエルを非難しており、イスラエルはその後もガザ地区の数十の病院を攻撃している。
赤新月社の医師はミドル・イースト・アイ紙に対し、アル・アハリ病院の患者を再配分しようとしているが、すでに手一杯の状態だと語った。
「すべての病院が過密状態にあり、十分な医療サービスを提供する準備ができていない。これは間違いなく負傷者や患者の健康に影響を及ぼし、命を失ったり、身体の一部を失ったり、長期の障害を引き起こしたりする可能性がある」と彼は述べた。
彼は、すべての人権団体、国際機関、保健機関に対し、ガザの医療機関がこれ以上患者を見捨てることがないよう「連帯し支援する」よう呼びかけた。
「まず第一に、民間人の健康と安全を確保し、病院の職員や緊急時・民間防衛要員などの医療要員を確保し、すべての民間人に安全なサービスを保証することによって確保されるべきだ」