
オピオイド、そしてSSRIとベンゾジアゼピン
アメリカ食品医薬品局(FDA)による、
「薬物離脱リスクの評価」
が論文として出されていました。
論文はこちらにあります。
その上位20をリストアップしている方がいまして、
「どんな薬剤が離脱が激しいのだろう」
と見てみますと、まあ、結局圧倒的に「オピオイド」でしたね。
有名なところでは、モルヒネとかフェンタニルとかです。
なお、これは「違法麻薬」がリストに入っているのではななく、「すべて医療用の合法的な薬剤」のリストです。
ほとんどかオピオイドか、それに準じる強力な鎮痛剤です。
しかし、リストの中に、
・ベンゾジアゼピン
・SSRI
・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
が含まれているのが注目したところでした。
そのリストは以下のようになっていまして、それぞれを日本名であげて、簡単な解説をつけておきます。
その下に少し補足を入れています。
FDAによる薬物離脱リスクの評価の上位20
1. オキシコドン(Oxycodone) オピオイド ※日本でも同名で発売
オキシコドンは、がんなどの激しい痛みをやわらげるために使われる医療用の強いオピオイド鎮痛薬としての麻薬です。
2. ブトルファノール(Butorphanol) オピオイド ※日本では犬や猫などの動物用で、ヒトには処方されていません。
ブトルファノールは、オピオイド受容体作動・拮抗薬として作用するモルフィナン型の合成鎮痛薬です。
3. ヒドロモルフォン塩酸塩(Hydromorphone Hydrochloride) オピオイド ※日本でも処方されていますが、商品名は「ナルサス錠」、「ナルラピド錠」、「ナルベイン注」などとなっているようです。
4. パロキセチン(Paroxetine) SSRI ※抗うつ剤としてのSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)として日本でも処方されています。
5、6. ヒドロコドン(オピオイド)、アスピリン・オキシコドン塩酸塩 (麻薬性鎮痛薬とNSAIDsの組み合わせ)、オキシコドンテレフタル酸塩配合剤(オピオイド) ※それぞれ日本ではこういう商品名で販売されていないようです。
7. メサドン(Methadone) オピオイド ※日本ではメサペインなどの名称で販売されています。
これまでのオピオイドと同じように、がん疼痛治療剤などの強力な痛みに対しての薬剤です。
8. ブプレノルフィン/ナロキソン(Buprenorphine Naloxone) オピオイド依存症の治療に用いられる配合剤 ※日本国内では未承認だが、それぞれの成分は単体として承認されているそう。
9. ブプレノルフィン(Buprenorphine) オピオイド ※日本でも同名です。
10. バクロフェン(Baclofen) 筋弛緩薬 ※ギャバロンなどの商品名で日本でも処方されています。
11. デュロキセチン(Duloxetine) SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
うつ病やさまざまな痛みに処方されます。
12. ナロキセゴール(Naloxegol) オピオイド受容体拮抗薬
オピオイドによる便秘の治療に利用される薬剤だそうです。
13. モルヒネ/ナルトレキソン(Morphine Naltrexone) オピオイドと拮抗薬
14. ヒドロコドン/アセトアミノフェン(Hydrocodone Acetaminophen) 強力なオピオイド鎮痛薬と解熱鎮痛薬の配合剤
オピオイドのヒドコロンと鎮痛剤のアセトアミノフェンが組み合ったものですね。
15. ベンラファキシン(Venlafaxine) SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬) ※日本での販売名は「イフェクサーSR」と、後発医薬品だと「ベンラファキシンSRカプセル」となるようです。
うつ病・うつ状態、全般不安症などの治療に用いられる薬です。
16. アセトアミノフェン/オキシコドン(Acetaminophen Oxycodone) 解熱鎮痛剤とオピオイドの組み合わせ ※日本ではこの配合の薬剤は承認されていません。
17. モルヒネ(Morphine) オピオイド ※日本では薬機法に定められた処方箋医薬品
18 アルプラゾラム(Alprazolam) ベンゾジアゼピン ※日本の販売名では、ソラナックスやコンスタンなど。
ベンゾジアゼピン系の抗不安剤です。不安や不眠、パニック障害などに処方されることが多いですが、ソラナックスもコンスタンも、心療内科だけではなく、幅広く処方されています。
19. フェンタニル(Fentanyl) オピオイド
モルヒネの50〜100倍の効力を持つ、きわめて強力な合成オピオイド(麻薬性鎮痛薬)で、日本でも処方されるときには処方されます。
20. タペンタドール(Tapentadol) オピオイド ※日本では「タペンタ錠」として販売されています。
ここまでです。
SSRI は、うつ病などの治療薬として広く処方されていますが、その問題点も多い部分はあります。
SSRI抗うつ薬のあまりに深刻な副作用と離脱症状を数字から知る。そして、銃乱射等の暴力犯罪が若者の間に増加していることとの相互関係
SNRI というのも、それほど(副作用としての)違いがあるものではないですが、この薬剤もよく処方されています。
なお、ベンゾジアゼピンでリストに出ているのは、アメリカの「ザナックス(アルプラゾラム)」、日本でいうソラナックスです。
このソラナックスはアメリカでの濫用による死者が増加していたもののひとつで、少し古いデータですが、年ごとにベンゾジアゼピンによる死者は増えています。

Wikipedia
ただ、その後、アメリカでは、フェンタニルなどのオピオイドが蔓延したことで、
「ベンゾジアゼピンとオピオイド(あるいは、そこにアルコール)の併用」
などの濫用が増加したことで、亡くなる人は非常に増えました。
日本では数百万人が服用しているあまりにも一般的な処方薬であるベンゾジアゼピン系の薬がアメリカで殺人ドラッグになり始めている
日本では、ベンゾジアゼピンによる死亡ということについて、あまり話題にはならないですが、確実に出ているとは思われます。
私は、ベンゾジアゼピンの離脱症候群以外の経験はないですので、オピオイドや SSRI がどのような離脱の症状なのかはわからないですが、あれだけアメリカでフェンタニルなどのオピオイドが蔓延したということには、離脱の厳しさ(やめることができない作用)は必ずあるのだと思われます。
それでも、ベンゾジアゼピンもオピオイドも、疾患の種類によっては、人生で出会うことのある医療用の正当な薬剤です。

