ご紹介するのは、2023年のコクランのレビューで、マスクと手指消毒の有効性についてのランダム化比較研究を調査した論文です。
今さらマスクという感じもありますが、日本では何の理由だか知らないですが、最近またはマスクを着用する人が目立つということもあり、ご紹介しておきます。
また、以前は「コロナに対して」ということでのマスクの議論はありましたが、コクランの論文は呼吸器感染症全般、特にインフルエンザに対してを扱っていますので、現状に合っているかと。
わりと長いものですが、マスクと、手洗いや手指の消毒の有効性についての部分をご紹介したいと思います。
結論からいえば、「効果なし」というようになっています。
手洗いやマスク着用などの物理的な対策は、呼吸器系ウイルスの拡散を阻止したり遅らせたりするのだろうか?
Do physical measures such as hand-washing or wearing masks stop or slow down the spread of respiratory viruses?
cochrane.org 2023/01/30
私たちは何を調べたかったのか
私たちは、呼吸器ウイルス感染を防ぐための物理的な対策を調べたランダム化比較研究を検索した。私たちは、研究に参加した何人が呼吸器ウイルス感染症にかかったか、また、物理的な対策に望ましくない影響があったかどうかに興味があった。
何がわかったか
関連する研究を 78件特定した。
これらの研究は、インフルエンザが流行していない時期、2009年の世界的 H1N1インフルエンザ・パンデミック、2016年までのインフルエンザ流行期、COVID-19 パンデミック中に、世界中の低所得国、中所得国、高所得国の病院、学校、家庭、オフィス、保育所、地域社会で実施された。
また、進行中の未発表研究を 5件特定した。そのうち 2件は COVID-19 におけるマスクの評価だ。5件の試験は政府と製薬会社によって資金提供され、9件の試験は製薬会社によって資金提供された。
フェイスシールド、ガウン、手袋、あるいは入国時のスクリーニングについて調査した研究はなかった。
以下の効果を評価した:
· 医療用または外科用マスク
· N95/P2マスク (吸い込んだ空気をろ過する密着型のマスクで、一般の人々よりも医療従事者がよく使用する)
· 手指衛生(手洗いと手指消毒剤の使用)
これらについて、以下の結果が得られた。
医療用または外科用マスク
10件の研究は地域社会で行われ、2件の研究は医療従事者を対象に行われた。
地域社会での研究のみでマスクを着用していない場合と比較すると、マスクを着用すると、インフルエンザ様疾患 / COVID 様疾患にかかる人の数には、ほとんどまたはまったく影響がない可能性がある (9件の研究、276,917人が対象)。
また、臨床検査でインフルエンザ /COVID が確認される人の数にも、ほとんどまたはまったく影響がない可能性がある (6件の研究、13,919人)。望ましくない影響はほとんど報告されていなかったが、不快感には言及されていた。
N95/P2マスク
4件の研究は医療従事者を対象に行われ、1件の小規模な研究は地域社会を対象に行われた。
医療用マスクや外科用マスクの着用と同様に、N95/P2 マスクの着用は、インフルエンザが確認された人の数にほとんど影響を与えない可能性がある (5件の研究、8407人)。
また、インフルエンザ様疾患 (5件の研究、8407人)や呼吸器疾患 (3 件の研究、7799 人) にかかる人の数にもほとんど影響を与えない可能性がある。望ましくない影響は十分に報告されていなかったが、不快感が言及されていた。
手指の衛生
手指衛生プログラムに従うと、そのようなプログラムに従わない人と比較して、呼吸器疾患またはインフルエンザ様疾患にかかる人、またはインフルエンザと確定診断された人の数が減る可能性がある (19件の研究、71,210人)が、しかし、インフルエンザ様疾患と検査で確定診断されたインフルエンザ様疾患を別々に分析した場合、この効果は統計的に有意な減少とは確認されなかった。
望ましくない影響を測定した研究はほとんどないが、手指消毒剤を使用した人の皮膚の刺激について言及されている。
これらのエビデンスの限界は何か
これらの結果に対する私たちの信頼性は、呼吸器疾患に関連する主観的結果については概ね低から中程度だが、マスクや N95/P2 マスクに関連する、より正確に定義された実験室で確認された呼吸器ウイルス感染については中程度だ。
さらなる証拠が利用可能になると、結果は変わる可能性がある。マスクの着用や手指衛生に関するガイドラインに従った人の数が比較的少なかったため、研究結果に影響した可能性がある。
ここまでです。
手洗いは多少有効ということになっているようですが、石けんを使った過度の手洗いは逆効果ですし(参考記事)、消毒剤による殺菌は論外です(参考記事)。
どうしても手を洗いたいのなら、流水で 10秒間洗うだけがいいと述べていた医学博士の故藤田紘一郎さんのインタビューをこちらの記事などでご紹介したことがあります。
そのオリジナルの記事のタイトルは「"手を洗いすぎる"と風邪を引きやすくなる」でした。
マスクは、もう全面的に「論外」であり、仮に、コクランの論文にあるように「ほとんど効果がない」のだとしても、実際には、
「効果云々より、悪影響が非常に強い」
というのが事実です。特に小さな子どもには。
マスクの悪影響については、2020年以来、In Deep でずっと書いていましたが、子どもには以下のような問題が、後に(数年経ってからなど)大きな影響となるはずです。
・「酸素欠乏マスク症候群」が小さな子どもたちに引き起こす不可逆的な脳や神経、そして「目」への影響
In Deep 2024年8月31日
妊婦さんのマスク着用は、「死産、催奇形性、胎児の脳神経の損傷と関係する」というドイツの論文をご紹介したこともあります。
また、ほとんどのマスクには PFAS が含まれており、廃棄されたマスクによる環境汚染もこの数年で大変なものとなっていると見られます。以下の記事にあります。
・廃棄された数百億枚のほぼすべての「マスク」は永遠に PFAS を垂れ流し続ける…
In Deep 2024年2月28日
史上最大の環境汚染のひとつだと言える大災害だと思います。
コロナの際には、日本は世界で最もマスク着用遵守率が高い国でしたが、とっくにそれが終わっている今でも、日本は世界でダントツのマスク信者たちが集う国です。
誰も何も思考しないカルト国となってしまっている。