戦争の時代 最期の食糧危機 疾病と感染症

飢餓が進行しているスーダンでコレラが蔓延。すでに数百人が死亡。妊婦や新生児の死亡数も膨大な数に

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医師の診察を受けるスーダンの子どもpeoplesdispatch.org




内戦と、そして気候の異常により広範囲にわたる過度の食糧不足が拡大しているアフリカのスーダンで、病気などによる犠牲が目立ってきているようです。

スーダンの場所

worldvision.jp

国境なき医師団の声明などから、スーダンでコレラが蔓延しており、数百人が死亡している他、感染自体が拡大し続けていることを BBC が伝えていました。

このスーダンに関しては、今年 8月に国際機関が、「今後数か月以内に何百万人ものスーダン国民が死亡する」と予測していたことを、こちらの記事の後半で取り上げたことかもあります。

The Nation の8月9日の報道より

スーダン軍(SAF)と準軍事組織の緊急支援部隊(RSF)との間で 15か月間にわたって戦闘が続いた後、食糧不安の専門家たちは、9月までにスーダンの人口の半分以上にあたる約 2,600万人が栄養失調に陥る可能性があると推定している。

そのうち 850万人が急性栄養失調に陥る可能性がある。さらに悪いことに、戦争がこのまま続けば、今後数か月以内に数百万人が飢餓と病気で亡くなるだろう。

thenation.com

栄養状態が悪くなると、特に子どもや赤ちゃんの免疫状態が急速に悪くなり、病気や死亡率の大幅な上昇につながります。これは、子どもや若い人の免疫に非常に重要な「胸腺」という器官と関係していますが、それについては長くなりますので、ここではふれません。

胸腺と栄養については、こちらの In Deep の記事の「食料と胸腺」というセクションにあります。

また、上にスーダンの場所を載せましたけれど、この位置からすると、たびたび取り上げさせていただくこともある、「サハラ砂漠の豪雨」の影響も受けている可能性もあります。

いろいろな悪条件が重なっているわけですが、しかし、状況が改善するという見通しもほぼなく、かなり絶望的な状態が続いてしまう可能性がありそうです。

そのような中で、世界の「食料廃棄物の量」は増え続ける一方で、世界では、すさまじい量の食糧が廃棄されています。こちらの記事にグラフを掲載しています。この不均衡が是正されるということも、なかなかあり得ない感じですが、ともかく、現在のスーダンに関しての BBC の報道です。





スーダンで戦争が激化する中、コレラで数百人が死亡

Hundreds die from cholera as war rages in Sudan
BBC 2024/09/26

スーダン保健省によると、内戦が国中で続く中、過去 1か月間にコレラで 430人以上が死亡した。

声明によると、感染者数は約 1万4000人に増加している。

同省は、「感染者の増加が続く中、被害を受けた州でコレラと​​闘う」ために全力を尽くしていると述べた。

米国のスーダン担当特使トム・ペリエロ氏によると、昨年始まって以来、最大 15万人が死亡した紛争により、被災地での治療は極めて困難になっているという。

医療慈善団体「国境なき医師団(MSF)」は、「交戦当事者双方から頻繁に妨害を受けており、人道的対応は必要な水準をはるかに下回っている」と報告した。

国境なき医師団は新たな報告書の中で、スーダンの医療制度が崩壊し、妊婦や新生児の死亡数が「衝撃的な」数に達していると述べている。

スーダンは、2023年4月に軍と強力な準軍事組織である緊急支援部隊(RSF)が激しい権力闘争を開始して以来、戦争に巻き込まれており、国連が世界最悪の人道危機の一つと呼ぶ事態につながっている。

900万人以上の人々が家を追われ、作物が育っていないために、広範囲にわたる飢餓が発生する恐れがある。

ダルフール西部地域では非アラブ人に対する大量虐殺が起こる可能性があるとの警告もある。

コレラは急速に進行し、非常に伝染力の高い病気だ。世界保健機関(WHO)によると、コレラは下痢、脱水症状、そして死を引き起こす可能性がある。

比較的簡単に治るが、それには、迅速な治療が不可欠だ。

ハイサム・モハメド・イブラヒム保健大臣は 8月中旬にコレラの発生を宣言した。

戦争に加え、大雨や洪水もコレラの流行に寄与しており、避難キャンプの過密状態も事態を悪化させている。

国境なき医師団の緊急コーディネーターであるエスペランサ・サントス氏は、これらの要素がコレラの蔓延にとって「最悪の状況」を作り出していると語った。

一部の地域では、病気の蔓延を抑えるために学校、市場、店舗は閉鎖するよう指示されている。

国境なき医師団は報告書の中で、1月から 8月までの間に南ダルフール地方だけで 114人の妊産婦死亡を記録し、何千人もの子どもたちが飢餓に直面していると述べた。

「南ダルフールの状況は、戦争で荒廃し孤立したスーダンの地域で恐ろしい規模で展開していると思われる事態のスナップショットである」と報告書は述べている。

石鹸、清潔な分娩マット、滅菌された器具などの基本的な物品の不足により、母親と新生児が敗血症にかかる事態が発生している。

南ダルフールに拠点を置く国境なき医師団の性と生殖に関する健康のマネージャーであるギリアン・バークハート医師は、「これは私がこれまでのキャリアで経験したことのない危機です」と語った。







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