ヒアリ(火蟻 / 学術名 Solenopsis invicta)
・NHK
6月13日に、環境省が以下の報道発表をいたしました。
ヒアリの国内初確認について
環境省 平成29年6月13日
平成29年5月26日に兵庫県尼崎市において発見されたアリについて、専門機関による種の同定の結果、6月9日に特定外来生物であるヒアリと確認されましたので、お知らせします。当該ヒアリは、中国・広東省広州市の南沙港から出航した貨物船内のコンテナ(1個)の内部で発見されたものです。
ヒアリは、南米原産で体長は2.5~6㎜程度、体色は主に赤茶色の有毒のアリです。世界では北米や中国、フィリピン、台湾等にも外来生物として侵入・定着しており、世界各地で大きな問題となっています。これまで、日本では侵入は確認されていませんでした。
ヒアリは、攻撃性が強く、刺された場合、体質によってはアナフィラキシー・ショックを起こす可能性があるなど人体にとって危険な生物です。世界各地に定着がみられることから、一旦定着すれば根絶することは困難となるため、侵入監視により、早期発見、早期駆除により定着前に根絶を図ることが極めて重要です。
このようなものでした。
兵庫県尼崎市とありますが、その場所は神戸港なんですが、それから約3週間ほど経った 6月16日、また神戸市でさらに 100匹が見つかったと発表されたのです。
何がどうなっているのか。
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その神戸で新たにヒアリが見つかった報道は以下のものです。
強毒持つヒアリ 神戸港のコンテナ置き場でも約100匹発見
NHK 2017/06/18
先月、神戸港に陸揚げされたコンテナから、国内で初めて見つかった、強い毒を持つ南米原産のアリ「ヒアリ」について、神戸市は港のコンテナ置き場でも新たにおよそ100匹が見つかったと発表しました。
南米原産のヒアリは強い毒を持ち、刺されると呼吸困難などのショック症状を起こして死に至ることもあります。
先月26日には、神戸港で陸揚げされ兵庫県尼崎市に運ばれた中国・広東省からのコンテナの中から数百匹以上が国内で初めて見つかり、神戸市などが緊急調査を行いました。
神戸市によりますと、コンテナが5日間保管されていた神戸港のコンテナ置き場で16日、似たアリが見つかり、詳しく調べた結果、18日になってヒアリと確認されたということです。
ヒアリについては、アメリカで年間100人以上が死亡しているとされ、10年ほど前からは貨物船などを通じて中国や台湾などにも広がり問題となっています。
コンテナの中だけではなく、今回はコンテナ置き場で、しかも、前回から3週間経ってから見つかっているということから、ある程度は、分布拡大を始めている可能性があると専門家は見ているようです。
この「ヒアリ」というものは、かなり厄介な昆虫なようで、それがわかるのは、たとえば今回、神戸港でヒアリが見つかったのは「日本で初めて」のことであり、つまり 2017年に初めて日本で見つかったということになります。
ところが、日本の環境省は今から8年前の 2009年から、下のように「ストップ・ザ・ヒアリ」という資料を作成しているのです。つまり、今回のようなことがある以前から「脅威」として認識していたということになります。
環境省自然環境局が2009年にリリースした文書
・環境省
この資料は、
から、どなたでも読めますので、ご覧いただきたいと思いますが、ヒアリは、日本の「世界の侵略的外来種ワースト100」にも含まれていて、その危険性を簡単にいえば、
「強力な猛毒の針をもち、刺されると火傷のような激しい痛みがあるばかりでなくアナフィラキシーショックを起こし、時に死に至る」
というものです。
ヒアリは下のような姿ですが、なかなか私たち素人には一発で見分けられるものではないような気もします。
・環境省
毒を持つというだけではなく、「積極的に刺す」のだそうです。
今回、日本には中国の船から入ってきたと見られますが、環境省の資料を見ますと、世界中から輸入の多い日本に入って来るのは時間の問題だったような気もしないでもないです。
下の図の黄色の部分がすでに侵略された国です。数字は侵入した年代です。
ヒアリ侵入の歴史(原産地は南米の緑の部分)
・環境省
この環境省の資料には、駆除の仕方なども出ていますが、基本的には、ヒアリらしきものを見かけた場合、環境庁の地方環境事務所が全国にありますので、そちらに連絡するのがよろしいだろうと思われます。
アメリカで、つまり比較的緊急治療の条件のいい国で年間 100人もの人が亡くなっているのなら、こんなようなものが世界的に広がっていくと厄介ではありそうです。
中国などの経由でいろいろな危険が入って来る昨今の日本ですが、今回のヒアリも上の図の他の国々のように、「定着」となってしまうのかどうか。
もともとの日本は、多数の人の命まで奪うようなタイプの危険な昆虫はそんなにいない国だったのですけどねえ。