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科学者たちの国際グループが「温暖化により北ヨーロッパ全域に深刻な寒波が発生する」と警告する公開書簡を発表

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科学者たちによる国際グループが北欧の理事会に出した公開書簡

Open Letter by Climate Scientists to the Nordic Council of Ministers




温暖化が招く深刻な寒冷化

最近、数十名の気候科学者たちにより、「温暖化により北ヨーロッパの気温が著しく寒冷化していく可能性がある」と警告する内容の公開書簡を発表していました。

気温の上昇により「北極の氷が溶ける」ことにより、大西洋の海流に大きな混乱をもたらすことによる、と説明されています。

この「温暖化」という表現はともかくとして、現在、地球の気温が上昇していることは確かであり、その大きな理由が、2022年にトンガ沖で噴火した海底火山フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイによる「大気中の水蒸気量の増加」によるものです。

2022年のトンガの海底火山の影響は「寒冷傾向ではなく強力な気温上昇作用」であることを知る。結局これからの地球の気温はどっちへ?
 In Deep 2024年7月15日

この海底火山の噴火による気温への影響は、今後数年は続くと考えられていますが(正確に予測することはできません)、仮に今回、研究者たちが発表したように、北極圏の氷の融解が加速していくとするなら、確かに海流の混乱は起こりうるのかもしれません。

ヨーロッパなどが過度な寒波に襲われない理由として、AMOC (大西洋子午線逆転循環)と呼ばれる海流があり、この海流が、メキシコ湾から暖かい海水をヨーロッパに運んできてくれています。

AMOC (大西洋子午線逆転循環)

severe-weather.eu

これらの海流に混乱が起きたり、あるいは「AMOCの海流が停止」した場合、ヨーロッパ方面に暖かい海水の運送がなくなり、それにより、ヨーロッパの多くに極端な寒冷化が起きることはあり得ます。

気象メディアのシビア・ウェザー・ヨーロッパは、以下のように書いていました。

メキシコ湾流がいつか停止した場合、映画「デイ・アフター・トゥモロー」が現実になるかもしれないという説がある。あの有名な映画では、北大西洋の海流が完全に停止し、世界は新たな氷河期に突入する。

severe-weather.eu

もちろん、海流の混乱や停止は急激に起きるものではないですが、ある程度の年数の中では、ヨーロッパが「人が住めないような気温の地域」になっていく可能性もあるのかもしれません。

この公開書簡を報じていたドイツのメディアの記事をご紹介します。





北極の氷が溶けることによる寒波到来? 気候変動によりヨーロッパが大幅に寒冷化する可能性がある

Drohende Kältewelle? Klimawandel könnte Europa deutlich abkühlen
forschung-und-wissen.de 2024/10/31

気候変動により、北極の氷の融解がますます加速している。北欧では、これが複雑なフィードバックメカニズムを通じて寒波を引き起こされる可能性がある。

著名な科学者の国際グループが最近公開書簡(PDF)を発表し、それによると、北極の氷の融解は大西洋の海流に大きな変化をもたらし、壊滅的かつ不可逆的な影響を与える可能性があるとしている。

グリーンランドとノルウェーの間の北海は熱輸送に重要であり、北欧の天候に強い影響を与えていることは以前から知られていた。

分析ではまた、10万年以上前の 2つの寒冷期または氷河期の間にある最終間氷期には、地球の平均気温が現在よりも高く、海面が高く、氷の量が少なかったことも示されている。

 

海流と熱分布の変化

ノルウェーのトロムソ大学の研究者たちは、気候温暖化と、それによる北極の氷の融解が海流や地域の海面水温にどのような影響を与えているかを調査した研究を発表した。

ネイチャー・コミュニケーション誌に掲載された論文によると、最後の間氷期の海氷の融解により、海水の密度と塩分濃度が大きく変化したという。その結果、海流と海洋の熱分布に大きな変化が生じた。

 

北海の堆積物コア

研究者らは、北海で収集された堆積物コアからの生物学的、無機および有機地球化学マーカーを組み合わせてこれを決定した。

これらの堆積物には、海洋の状況に関する情報が非常に長期間にわたって保存されている。化学的特徴の分析により、特に、海面温度と塩分、淡水の流入源、深海の形成プロセスを再構築できる。

 

気候システムにおけるフィードバックメカニズム

モハメド・エザット氏が説明するように、これらのプロセスにより、北欧では気温が大幅に低下した。研究者によると、過去の温暖期は気候システムにおけるフィードバック機構の重要性を示しているため、最後の間氷期の過程とそれが気候に及ぼす影響を理解することが今日重要になっているという。

モハメド・エザット氏:「地球の過去において北極海の氷の融解が進むことにより、北ヨーロッパの大幅な寒冷化を引き起こした可能性が高いという私たちの発見は憂慮すべきことです。このことは、地球の気候システムが微妙なバランスをとっており、温度や氷の覆いの変化によって簡単に崩れてしまう可能性があることを思い出させます」

「最後の間氷期および潜在的に責任のある過程におけるノルウェー海の冷却に関する未解決の質問から、私たちは多くを学ぶことができます。私たちの研究が、気候モデラーがこの期間を使用して地域および地球規模の気候に対する氷の変化の影響をより適切に抑制するためのベンチマークとなることを願っています」







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