ヨーロッパ全体で「記録的なヒートドーム」が形成されている

severe-weather.eu
1週間で平均15℃の気温上昇
ヨーロッパは、5月の初旬から中旬までは、大変に寒い春が続いていたのですが、下旬になり、一気に気温が高温方向に逆転しまして、報道では、
「 1週間で 15℃平均気温が上がった」
ということらしいです。
現在のヨーロッパの平年との気温差は以下のようになっています。フランスやイギリスなどに見られる「薄いピンク」は、平年より気温が 8℃〜 15℃も高いことを示しています。
2026年5月26日のヨーロッパの平年との気温差

tropicaltidbits.com
ユーロニュースは、スペインやフランス、英国など多くの国で、最高気温が 33℃から 34℃などになる地域が出てくることを報じています。
5月でこの気温ですと、「農作物は大丈夫なんだろうか」ということが気になります。5月だと、まだ作物も芽が出て間もない場合もあるでしょうから、5月の 35℃などに耐えられるのかなと。
農業食品に関するウェブサイトで、熱に対しての各作物の反応について書かれているものがありまして、抜粋すると、以下のようになります。2025年の記事です。
記事「2025年7月の記録的な猛暑が南ヨーロッパ全域の作物を壊滅させる」より
トウモロコシ
トウモロコシは、特に生殖の重要な時期に、40℃を超える高温に非常に弱い。地中海沿岸地域では通常 7月に行われる受粉期には、極端な高温によって花粉の不稔や絹糸の乾燥が起こる可能性がある。花粉の生存率は 38℃を超えると著しく低下し、40℃以上では完全に不稔となる可能性がある。
ブドウの木
ブドウの木は、果実の発育と糖分の蓄積にとって重要な時期である 7月上旬に気温が 40℃を超えると、深刻な被害を受ける。気温が 40℃を超えると、ブドウの木はクロロフィルの分解が加速し、光合成活性が低下する。
トマト
トマトは気温が 40℃を超えると急速に衰弱し、着果と果実の発育の両方に深刻な影響が出る。トマトの花粉の生存率は 35℃を超えると劇的に低下し、40℃ではほぼゼロになるため、落花や着果率の低下につながる。
他にも、いろいろな作物について書かれていますが、特に 40℃などの気温になると、軒並み作況が悪くなるようです。
スペインでは、昨年 6月に南部で 46℃などを記録していますが、今年もそうなる可能性が高いと考えられているようです。
まあ、5月に 35℃近くにまで気温が上がっているのですから、6月くらいに 40℃になっても不思議ではないですね。
ただでさえ、肥料の高騰やエネルギーの高騰で世界全体で食料の問題が近づいているという時に、気温によって作物がダメージを受けると、食糧危機の問題はさらに拡大する可能性がありそうです。
最近のヨーロッパの気温について、ユーロニュースの報道です。
ヨーロッパの一部地域では「異常な高温」が予想されている。どの都市が最もこの暑さに耐えられるだろうか?
‘Exceptionally high’ temperatures to hit parts of Europe this weekend. Which city can cope the best?
euronews.com 2026/05/22

専門家は、ヨーロッパの都市は「旧暦に合わせて調整されている」ため、5月の気温上昇への適応に苦慮していると警告している。
専門家たちは、春の猛暑が「新たな常態」になりつつあると警告しており、ヨーロッパの多くの地域では今週末 (5月23日)、うだるような高温が予想されている。
スペイン国立気象庁によると、イベリア半島では聖霊降臨祭 (ペンテコステ / キリスト教の祝日)の祝日期間中、「この時期としては異常に高い気温」が続く見込みだという。
週末にかけて、主要な山間では最高気温が 34℃に達すると予想され、グアディアナ渓谷とグアダルキビル渓谷では気温が 38℃まで上昇する見込みだ。
気象庁は、X 上で、カンタブリア沿岸部では最高気温が 30℃に達する見込みであり、内陸部ではさらに高い 34℃になると述べている。
これが公式な熱波と分類されるには、さらに長期間にわたって高温が続く必要があるが、しかし、予報されている昼夜の気温は、5月下旬ではなく真夏に典型的なものだとオーストラリア気象庁は述べる。
英国気象庁も、イングランドの気温は週末にかけて上昇し、特に南部では土曜日(5月23日)に 30℃、日曜日(5月24日)に 32℃に達する可能性があると発表した。
気温は月曜日(5月25日)にピークを迎えると予想されており、イングランド南部とミッドランズ地方では異常な暑さとなる 33℃に達する可能性がある。
「バンクホリデーの週末には、5月と春の英国の気温記録が更新される可能性が高く、予想気温は既存の記録である 32.8℃を上回る見込みです」と気象庁のスティーブ・コッハー氏は述べている。「暑いだけでなく、英国の大部分で乾燥した晴天が続くでしょう。」
ドイツでは、予報官は週末にかけて気温が 30℃に達すると予想しており、最も暑い日は聖霊降臨祭の月曜日になると見込んでいる。
「広範囲で 22~ 28℃の最高気温が予想されます」と気象専門家のドミニク・ユング氏は述べている。「ライン川上流域、ライ ン・マイン地域、そしてブランデンブルク方面の一部では、最高気温が 31℃に達する可能性もあります」
英国気象庁の最新予報によると、パリの最高気温は今週末から来週にかけて 33℃に達する見込みで、ローマの平均気温はやや低く 31℃となる。リスボンでは、今日の最高気温は 31℃、土曜日は 28℃、日曜日は 27℃となる見込みだ。
春の気温上昇は「新たな常態」となるのか?
気候モデルによると、ヨーロッパにおける 6月の熱波の発生確率は、産業革命以前の状況と比べて現在では約 10倍高くなっており、5月についても同様の傾向が見られるようになっている。
「ドイツは良い例です。聖霊降臨祭 (5月の終わり)の頃に気温が 30℃になる日は、かつては珍しいことと考えられていましたが、1980年代には稀な出来事だったのが、今ではドイツでは日常的に見られるようになりました」と、世界気象予報 WFY24 の創設者であるイオナ・ヴェルジーニ氏はユーロニュースに語っている。
ヴェルジーニ氏は、インフラ、農業、公衆衛生システムは依然として「旧暦に基づいて調整されている」ため、各国は年の早い時期に発生する高温への備えができていないと警告している。
「5月中旬のスペイン南部で気温が38℃に達する日があっても、同国の観光業、エネルギー供給、医療システムはまだ夏季モードに入っていないのです」
パリで実施された高温ストレス試験は、50℃に達する未来への備えとなる
気温が 50℃に達するという考えはディストピアのように思えるかもしれないが、ヨーロッパではすでに 2021年にシチリア島で 48.8℃という猛暑が記録されている。
2023年、パリ市は、将来起こりうる猛暑に備えるため、パリの 2つの区で「パリ 50℃」危機対応訓練を実施した。
この取り組みでは、都市計画家、医療専門家、科学者、行政機関が一堂に会し、住宅、医療、エネルギー、公共空間といった主要分野における脆弱性を評価した。
この取り組みの一環として、約 70人の子どもたちが、快適な 18℃に保たれた涼しく暗いトンネルに入った。地下に入った子どもたちは、やがて日常生活の一部となるかもしれない極端な気温の影響を体験するよう求められた。
その後、赤十字の職員たちは、誰を最初に病院に送るかを実演してみせた。消防士、市職員、教師などが、前例のない期間にわたる熱波によって直面するであろう混乱をシミュレーションした。
「パリ 50℃」シミュレーションに関する報告書によると、猛暑は公衆衛生に深刻な脅威をもたらし、特に高齢者、子ども、屋外労働者、低所得者といった脆弱な人々にとって大きなリスクとなることが明らかになった。地下鉄や鉄道などのインフラも、猛暑によって大きな混乱に見舞われる可能性がある。
報告書は、植栽を増やし、日陰のある公共空間を整備し、熱を蓄積する表面を減らし、学校や公共施設を猛暑に対応できるようにすることで、パリを「オアシス都市」に変えることを提案している。
