森林火災を発生させるための詳細な研究
ロサンゼルスで複数発生している大火災は、地域的にはほとんど収束していないようで、やや壊滅的な様相を示していますが、それとは関係のない話として、興味深い米国の機密資料を見つけました。
1970年に出された「軍事兵器としての森林火災」という文書です。
以下にあります。1983年に機密指定を解除されたようです。
軍事兵器としての森林火災
FOREST FIRE AS A MILITARY WEAPON
160ページある文書です。
公開されているのは、アメリカ国防技術情報センターのサーバーですが、それより興味深いのは、この「軍事兵器としての森林火災」というタイトルの文書を作成したのが、
「アメリカ農務省 (USDA)」
だということでした。
「農務省が?」とは思いましたが、表紙にそれが明記されています。
以下は、表紙の上部の部分です。
Defense Technical Information Center
アメリカでの大火災騒動の渦中で見つけたものでしたので、なんとなくいろいろなことも思いましたが、読みますと、これは基本的には、
「ベトナム戦争での軍事作戦としての森林火災」
のことを指しているものでした。
1970年は、まだベトナム戦争が続いている時であり、敵勢への攻撃のために意図的に山火事を発生させるという方法論について書かれてあるもののようです。
以下のような図もありました。
Defense Technical Information Center
ベトコンとは、南ベトナム解放民族戦線へのアメリカ側の一種の蔑称ですが、戦争映画などにも、この名称はよく出てきます。
ただ、時代により名称も変化したのか何なのかはわからないですが、ベトナム戦争映画によっては、ベトナム人のことを、グーク(Gook)と呼んだり(フルメタル・ジャケット)、チャーリー(Charlie)と呼んだり(地獄の黙示録)、あと、ヴィー・シー(V.C. )なんていう呼び名も映画には出てきていて、いろいろですが、ともかく、ベトコンが日本を含めてよく使われていた名称でした。
この文書にある森林火災作戦がベトナム戦争で実施されたのかどうかは不明ですが、そういう機密書類があったのだなあと知りました。
その文書の概要をご紹介して締めさせていただきます。
ここにある方法論は、おおむね、どのような地域や状況でも適用できそうなものでもあります。
軍事兵器としての森林火災
Forest Fire as a Military Weapon
USDA 1970/06/01
この報告書では、森林火災が自然に発生することはめったにない熱帯およびモンスーン気候におけるジャングルの成長の可燃性特性に主な研究の注意が向けられている。
現場で軍司令官が容易に入手できる入力データを活用する運用ガイドラインの作成に主な考慮が払われている。
以下の結論は統合軍の要請に直接関係する。
1. 森林の可燃性は、地表上または地表近くの枯れた植生の量、この地表物質の水分含有量、および燃焼時の天候によって決まる。
2. 森林の可燃性は、すべての低木植生を枯らし、燃焼に最適な気象条件を選択し、事前に選択されたパターンで火を点火することで大幅に増加する可能性がある。
3. 頭上の樹冠を除去するには、高強度の樹冠火災を開始する必要がある。多くの気候では、どのような環境修正技術によっても樹冠火災が発生する可能性は低い。しかし、強度の低い森林火災でも、軍事的に重大な損害が発生する可能性がある。
ここまでです。
文中に「樹冠火災」という言葉が出てきますが、森林火災は、一般的には、地表の火災から始まり、そして拡大するにつれて、森林の樹木そのものに火災が広がる状態を樹冠火災と呼ぶそうです。
なお、樹冠火災になった場合、その森林の樹木は完全に枯死に至ります。