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パンスペルミア2025:地球との接点がまるでない小惑星からDNAを構成する「アデニン、グアニン、シトシン、チミン」すべての塩基が検出される

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地球に運ばれた小惑星ベンヌのサンプルの一部が入った小瓶を手にする研究者。NASA




数千個の有機分子化合物も

宇宙船によって地球に運ばれた小惑星の岩石と塵の分析により、「生命の構成要素のほぼすべてが検出された」と米 NASA が発表しました。

ベンヌ(Bennu)と名付けられた小惑星で、地球から 3億キロ以上離れた場所にある、地球とはまったく接点のない小惑星です。

NASA のニュースリリースは以下にあります。

・NASAの小惑星ベンヌのサンプルから生命の成分の混合が明らかに
NASA’s Asteroid Bennu Sample Reveals Mix of Life’s Ingredients

2022年にも、日本の北海道大学と NASA の国際研究で、やはり隕石から DNA や RNA の塩基が見つかったことがあります。以下で取り上げています。

地球の生命は宇宙から来たことが確定か:北海道大学やNASAによる国際研究で、最新分析法により「隕石から5種類すべてのDNA・RNAの塩基」が世界で初めて発見される
In Deep 2022年5月2日

今回分析された小惑星ベンヌは、地球から 3億キロ以上離れた場所にあり、つまり、他にも同じように生命の構成要素を持っている小惑星も数多くあることが推測されます。そこから、

「宇宙には普遍的に生命の構成要素が満ちている」

ことを示唆するもののように思います。

この NASA の発表については、世界中のさまざまなメディアが報じていますが、毎日新聞の記事では「パンスペルミア」という言葉を使い、以下のように書いていました。

2025年1月30日の毎日新聞の記事より

小惑星から持ち帰った砂や石は、地球の有機物の混入がない純度100%の地球外物質だ。そこに、核酸塩基やアミノ酸など生命の材料となりうる有機物が検出された意義は大きい。

豊富な有機物の存在は、それを支える巨大な分子群がどうやら地球近傍に広く存在している可能性をうかがわせる。パンスペルミア説を強く後押しする成果だ。

毎日新聞

最近はあまり書くことはないですが、In Deep のカテゴリー「パンスペルミア」は以下にあります。

In Deep - 「パンスペルミア」

地球の生命体(あるいは、その構成要素)が宇宙から来たという主張であるパンスペルミア説は、近代では、アレニウスからフレッド・ホイル博士まで広く主張されてきたものですが、今になって科学的な裏付けが数多く出てきています。

今回の NASA の発表について、わかりやすく報じている中央日報の記事をご紹介します。





地球上の生命体は宇宙から来たのか?小惑星「ベンヌ」でDNA成分が発見される

中央日報 2025/01/31

約45億年前に生まれたと推定される小惑星「ベンヌ(Bennu)」で多様なアミノ酸と DNA を構成する塩基成分などが発見された。

地球生命体の宇宙起源説に力を入れる結果だという意見が出ている。

29日、米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターなどが参加した国際研究陣は、国際学術誌ネイチャー天文学に掲載された関連論文で、研究結果を公開した。

2020年に NASA の小惑星探査船「オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)」がベンヌの表面から採取してきた石やホコリなどを分析した結果、33種のアミノ酸をはじめとする数千個の有機分子化合物が検出されたという。

研究陣が見つけた 33種のアミノ酸のうち 14種類はタンパク質合成に使える種類だった。残りの 19種は希少か、これまで知られていないものだ。

また、ベンヌから採取したサンプルには DNA を構成する4つの塩基のアデニン、グアニン、シトシン、チミンと RNA にあるウラシルなどがすべて含まれていた。

論文の第一著者の NASA ゴダード宇宙飛行センター所属の科学者ダニエル・グラビン博士は「このような有機分子は地上で発見された隕石からも検出されたことがあるが、ベンヌのサンプルは隕石とは異なり地球大気進入中に加熱されたり土壌汚染に露出したりもしていない」と強調した。

宇宙船オサイリス・レックスは地球から約 3億3300万キロメートル離れたベンヌの表面で 121.6グラムのサンプルを採取し、2023年9月に地球に帰還したが、この過程で完全な密封作業をして地球の大気との相互作用を防いだ。

グラビン博士は「ベンヌのような小惑星が宇宙の巨大な化学工場のように活動し、地球をはじめとする太陽系の色々な天体に生命体の原材料を運んだ可能性があることを示唆していることが非常に興味深い」と述べた。

数十億年前のベンヌのように生命を構成する基本元素を持つ小惑星やその破片が地球に落ちて生命体の誕生に役立ったのかもしれない。

CNN はこれとは別に、ネイチャーに同日掲載された別の論文には、ベンヌのサンプルから水が蒸発して残った塩や炭酸ナトリウムなどのミネラルを発見したという内容も含まれていたと伝えた。

科学者らは宇宙誕生初期に太陽系の外郭に水とアンモニアが豊富な直径 100キロメートル以上の小惑星があり、その内部で多様な有機分子が生まれたが、その後衝突などで破壊され、今日のベンヌになったと見ている。

NASA 科学任務局のニッキー・フォックス副局長はこの日、記者会見を通じて2本の論文に書かれた研究結果を伝え、「これは画期的な科学的発見です」と評価した。







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