
症例は10日間で20倍に増加
アメリカで「サイクロスポーラ」という寄生虫(原虫)による感染症の流行が起きていることを最初に取りあげたのは、今年 7月1日の記事においてでした。
その後、この症例が爆発的に増加していることが報じられています。
今回ご紹介する米 ABC ニュースの報道では、7月10日時点で、
> 少なくとも 32州で 2,944件の感染例が報告されている。
とありまして、約 10日間で 20倍ほどの増加率となっているようです。
もちろん、実際の感染数はまったくわからないですが(症状が軽く受診しない人たちのほうが多いはず)、少なくとも、この 2,944件の症例の人たちでは、「症状を訴えて受診等をした人たち」ということになりそうです。
以前、このサイクロスポーラ症というのは、実際には、
「日和見感染症」
だということを以下の記事で記したことがあります。
米国での寄生虫感染症数が急激に増加。そして、このサイクロスポーラ症は、エイズ患者や免疫力が低下した人が感染しやすい「日和見感染症」であるらしい
earthreview.net 2026年7月5日
つまり、
「エイズや他の免疫不全症候群などで免疫力が低下している際に発症する感染症」
ということになります。普通の人は感染しても症状は出ないものです。
免疫低下の要因を断定するつもりはありませんが、いずれにしても、症例の増え方が爆発的ですので、今後の状況が気になるところです。
ABC ニュースの報道をご紹介します。
サイクロスポーラ症の感染拡大状況は以下の通りとなる。32州で症例が確認されている
Here's where cyclosporiasis is spreading as cases are confirmed in 32 states
ABC 2026/07/11
ミシガン州が感染者数最多で、次いでオハイオ州、ニューヨーク州の感染者数が多い。
ABCニュースの集計によると、寄生虫によって引き起こされる腸内感染症であるサイクロスポーラ症の症例が、現 在30近くの州で報告されている。
アメリカ疾病対策センター(CDC)と各州の保健当局のデータによると、金曜日 (7月10日)の時点で、少なくとも 32州で 2,944件の感染例が報告されている。
CDCによると、サイクロスポーラ症に罹患している人の実際の数は、報告されている数よりも多い可能性が高い。なぜなら、医療を受けずに回復する人もおり、寄生虫の検査を受けない人もいるためだ。
ミシガン州保健福祉省(MDHHS)によると、現在、症例の大部分はミシガン州で報告されており、金曜日の時点で 1,562件となっている。州内では少なくとも 44人が入院している。
保健省によると、これはミシガン州が毎年経験する約 50件の症例の 31倍に相当する。
2026年7月10日時点の米国でのサイクロスポーラ症の症例数

ミシガン州の保健当局は以前、ABC ニュースに対し、今回の集団感染は食品汚染に関連しているという仮説を立てているが、今のところ、原因となる農産物、生産者、供給業者は特定されていないと述べていた。
CDCによると、この寄生虫は通常、糞便で汚染された食物や水を介して感染が広がる。
CDCによると、サイクロスポーラ症の食中毒は、ラズベリー、バジル、スナップエンドウ、メスクランレタス、コリアンダーなど、さまざまな種類の輸入生鮮食品に関連しているという。
ニューヨーク州保健局によると、5月1日以降の感染者数はニューヨーク州が 470人で2番目に多く、次いでオハイオ州が 364人となっている。一方、イリノイ州とフロリダ州はそれぞれ 100人以上の感染者を報告している。
CDCによると、サイクロスポーラ症の最も一般的な症状は、頻繁で時に激しい排便を伴う水様性下痢である。その他の症状としては、吐き気、嘔吐、腹痛、腹部膨満感などが挙げられる。
CDC によると、感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は通常約 1週間だが、2日から 2週間まで幅があるという。医師らは以前 ABC ニュースに対し、このタイムラグによって感染源を特定するのが難しくなることがあると語っていた。
CDC によると、シクロスポラ症は抗生物質トリメトプリム・スルファメトキサゾール (※ 2つの抗菌薬を組み合わせた配合剤。日本の商品名は「バクタ」など)で治療され、これは一般的にバクトリム、セプトラ、コトリムとして販売されており、10日間服用する。
同機関によると、感染を防ぐには、農産物をよく洗い、傷んだり傷ついたりした果物や野菜の部分を切り落とし、下ごしらえ済みまたはカット済みの農産物を冷蔵保存することが有効だという。
さらに、CDC は、生の果物や野菜を扱ったり調理したりする前に、石鹸と水で手をよく洗うことを推奨している。
