先日、以下の記事で、4月1日から、「ロシアからヨーロッパへの天然ガスの輸送が止まった」ことについてお伝えさせていただきました。
[記事] ロシアがヨーロッパへの天然ガスの供給を完全に停止。そしてアメリカの液化天然ガスの供給能力が限界に来ていることも判明
地球の記録 2022年4月3日
この記事では、米ゼロヘッジの記事をご紹介していますが、この天然ガスのヨーロッパへの輸送に関しては、ロシアの RIA 通信が日々報じていました。
ロシアのヤマル地方からポーランドまでの「ヤマル - ヨーロッパ」パイプライン
cenarieconomici.it
その後、4月4日に、RIA 通信は、ロシアのガス大手ガスプロムが、再びこの「ヤマル - ヨーロッパ」パイプラインにガスの輸送を命じたと報じていました。
ですので、天然ガスのヨーロッパへの輸送は再開されているようです。
ロシア語ですが、以下の記事にあります。
ガスプロムは4月4日に再びヤマルヨーロッパに輸送を命じた
"Газпром" вновь заказал "Ямал — Европу" для транзита на 4 апреля
RIA 通信の「ヤマル - ヨーロッパ」パイプラインに関する報道は、以下で更新されています。
ヤマル - ヨーロッパ
Газпром Ямал-Европа
なお、現在、ヨーロッパに激しい寒波が到来していまして、4月としては考えられないような気温がヨーロッパ各地で展開されているため、この状況で天然ガスの価格が高騰するのは、なかなか厳しいものがあります。
オーストリアのフライシュタットという場所では、4月4日に -9.7℃ という氷点下の気温が記録されていて、これは、4月の最低気温としては 1936年以来だそうです。ドイツでも、-8.8℃などが記録されて、フランスやスペインも 4月に入ってから氷点下の気温が記録されていることが報じられています。
先ほどの記事で書きましたが、今週末にはアメリカに、時期としては歴史的な寒波が訪れる可能性が高く、天然ガス価格が大幅に上昇すると見られます。
[記事] アメリカの中部から東部に、信じられないほどの寒気が流入する予測。農作物に凍結のおそれ
地球の記録 2022年4月6日
また、これらの気温の状況から、春の植えつけが始まったばかりのヨーロッパとアメリカの農作状況は、いきなり厳しい状態から始まりそうで、また、農家の方々もエネルギー価格の高騰には苦しんでいまして、食糧の未来に対して良くない効果が相乗しています。
そのような中で、とりあえず、ヨーロッパに天然ガスの輸送が再開されているのなら、それはそれで良いことだとは思いますが、しかし、対する西側は、何だかよくわからないですが、対ロシア追加制裁とか言い始めています。ロシアからの石炭輸入を禁止するのだとか。
「だから、それはすべて壮大なブーメランになるだけだから」
と強く言いたいですが、それほど自死したいというのなら仕方ないのでしょうか。
現時点でさえ、たとえば、電気料金やエネルギー代金が著しく上昇しているイギリスでは、エネルギー企業が「電気料金の支払いができず、暖房が使えない顧客たちに電気毛布を配布した」と以下のように報じられています (電気毛布も電気を使うのですけどね)。
ガス価格の高騰により、英国のエネルギー会社が顧客に毛布を配布
英国のオクトパス・エナジー社は、電気料金の上昇により、財政的に苦労している顧客たちに、電気毛布を提供することを決定した。
先週、英国のエネルギー価格は、卸売ガス価格の大幅な上昇により、54%上昇した。関税引き上げは、英国全体で何百万もの世帯に打撃を与え、エネルギー料金は年間平均 700ポンド (約 11万円)上昇するように設定されている。
オクトパス・エナジー社は、顧客たちが電気価格の上昇で寒いのに暖房をつけることができないと不満を述べた後、5,000枚の電気毛布を一部の顧客に送ることを決定した。(RIA)
対ロシア制裁後たった1ヵ月でこれですよ。
こんなに早くブーメラン効果が出ている。
これが「お互いの国民の命をかけた耐久戦」になったら、あっという間に勝負がつきます。
それでなお、「石炭をロシアからは購入しない」とか言い始めている。それで、本当にロシアに完全にエネルギーと食糧の輸出が止められたらどうするつもりなんだろうなと。
西側諸国は、この自滅プログラムをさらに遂行するつもりだと見られますので、その国に住む私たちにも準備は必要かと思います。